「ウィキッド」日本語版

◆ここはオズの国。
人間の女の子、ドロシーがこの国に迷い込んできたおかげで、今まで悪事の限りを尽くしてきた西の悪い魔女がついに死んだ。
オズの魔法使い、ウィザードの城のすぐ外にある
オズの首都エメラルドシティーから
民衆の盛大なお祝いの声が聞こえてくる・・・
No one mourns the wicked
だれも彼女の死を悲しまない
[オズ市民]:
素晴らしいニュース!あいつが死んだ! 西の悪い魔女が死んだ! オズの長きにわたる敵がいまついに 死んだ!
[民衆のだれか]:
(台詞)見て!グリンダだ! [グリンダ]:
(台詞)オズ市民の皆さん…
さあお祝いしましょう 善は悪に打ち勝つということを 言わずと知れたあの人の悪行 でも真実は必ず嘘を打ち破るということを あなたと私のために― [民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない もう二度と帰ってこないから 誰も花を手向けたりなんかしない 恥ずべき行いから子供たちは学ぶだろう 悪行の結末がどうなるものなのか [グリンダ]: 善は知ってる 悪い魔女の人生はひとりぼっちだったことを 善は知ってる 悪い魔女はひとりで死んだことを 悪い行いをするとひとりぼっちになるしかないの [民衆]: 善は知ってる 悪いやつらはひとりぼっち 善は知ってる 悪いやつらはひとりで泣くしかない 悪からは何も生まれない
[グリンダ]:
悪い人はみんな、生まれつき悪い人なのかしら? それとも突然そうなってしまうものなのかしら? 彼女もみんなと同じ お父さんも、お母さんも、いたの・・・
《昔の情景へフラッシュバックする》
[お父さん]:
君をひとりにするなんて [お母さん]:
いいのよ―たった一晩なんだから [お父さん]:
離れていても 君は僕の心の中にいるからね― [グリンダ]:
(台詞)そしてどんな家族にもあるように このおうちにも秘密があったの [愛人]:
お飲みなさい 僕のかわいい人 あと一晩しかないから お飲みなさい このみどりのエリクサー 飲んだら僕らも楽しもう [グリンダ]:
(台詞)そして・・・
彼女は生まれたときから・・・
少し違っていたの! [産婆]:
生まれるよ! [お父さん]:
もう!? [産婆]:
もう生まれるよ! [お父さん]:
どうやって! [産婆とお父さん]:
鼻が見えた!くりくりの髪の毛も! 健康で元気なかわいい私の・・・ [お父さん]:
なんてことだ!! [お母さん]:
どうしたの!? 何があったの? [産婆]:
どうして!? [お父さん]:
どういうことだ・・・ [産婆]:
忌まわしい! [お父さん]:
いかがわしい! [産婆とお父さん]:
まるでキャベツみたいに 赤ちゃんは不自然な・・・みどり! [お父さん]:
(台詞)連れて行け・・・ あっちへ!連れて行け・・・!! [グリンダ]:
(台詞)ね・・・ はじめから、簡単になんていかなかったの! ALL
誰もあいつの死を悲しまない やっと死んだ! やっといなくなった! やっと国に喜びが戻った! 善は私たち 善はあいつがひとりで死んだことを知ってる [グリンダ]:
あの人は一人で死んだ ALL
かわいそうに 善をないがしろにするなんて だれもそんなやつの死を悲しまない [グリンダ]:
素晴らしいニュース! CROWD
だれも悲しまない [グリンダ]:
素晴らしいニュース!
[グリンダ]: 「まあ皆さん、とっても楽しかったわ。 でも、皆さんもご存知のとおり、ウィザードが突然ここを去ることになってしまったの。 やらなければいけないことがたくさんあるから、もしもう質問がなければ--」 [民衆のひとり]: 「グリンダ!あなたがあの西の悪い魔女と『友達』だった・・・って・・・本当?」 突然の質問にぎくっとするグリンダ。 そして、過去の光景がよみがえってくる。 エルファバに初めて出会った、あの頃に・・・
Dear old Shiz 学び舎 シズ大学
[グリンダ]:
(台詞)ええ・・・そうね、 どういう人を『友達』と呼ぶかによるわね。 私たちは確かに知り合いだったわ 人生が交差したの・・・大学時代に。
《グリンダの大学の頃へフラッシュバックしていく。校歌が聞こえてくる・・・》 [大学の生徒たち]:
ああ 聖なる学び舎 蔦の這った塀 気高い光景 どんなに年を重ねても この地で学んだことを忘れません このシズ大学で シズ大学の日々
◆グリンダが入学したシズ大学にやってくる。 この頃のグリンダの名前はガリンダ。 他にも、同じくシズ大学に入学する生徒たちが集まっている。
みんな寮生活のため、荷物がたくさん。 そしてみんなは、同じく生徒としてやってきた全身肌の色がみどりのエルファバに奇異の目を向けている。 [エルファバ]: 「何見てるのよ・・・
いいえ、気分が悪いからじゃないわ。
ええ、生まれたときからずっとこの色でした。
いいえ、葉っぱを食べて育ったとかでもないわ・・・」 そんなエルファバを叱り付ける父。
一緒に入学する妹のネサローズは足が悪く、車椅子で生活している。 妹の面倒を良く見るように、と父に見送られる。 大学の校長であるマダムモリブルは、魔法使いとしても有名。ガリンダは彼女の魔術のクラスが受けたくてこの大学を選んだ。 マダムモリブルはみんなの寮生活の部屋割りを発表する。ネサ(ネサローズ)と部屋が一緒になると思ってばかりいたエルファバは、ガリンダとの部屋だと発表されてびっくりする。 マダムモリブルがネサを部屋へ案内しようと彼女の車椅子を押していこうとすると、つい、エルファバは普段人には隠している自分の不思議な力を発揮してしまう。ネサは急に変な力をだしてしまった姉の行為を恥に思い、エルファバもそのことをマダムモリブルに謝ろうとする。 しかし、マダムモリブルは謝る彼女をさえぎる。 [マダムモリブル]: 「何を言うの!それはあなたの才能なのよ。
才能を謝罪する必要なんてありません!
そして私の特技は才能を伸ばすこと。 あなた、魔術に興味はあるの?」 [エルファバ]: 「いえ、あまり・・・」 [マダムモリブル]: 「では私があなたに個別授業を行いましょう!そして他に生徒は取りません!」 マダムモリブルの授業を受ける為にきたガリンダはそのことにショックを隠せない・・・
The Wizard and I ウィザードとわたし
[マダム モリブル]:
エルファバさん、 私は何年も待っていた あなたのような才能を ウィザードはあなたをそばに置きたがるはずだわ!
ウィザードに一筆書いて あなたのことを伝えておきます あなたがちゃんとすべきことをすれば きっと良い方向へことは進むでしょう
《エルファバひとりになる》
[エルファバ]:
今の本当に起こったの? ちゃんと理解してる? 今まで抑えて、隠してきたこの変な力 それが才能って? しかもこの才能が私をウィザードに会わせてくれる・・・? ちゃんとやれば・・・きっと成功する・・・! ウィザードに会えたら 私の価値を知ってもらうの もしウィザードに会えたら・・・! ずっと・・・ずっと生まれた頃から・・・会いたかった!
ウィザードきっての知恵をもって 私の外見を気にしたりしない ウィザードは頭が悪いと思う? マンチキンみたいに・・・心が狭くて・・・いいえ! 彼は言うわ、 「君がどんな子かちゃんとわかっているよ 私が信頼を置ける女の子だ」 そうやって始まるの ウィザードとわたし
私がウィザードと一緒にいられたら 私の人生が変わる だってウィザードと一緒にいたら 誰も私を変な目で見たりしない!
ウィザードと一緒にいることを喜ばない父親なんていない それを恥じる妹なんていない オズのみんなに愛される! ウィザードの前では賞賛と拍手を受ける そしてこの―才能か呪いか― 私の力 なぜあるのか 最後にはわかるのかも 私たちが手をとりあえば ウィザードとわたし
ある日ウィザードが言うの 「エルファバ、とても優れた子 こんなに中身が素晴らしい子は 外見も素晴らしくていいんじゃない? オズのみんなはちょっと偏っていて みどり色の君が気になるようだから もしも君さえよければ みどり色を抜いてしまってもいいかい?」
まあ、別にそれは重要じゃないんだけど 「ぜひ、そうして!」って答えるわ なんて素敵なペア ウィザードとわたし
無限大 私の未来は限りない 予言みたいな光景が見えたの そんなのおかしい? 確かに、ちょっとぼやけていたけど でも本当に いつか必ず実現するはず オズ中が盛大なお祝いをしているの しかも私のために!
私はウィザードと一緒に立っていて 今まで味わったことない気持ちになって あまりに嬉しくて・・・溶けてしまうような! 一生他に何もいらない! 尊敬のまなざしの中 みんなは私を見て歓喜の声を上げる オズの人気チーム ウィザードとわたし!
◆ガリンダとエルファバは、同じ寮の部屋で二人とも家族に宛てた手紙を書いている。 「親愛なるおとーさまとおかーさま・・・」 「お父さんへ。」
What is this feeling? なにこの気持ち?
[ガリンダ]:
(台詞)大好きな親愛なるおかーさまとおとーさま・・・
[エルファバ]:
お父さんへ。 [二人]:
シズでの部屋割りはちょっと手違いがあったみたいで・・・ [エルファバ]:
もちろん、ネサの面倒はよく見ます [ガリンダ]:
もちろん、ここから昇進していくわ [二人]:
だってそうすることを望んでいるでしょう? ええ。色々手違いがあったみたいでルームメイトの子は・・・ [ガリンダ]:
とってーーも変わってて独特で ぜーーんぶひっくるめて言うともう なんて説明したらいいか・・・ [エルファバ]:
金髪。 [ガリンダ]:
この気持ちはなに? 急に、初めて感じる [エルファバ]:
あなたの姿を見た瞬間から [ガリンダ]:
心臓がドキドキする [エルファバ]:
頭がクラクラする [ガリンダ]:
顔がぽかぽかする [二人]:
なにこの気持ち?
炎のように燃え上がる 名前はあるの?
嫌悪感 疑う余地のない嫌悪感 [ガリンダ]:
その顔 [エルファバ]:
その声 [ガリンダ]:
その服 [二人]:
とにかくどこをとっても全部気に入らない どんな小さなしぐさも全部 体にむしずが走る とにかく大嫌いなのに なんだろう、このちょっと気になる感じ こんなに確かな嫌悪感の中に すごくピュアで、強く すぐ感じたけど、でもきっとずっと 一生大嫌い! [生徒たち]:
ガリンダ、君は何でそんなにいい子なの こんな仕打ち、我慢できる自信がない! あんな恐ろしいあいつと一緒の部屋なんて 偏見を持っているわけじゃないけど ガリンダ、犠牲になる必要は・・・ [ガリンダ]:
そうね・・・でも試練はつきものなの・・・! [生徒たち]:
かわいそうなガリンダ、 あそこに住まなきゃならないなんて 誰もが嫌うあいつと共に ただ覚えていて 僕らは君の味方だから 僕らも: [二人/生徒たち]:
なにこの気持ち / 嫌悪 急で初めての / 疑う余地ない嫌悪感 あなたを見たその瞬間から / 顔も声も ドキドキして / 来ている服も クラクラする / とにかく全部 なにこの気持ち / どんなしぐさも 名前はあるの / むしずが走る! 嫌悪感! [二人/生徒たち]: なのにちょっと気になる感じ こんなに確かな嫌悪感の中に すごくピュアで、強く [二人]: すぐ感じたけど、でもきっとずっと 一生大嫌い! [エルファバ]: わっ! ◆オズの政治・社会のクラスを教えるディラモンド教授のクラス。ディラモンド教授はオズ大学で教えるヤギの教授だ。生徒たちは席に着く。授業が始まり、黒板を使おうと裏返すと、そこに心無い言葉が書きなぐられている。 「動物はしゃべるべきではない。見られるだけだ。」 ディラモンド教授はショックのあまり授業を途中で解散させる。エルファバだけなかなかその場を去ることができず、教授に歩み寄る。 [エルファバ]: 「あんな心無いひどいこと、気にしちゃだめですよ。私もいつも言われたりしますけど・・・でも、気にしない方がいいと思います。」 [ディラモンド教授]: 「ああ、エルファバさん・・・ これがただの悪口ならいいんじゃが・・・ 最近、うわさが絶えないんじゃよ・・・」
Something bad 悪いこと
[ディラモンド教授]:
クオックスにいる雄牛の教授は 教鞭を取り上げられたらしい 言葉を忘れてしまったそうだ マンチキンロックのフクロウの司祭は 説教を禁止され もう金切り声を上げるしかできない ただのうわさだが―しかし 動物には気になる話 悪いことが―オズで起こっている [エルファバ]:
悪いことが?オズで起こっている? [ディラモンド教授]:
表面に出ず 裏に隠れ 何かわーーーーーるい (台詞)・・・すまない、「悪い」だ [エルファバ]:
(台詞)ディラモンド教授― もし動物たちに悪いことがオズで起こっているのなら、だれかがウィザードに言わなくちゃ そのためにウィザードはいるんでしょう? (歌う)だから大丈夫― [ディラモンド教授]:
(台詞)だといいんじゃがな―
[二人]: きっと事態はそんなに悪くない [ディラモンド教授]: なにも深刻にわーーーーーーるく (台詞)・・・すまない、「悪い」だ [エルファバ]: ここで起こるわけがない このオズで・・・ ◆大学の中庭に新入生が到着する。 彼の名前はフィエロ。スキャンダルだらけの華麗な王子様的存在だ。ハンサムな彼をガリンダは一目見て気に入る。フィエロはガリンダと、ガリンダに一目惚れしているマンチキンの男の子ボックとのところへやってきて、このあたりで遊ぶならどこがおすすめか聞いてくる。
Dancing through life 人生を踊り明かそう
[フィエロ]:
学校の悪いとこは いらないことばっか教えちまうことだ それが身をもって十分わかるだけの学校は 退学させられてきてるよ もっと深みのある人間にさせようとするけど でもまって なんでストレス溜まりやすくさせるの 苦痛を学ぶのはやめて 採点されない人生を生きようよ
人生を踊り明かそう 表面をうまく滑って 楽な道を選ぶ あんまり考えなければ 人生は楽しい 考え込んだりしないで 楽にできる時に
人生を踊り明かそう 難しくしなくていい 簡単にこなせるんだから なにも気にしなくていい ただの人生なんだから 踊り明かそう 人生を踊り明かそう ふらふらとうまい具合に そしていつもクールに 不安なことなんてなにもない 深く考えなくていい がんばらなければ 失敗したりしない
人生を踊り明かそう 考えず 注意せず 問題はそこらに散らばってる 苦痛はすぐ過ぎ去り 打撃はかわしてる 踊り明かしてしまえば (台詞)で―この町で一番スワンキファイドな場所はどこだい? [ガリンダ]: (台詞)それならオズダストボールルームじゃない? [フィエロ]: (台詞)いいねえ! (歌う)オズダストボールルームで今夜会おう 朝まで踊り明かそう フロアで一番かわいい女の子と踊るのさ オズダストボールルームへついておいで 来てよかったと思えるよ [二人]: 人生を踊り明かそう オズダストボールルームで [フィエロ]: どうせいつか ダスト(塵)になるのなら [二人]: 何も気にしなくていい ただの人生 [フィエロ]: だから踊り明かそう [ボック]: (台詞)ガリンダさん― 最後の一曲を、僕のために残しておいてください あそこで、待ってます 一晩中でも [ガリンダ]: (台詞)あら・・・やさしいのね ビック [ボック]: ボック、です [ガリンダ]: でももっとやさしいことって何か知ってる? あの悲劇的に美しい女の子 あの車椅子の なんて不公平なの 私たちは楽しめて 彼女だけ遊べないなんて ああ!誰かが彼女を誘ってくれたら 私のヒーローなのに・・・! [ボック]: (台詞)えと、そうしたら・・・ 僕が誘いますよ! [ガリンダ]: あら、ビック、本当?私のために・・・? [ボック]: 僕はあなたの為なら なんでもしますよ。ガリンダさん。 [フィエロ]: (台詞)やるねえ [ガリンダ]: (台詞)・・・何を言ってるのかよくわからないわ! でも私、今夜予定が空いちゃったから じゃあ・・・ [フィエロ]: (台詞)じゃあ迎えに行くよ・・・8時ごろ? [ガリンダ]: (台詞)わかったわ― (歌う)私たちが出会ったってことは― [フィエロとガリンダ]: 私たちお互いが必要ってこと [ガリンダ]: あなたは完璧 [フィエロ]: きみは完璧 [二人]: じゃあ私たちは一緒にいても完璧ね 一緒になる為に生まれてきた 人生を踊り明かそう
◆生徒たちがみなパーティーのことで頭がいっぱいでうかうかしているのを横目に、エルファバは軽蔑すべきフィエロのことをネサローズに話す。 するとなんと、ネサローズまでパーティーへ行くということをエルファバに告げる。 しかも、それができたのもみんなエルファバの大敵、ガリンダのおかげだというのだ。
[ネサローズ]:
(台詞)エルファバ・・・素敵なことだと思わない!?
やっとこの一晩だけ 私も楽しむことができるの ガリンダが見つけてくれた そのマンチキンの男の子と なにか彼女にお返しを してあげられないかしら エルファバ、ね? 私たちお互いが必要なの ガリンダはそれを叶えてくれた お互いが必要なの 私とボックは (台詞)エルファバ、ね、わかってくれる? [エルファバ]:
わかるわ― エルファバと同じ寮の部屋で、ガリンダは今夜のパーティーの支度をしている。 意地悪な女の子たち、ファニーとシェンシェンが、ガリンダの荷物の中から黒いとんがり帽子を見つけだし、ガリンダに、エルファバがパーティーにその帽子ををかぶって来るように言うようそそのかす。エルファバがガリンダのところへネサにしてくれたことを感謝しに来ると、その前にガリンダはエルファバに帽子を差し出す。 [エルファバ]:
ガリンダ―ちょうど妹とあなたのことを話していたの [ガリンダ]:
(台詞)私たちもちょうどあなたのことを話していたの! この帽子、パーティーにかぶっていきたくないかな、と思って! (歌う)これ、えっと、すごく・・・シャープだと思わない? だって黒は―今年のピンクだし! あなたたちお似合いよ この帽子とあなた お互いとっても―スマートだし! あなたたちお互いが必要なのよ 私の、こころからの贈り物― オズダストボールルーム。 踊るフィエロとガリンダを見ながら・・・ [ボック]:
ネサ [ネサローズ]:
はい? [ボック]:
あー、ネサ、 言わなきゃいけないことがあって―ええっと どうして―いや、今日君を誘ったか ずるいのかもしれないけれど― [ネサローズ]:
(台詞)ああ、ボック・・・わかっているわ [ボック]:
そうなのかい? [ネサローズ]:
私が車椅子だからでしょう かわいそうだと思ってくれたのね―そうでしょ? [ボック]:
(台詞)ち・・・違うよ・・・!まさか!えっと、だから・・・だから・・・! (歌う)君があまりに綺麗だったから― [ネサローズ]: まあ ボック! あなた素晴らしい人だわ! 私たちお似合いね
これって私たちのチャンスよね 私たちお互いが必要なの そうじゃない?ボック [ボック]:
とにかく・・・ 踊ろう! [ネサローズ]:
え? [ボック]:
踊ろう!! ボックはそのままネサをダンスフロアへ連れ出す。エルファバはガリンダにもらったとんがり帽子をかぶってフロアへ入ってくる。 周りの生徒たちが彼女を見て笑い、エルファバはガリンダが帽子をくれたのは彼女を笑いものにするためについた嘘だと気づく。 エルファバは、笑う周りの生徒たちを無視して目を閉じ、ひとりで踊りを始める。 その後、マダムモリブルがフロアに入ってきて、ガリンダに魔術のクラスに参加するよう伝える。 ガリンダはこれ以上にないほど喜ぶが、それは、ガリンダが魔術のクラスを受けられないなら自分も魔術のクラスを受けないとマダムモリブルを脅したエルファバのおかげだと知り、自分が彼女にしてしまったことを恥じる。 ガリンダは、ひとりで踊るエルファバに歩み寄り、一緒に踊りだす。 ALL
人生を踊り明かそう オズダストボールルームで どうせいつかダスト(塵)になるのなら 不思議なことは 運命は変わるってこと 踊り明かしている間に!
◆寮の部屋に戻っている二人。 ダンスパーティーのあと、ガリンダとエルファバは友達になり、ガリンダはお互いの秘密を打ち明けあいたいとエルファバにお願いする。ガリンダの秘密は、フィエロはまだ知らないけれど、自分は彼と結婚するつもりだ、と打ち明ける。エルファバは、悲しくも自分の父が、母親の死の原因となった自分をとても嫌っているということを打ち明ける。母の形見として、緑のエリクサーのボトルをいつも持ち歩いていることを告げた。
ガリンダはそんなエルファバを不憫に思い、エルファバを次なる題材(プロジェクト)にすることを決める。 [ガリンダ]: 「もう朝になっちゃったわ、エルフィー! ・・・エルフィーって呼んでもいい?」 [エルファバ]: 「まあ・・・ちょっと変な感じがするけど。」 [ガリンダ]: 「あなたも私のこと―ガリンダって呼んでいいわ。決めたの。私あなたを次の『プロジェクト』にするわ!」
Popular ポピュラー
[ガリンダ]:
(台詞)エルフィー・・・私たち、お友達になったから、あなたを私の次の『プロジェクト』にすることにしたわ [エルファバ]:
(台詞)ほんとに、そんなことしなくていいのよ [ガリンダ]:
(台詞)そうなの・・・だから私って いい子なの!
私より不幸な人を見かけると
(まあ私より不幸じゃない人なんていないんだけど) 私の良心がしくしく痛むの 誰かをよりよくするには 私がしてあげなきゃって思うの 何をどうすればいいかちゃんとわかっているから あなたの場合もそう 今までに一番タフなケースだけど・・・
心配ないわ 私は成功する為に生まれてきたの 私に任せれば 必ず
ポピュラー! 人気者になれる 教えてあげる 男の子と話すときの 話題の選び方 かわいく見せるそぶりも 履くべき靴も 髪のやり方も ポピュラーになる為に必要なこと
ポピュラー! 人気者にしてあげる 一緒にいるべき友達も スポーツも上手に 覚えとくべき言い回しも だからはじめましょ あなたの道のりは長いわ
私の分析を悪く思わないで 性格分析だと思えばいいの
人気者になることに関して これ以上にお友達で 姉妹みたいで いいアドバイザーはいないわ よくわかってるの ポピュラーになるってこと 私がつけば人気者になれる みじめだったあなたを捨てて:今みたいな 人気者になれないわけがない
ポピュラーになりましょ
かわいそうな外見の かわいそうな生き物を見ると 味方に立ってあげて教えてあげるの 名高い国の大統領とか 有名な代表者たち 頭がいいから代表になれたの? 笑わせないで
ポピュラーだったからよ 笑っちゃう 人気こそがすべて 中身じゃないの どう見られてるかがすべて 賢い生き方 私みたいに人気者になるの [エルファバ]: 「うまくいきっこないわ」 [ガリンダ]: 「エルフィー!そんなこと言っちゃだめ! 私のおかげで人生変わるのよ! ほらね、髪もこうして・・・ ・・・まあ、練習していきましょ! ほら、あなたのそのワンピース、 パーティードレスにしてあげるわ」 練習用の小さな杖でガリンダは魔法を試すが、うまくいかない。 「おかしいわね・・・まあ、いいわ。 あと・・・これ!」 ガリンダは頭につけていた花飾りをエルファバにつける。
(台詞)まあ・・・エルファバさん・・・ 見て・・・あなたとっても綺麗よ・・・! ガリンダはエルファバを鏡の前へ連れて行く。 [エルファバ]:
(台詞)私―も、もう行かなきゃ [ガリンダ]:
(台詞)どういたしまして!
まったく興味がないって
あなたは思っているけれど そのうち抗えなくなるわ 人気者になる喜びに! 人気者になるわ 私ほどではないけどね!
◆ヤギのディラモンド教授の授業中。 だが授業は、突然教室に入ってきたマダム モリブルとオズ職員の登場で中断される。マダム モリブルは、オズでは今後動物が教鞭をとることが許されなくなり、大変遺憾ながらディラモンド教授を辞めさせるしかなくなったと生徒たちに告げる。エルファバは突然の事態に大いにショックを受ける。ひとりのオズ職員が、授業を続ける為に教壇に立ち、新たな最先端の科学技術についてのレクチャーを始めた。 それは新たな発明、『檻』についてだった。 クラスに運び入れられた『檻』を生徒に見せると、中には小さなライオンの子供が捕らわれていた。それを見てエルファバは取り乱し、思わずクラス全体に魔法をかけてしまう。魔法はフィエロ以外にかかり、二人は檻を持ち出して森へ逃げ、このライオンの子供を逃がしてやった。 フィエロは事態に驚きつつ、胸が高鳴っていたが、どぎまぎとその場から去る。エルファバはフィエロに惹かれている自分に気づくが、所詮自分には叶わぬ恋、孤独感を深める・・・
I'm not that girl 私はその子じゃない
[エルファバ]:
手が触れて 目が合って 静かに 燃えあがる 心が高鳴る めまいがしそう 彼は理想の人かもしれない でも相手は私じゃない 夢見てはだめ 今の自分をよく見て 湧き出る喜びなんて捨て去って 彼は理想の人かもしれない でも相手は私じゃない
もしそうだったら って夢を見るけど それじゃ胸の痛みは和らがない 現実を見てしまったら
こぼれおちる笑み しなやかな手足 魅力的なあの子が彼の相手 金色の髪を綺麗に巻いて 彼が選んだのは彼女 天は知ってる 私はその子じゃない
願ってはだめ 考えないで 願うほど 心は痛む バラや真珠が似合うのは私じゃない そんな子を知ってる 彼は彼女を愛してる 私はその子じゃない
マダム モリブルは雨宿りをしていたエルファバを見つけて、喜んだ様子で駆け寄る。 [マダムモリブル]: 「とても素晴らしいニュースよ! ウィザードからやっと返事が来たの あなたに会いたいとおっしゃっているわ!」 マダム モリブルは、ぱっと雨を止ませる。 「あら、言わなかったかしら? 天気は私の得意分野なの。オズスピードよ! ついにウィザードに会えるわね 私を喜ばせてちょうだいね」 [エルファバ]: 「がんばります・・・ やっと・・・ウィザードとわたし・・・」
◆ガリンダはエメラルドシティーに向かうエルファバを見送りに駅へ来る。フィエロも後からやってきて、とても礼儀正しく、エルファバに気を使った様子で、ディラモンド教授の逮捕がどんなにひどいことだったか、そしてどうやって二人が一緒にライオンの子供を助けたかを話す。 ガリンダは話の輪に入ろうと、そのディラモンド教授に敬意を表して、彼がいつも発音を間違えてしまっていたガリンダの名前から『a』の音を取り、グリンダ(に名前を改名すると表明する。 しかし、結局それでもフィエロの気を惹くことはできなかった。ガリンダは泣き出して、どんなにがんばってもフィエロが自分の方を向いてくれない悩みを親友に打ち明ける。 エルファバはそんなグリンダを励ます為に、彼女も一緒にエメラルドシティーへ来ないかと誘う。
One short day エメラルドシティーでの一日
[エルファバ]:
(台詞)一緒に行こう エメラルドシティーへ [観光客]:
エメラルドシティーの あっという間の一日 [グリンダ]:
(台詞)ああ・・・! エメラルドシティーへずっと行ってみたかったの! [観光客]:
エメラルドシティーの あっという間の一日 エメラルドシティーの あっという間の一日 あまりにたくさんやりたいことがある 町のどこを見まわしても 素敵で行きたい場所ばかり 一日が終わる前に [エルファバ]: クオックスの森の木みたいに高いビル! [グリンダ]: ドレス屋さん! [エルファバ]: 図書館も! [グリンダ]: お城! [エルファバ]: 美術館! [二人]: どれもすごい 見たことないものばっかり [グリンダ]: みんな豪華で [エルファバ]: そして全部みどり! [二人]: やっとふさわしい場所を見つけた ここの一員になりたい [エルファバ]: いつかここへ帰ってこよう [二人]: 将来ここへ 自立して でも今日はとにかく楽しもう ALL エメラルドシティーの あっという間の一日 一生分の楽しさが詰まってる あっという間の一日 [エルファバとグリンダ]: 町に知らせるの 私たちがここにいたことを ALL ここを離れる前に 二人は『ウィゾマニア』と書かれた劇場の前へやってくる。観光客がどんどん中へ入っていく。 グリンダは観てみたくてしょうがなくなる。 [グリンダ]: (台詞)エルフィー!早く!ウィゾマニアに遅れちゃう! [エルファバ]: 「噛み締めたいの・・・この・・・誰も私をじろじろ見ていない感じ 誰も指をささない、生まれて初めて・・・ ふさわしい場所を見つけた・・・」 二人は手を取り合って劇場の中へ入っていく。 [ウィゾマニア]: 訪れた場所のオズを喜ばせてしまう 魔法使いは一体だれ? 私たちを救う為に現れた 賢人は一体だれ? 気球に情熱を注ぎ オズのみんなはうきうき なんて素晴らしい人 素晴らしいウィザード [エルファバとグリンダ]: だれもが足を運ぶ 私たちもここへ来る そしてその時も同じ 私たちは友だち [エルファバ]: いい友だち [グリンダ]: 大切な親友・・・ ALL 一緒に過ごす あっという間の [衛兵]: (台詞)ウィザードがお呼びだ! ALL 一日! ◆ウィザードの間に通されたエルファバとグリンダ。初めてウィザードに会い、挨拶をする。 [エルファバ]: 「お会いできてとても嬉しいです。」 [ウィザード]: 「それはよかった―私が一番好きなことだからね、人を嬉しくさせることは―」 ウィザードは、エルファバを自分のアシスタントにしたいと申し出る。そしてその採用試験として、エルファバにチステリーという名の猿が空を飛べるようにしてみて欲しいと言う。
A sentimental man 感傷的な人
[ウィザード]:
私は感傷的なんだ いつも私は「父」になりたいと思っていた だからオズの民 ひとりひとりを 自分の息子や娘のように思っている エルファバ 君も素晴らしく育てたい なぜならみな誰もが 空を舞う権利があると思うから 君を大成させることが 父親代わりに私ができること 私は感傷的だから
途中で、マダム モリブルがウィザードの間に入ってくる。なんとマダム モリブルはウィザードの広報に着任したというのだ。 驚くエルファバとグリンダ。マダム モリブルは、手にしていた古めかしい本をエルファバに渡す。 [グリンダ]: 「信じられない、それは・・・・グリマリーじゃないですか?」 [マダム モリブル]: 「ええ、そうです。古代の魔術と呪文の文献です。失われた太古の言葉―呪文が詰まっているのよ。」 エルファバはその本を開き、呪文を一つ唱える。 すると驚いたことに、チステリーに羽根が生えてきたのである。ウィザードはたいそう満足で、後ろにあったカーテンを開ける。すると、エルファバの想像を超える力は、カーテンの裏にあった檻の中いっぱいの猿すべてにまでも羽根を生えさせていたのである。 ウィザードはエルファバに、まんまと自分用のスパイ集団を作らせたのだ。エルファバはウィザードの魂胆と、そのつもりがなかったのに動物たちを傷つけてしまったことを知る。しかも、ウィザードの正体はただの人間で、彼には何の魔力もないことに気づく。 彼が欲しかったのは、エルファバのようにグリマリーを使うことができ、彼の手足となって働いてくれる手先なのだとわかると、耐え切れなくなったエルファバは、グリマリーを手にしたままその場から逃げ出したのだった・・・
◆エルファバとグリンダの二人は、ウィザードの城にあるてっぺんの塔へ逃げ込んだ。 ドアは、古いほうきをかませて塞いでいる。
Defying gravity 重力を操って
[グリンダ]:
(台詞)エルファバ―どうして急に飛び出したりしたの! どうして冷静にしていられなかったの! (歌う)満足でしょうね! 自分のやったことに さぞご満悦でしょう せっかくのチャンスを台無しにして よくやったと思ってるんでしょうけど [エルファバ]:
あなたも満足でしょうね! さぞご満悦でしょう どこかの権力にひれ伏して 自分の野心を満たして! [二人]:
何でそんなことするのか知りませんけど さぞご満足でしょうよ [グリンダ]:
(台詞)エルフィー お願いだから聞いて ・・・ちゃんと謝ったらまだ間に合うわ (歌う)まだウィザードと一緒になれる そのためにがんばってきたんでしょう? ずっと欲しかったものが目の前にあるのに― [エルファバ]:
(台詞)わかってる でも欲しくないの いいえ ―もう欲しがっちゃいけないの これ以上
何かが変わった 私の中で 何かが違う もうこれ以上誰かが決めた ルールに縛られたくない 答えが見えてしまった 夢見るのも終わり 今こそ自分の力を信じて 目を閉じて・・・飛び立つの 試すときがきた 重力を無力化して 試してみよう 重力を操る もう誰も私を地に降ろせない [グリンダ]:
まだわからないの?
自分の力を過信しすぎてる― [エルファバ]:
もう嫌なの 誰かが勝手に決めた 限界に縛られるのは 変えられないものもあるけど やってみなきゃわからない! ずっと愛を失うのが 怖くてしかたなかった でももし愛を失ったのなら もっと他に与えられるものがあるはず すぐできるようになるわ 重力を操るの さよならのキスをして 重力を操るの もう誰も私を地に降ろせない
(台詞)グリンダ―一緒に行こう 私たちにはできることがある 力を合わせれば (歌う)無限大 私たちの力は限りない 一緒なら今までにない最強のチーム グリンダ―一緒に描いた夢を [グリンダ]: 力を合わせれば [二人]: 勝てない敵はいない あなたとわたしで 重力を操って あなたとわたしで 重力を操って [エルファバ]: 誰も私たちを地に降ろせない (台詞)さあ、一緒に来る? グリンダの答えは ―いいえ― だが、言葉に出すことができない。 [グリンダ]: 幸せでありますように あなたがこの道を選んだことが [エルファバ]: (台詞)あなたも (歌う)あなたに幸が訪れますように [二人]: 本当に成功を祈ってる あなたが後悔したりしませんように 最後にはハッピーエンドが待っていますように 幸せでいて 大切な私の友達 ウィザードの衛兵が追いかけて来る。 エルファバはほうきを手に、衛兵を自分の方へ引き付ける。 [エルファバ]: もし私を見つけたかったら 西の空を見て 誰かが教えてくれたの 「誰もが空を舞う権利がある」って 私がひとりで飛べるようになっていたら せめて自由に飛んでいたら 私をさげすんだ人たちに 見せつける私からのメッセージ 教えてやって 私が重力を操る様を 高く舞う 重力を操って その姿を見せつけて オズ中のなんぴとたりとも 昔も今もどんな魔法使いにだって もう誰も私を失墜させられない [グリンダ]: 幸せでありますように [オズの民衆]: あれを見ろ!ウィキッドだ!捕まえろ! [エルファバ]:
失墜させられるものか! [オズの民衆]:
誰もあいつを悲しまない あいつを地に 降ろせ!

《第一幕 終わり》
◆時が過ぎ、オズの国は今や西の悪い魔女の恐怖に怯える日々が続いていた・・・
Thank goodness ああ よかった!
[オズの民衆]:
日に日に もっとウィキッドになる 毎日 恐怖は増していく オズがこんなことになったことはない それがウィキッドということ 行く先々に恐怖を振りまいて 犠牲者を探している あいつが飛んだところには みどりの吹雪が吹くらしい! ウィザードの悪口を言って 中傷し 嘘をついているらしい! ALL
嘘をつくんだ! ウィキッドから救ってくれ 呪いにかけられないように 注意しなくては 次はどこが狙われる?次はどこが狙われる? 次はどこが狙われる―?
グリンダはフィエロに内緒で彼との婚約を発表し、オズの民衆はそのままお祝い騒ぎになだれ込む。グリンダとフィエロとマダム モリブルは、今や全員がオズ政府の職務についている。 フィエロはエルファバに対する政府から植えつけられた偏見やプロパガンダは解せないものの、今や不本意ながら彼女を追う側の身分に立っている。しかし、エルファバに対してオズの民衆が間違ったうわさを鵜呑みにしている現状に嫌気が差す毎日を送っているのだった。
[グリンダ]:
(台詞)オズの皆さん― 恐怖や混乱は今日はひとまず置いておいて そしてお祝いしましょう! (歌う)こんなお祝いができるなんて素敵 [民衆]:
ああ よかった! [グリンダ]:
お祝いしましょう グリンダ風に [民衆]:
ああ よかった! [マダム モリブル]:
やっとこの日が 悪い魔女がいない日 [民衆]:
これ以上の喜びはない ああ よかった! マダム モリブルはグリンダとフィエロの方に向き、フィエロが衛兵の長に任命されたことを喜び、また二人の婚約を祝う。婚約のことを知らなかったフィエロはその事実に驚く。 [グリンダ]:
そう―こんなに嬉しいことはないわ そうでしょ? こんなに嬉しいことはないわ こんなふうに よく見て おとぎ話みたいな ハッピーエンド こんなに嬉しいことはないわ そうよね こんなに嬉しいことはないわ この終焉を みんなで分かち合う喜び
彼は最高にハンサムで 私は最高に謙虚に 私たちは最高に嬉しい だって喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの [マダム モリブル]:
(台詞)グリンダ とても嬉しいわ ウィザードの広報としてオズの皆さんに あなたの勇敢さを伝えなくては
(歌う)あなたがオズに召喚されたとき ウィザードはすぐに理由を告げなかった でもあなたが彼の前にひざまづき 頭を下げたとき 彼はあなたを良い魔女:グリンダに 任命したのです!
すると嫉妬深い金切り声が 悪い魔女が沈黙を破り こそこそと隠れていた所から飛び出してきて! [民衆のだれか]:
あいつにはもう一つ 眠らない眼があるらしい あいつは蛇みたいに、簡単に皮を脱ぐらしい 反逆した動物たちが、あいつを匿ってるらしい あいつの魂は汚すぎて 清い水で溶かしてしまえるらしい [フィエロ]: なんだって!? [民衆]:
溶かせる!? お願い―だれかあいつを溶かしてしまって― [フィエロ]:
(台詞)聞いたか―水で溶けるだと?! あんなことまで信じるなんて あまりに馬鹿げてる! [グリンダ]:
(台詞)フィエロ! ―あ、・・・ええ、 ありがとう、みなさん 彼、飲み物を取りに行ってくれたの とっても 思いやりがあるのよね・・・
だから―こんなに嬉しいことはないわ ―いいえ 単純に喜べないの たしかに ただちょっとだけ― 望んでいないわけじゃないのに 単純に喜べないの 単に喜べない
(台詞)そう・・・ただ「単に」
夢が叶うって変な感じ すこし・・・複雑 なんていうか・・・代償があるような いくつか・・・失うものがあるような 渡り終わるまで渡ったことに気づかない 橋のような
その喜びや震えが 思っていたとおりじゃなくても―でも― 喚起と喜びでいっぱいの この完璧なフィナーレで 喜ばずにいられない だからこんなに嬉しいことはない だって喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの―・・・そうでしょう? 喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの [民衆]:
グリンダ、私たちはあなたが大好きです [グリンダ]:
ああ よかった! [民衆]:
この喜び 誰に感謝すべきか知っている ああ よかった それはウィザードとグリンダ [グリンダ]:
そしてフィアンセも [民衆]:
これ以上にない素晴らしい人たち これ以上にないグリンダの美しさ これ以上にない幸運 [グリンダ]:
こんなに嬉しいことはない [民衆]:
ああ よかった [グリンダと民衆]:
今日は 今日に感謝を! ◆マンチキンランドの政府で市長を務めているのはネサローズ。側近にはボックが召使として働いている。そこへエルファバが現れる。 彼女は終われる身となってから逃亡生活を送っており、ここを治めている父を頼って匿ってくれる場所を求めに来たのだった― しかし、その希望は見事に打ち砕かれる。その父はもう死んだと、ネサから聞かされたからだった。ネサは父の跡を継ぎ、マンチキンランドを治めている。ネサは昔より意地悪になっていて、エルファバが魔力があるのに自分の不自由な足をそのままにしていると彼女をを責めたてるのだった。エルファバはグリマリーを開き、呪文を一つ唱えてやる。すると、ネサの靴が宝石のように輝きだし、綺麗なルビー色のぴかぴかな靴になると、その魔法の靴を履いたネサは初めて車椅子から自分の足で立ち上がることができた。エルファバは、やっと自分の力を人のために、良いことのために使えたことを喜んだ。ネサはその喜びのあまりボックを呼ぶと、彼はこれをチャンスだと思い言った。自分で立てるようになったあなたの元を私が去っても、もう大丈夫でしょう、と。 [ボック]: 「グリンダが婚約したそうなのです。今夜そのパーティーがある。僕はそこで、彼女へ自分の気持ちを告げなくてはならない。 僕の心は彼女に奪われてしまっているのです。 彼女を見た、その瞬間から。」 [ネサローズ]: 「心を奪われた!?本当かどうか確かめてみる必要があるわ!!」 エルファバの静止をさえぎり、ネサはグリマリーを奪ってその中から呪文を探す。 [ネサローズ]: 「あなたは『私に』心を奪われるのよ―この場からただで帰すと思う!?」 [エルファバ]: 「ネサ、止めて!危ない!!」 ネサはグリマリーから呪文を唱えると、ボックは胸を押さえながら苦しみもだえはじめた。 [ボック]: 「なんだ!?心臓が・・・心臓が苦しい!縮んでいくようだ!!」 ネサは苦しむボックを見て自分がしてしまった事の重大さを知ると、エルファバに助けを求める。 [ネサローズ]: 「彼を・・・彼を助けて!かわいそうなボック・・・私を置いていかないで・・・私は東の悪い魔女だわ・・・私たちはお互いが必要でしょ・・・?」 そんな妹を見て、エルファバはボックの命を救う為の呪文を唱える。その呪文は、ボックを心臓なしでも生きていける体にするものだった・・・エルファバはネサに別れを告げ、そこを去る・・・
◆エメラルドシティー、ウィザードの間。 そこへ忍び込んだエルファバは、猿たちが捕らえられている檻を開けるためのレバーを探している。いつの間にかその場にウィザードが現れ言う。もう一度、自分のもとに来ないか、と―
Wonderful ワンダフル
[ウィザード]:
そうしてほしいと願ったわけでも 計画したわけでもないんだ 私はただ単に運よく 風に吹かれてここへたどり着いただけ 一度も自分を 魔術師とも哲学者とも思ったことはない 自分のことは良くわかっている ただの平凡な人間だということを
そして急にここにたどり着いて 尊敬のまなざしを浴びて まるで崇拝されるような たまたまオズのみんなが そういう対象を求めていたから 急にそんなことになるなんて びっくりするだろう? 熱気球にだけじゃなく 幸運にも吹き飛ばされて
“ワンダフル” みんなが言うんだ―“ワンダフル” そこまで言うなら じゃあなろう―“ワンダフル”に そしたらみんなが言った―“ワンダフル”だ 抵抗できっこない素晴らしさ だって“ワンダフル”な気分 みんなが私を“ワンダフル”だと言う “ワンダフル”なのは誰だと思う? トウモロコシを貰えるカモみたいな気持ち 私は言った「きっと素敵だ みどりの町を作ったら “ワンダフル”な黄色いレンガの道も一緒に」
(台詞)ほらね―私は自分の家族というものが無かったから 私はただ―オズのみんなに『何でも』欲しいものを与えてあげたかったんだ [エルファバ]:
(台詞)だから嘘をついたのね [ウィザード]:
(台詞)エルファバ、私がどこから来たかなんて―私たちはたくさんの嘘を本当だと思って信じ込んでいる それを私たちは―『歴史』―と呼ぶんだ
(歌う)裏切り者は他では解放者 お金持ちは泥棒か?慈善家か? 十字軍は正義か―それとも無慈悲な侵略者? それはみんながどっちと思うかだ でもみんなモラルのある人ばっかりだから そんな二面性なんて無いことになってる
みんな私を“ワンダフル”だって言うんだ だから私は“ワンダフル”なんだ 私の中身というより もう私の名前の一部 私の助けがあれば君もそうなれる
長い長い間待っていた 答えを― エルファバ―祝福されるのは 更生した者だよ オズ中の祝福が 君だけのために―“ワンダフル” 君が“ワンダフル”と呼ばれるよ [エルファバ]:
そうしたら確かに“ワンダフル”ね― [ウィザード]:
信じて とても楽しいよ [二人]:
君が“ワンダフル”な時 “ワンダフル”な気持ちになれる? “ワンダフル ワンダフル” [ウィザード]:
1!2!と―――!(二人は踊る)
[エルファバ]: 「わかったわ、そうする―」 [ウィザード]: 「すばらしい!」 [エルファバ]: 「その代わり、一つ条件がある。 猿たちを自由にしてくれたら―」 [ウィザード]: 「よろしい!」 ウィザードはレバーを引く。すると捕らえられていた羽根が生えた猿たちがいっせいに飛び立つ。
エルファバはほっとした―見覚えのある姿を目の当たりにするまで―よく見るとそこには毛布の下に、あのディラモンド教授の姿が。 ディラモンド教授は既に言葉を忘れたただの動物になってしまっていた。そんなディラモンド教授の悲しい姿を目の当たりにし、ウィザードを信用した自分を恥じ、彼に向き直るエルファバ。 [エルファバ]: 「私とあなたはまったく違う。 私はあなたのようにはなりたくない。 私は一生あなたと戦い続ける。 この命が燃え尽きるまで。」 窮地に立たされたウィザードは怯えた様子で衛兵を呼ぶ。衛兵が二人現れると、その一人がフィエロであることに気づく。 グリンダはエルファバが現れたことを聞きつけ、長く会うことが出来なかった大親友を喜びのあまり今すぐにでも抱きしめたい気持ちに駆られるが、愛するフィエロが突然、エルファバと共にここを離れる意志があることを彼女に打ち明けると、その感情は一気に心の痛みと憎しみに変わる。取り乱したグリンダはウィザードとマダム モリブルにフィエロの行動を伝え、エルファバを捕らえる為の秘策を打ち明ける。 ―エルファバの妹をおとりにするのだ、と。 マダム モリブルは専門分野である天候を操る力で、すさまじい嵐を巻き起こす。グリンダは失望感に襲われ、一人悲しく思いにふける。
I'm not that girl (Reprise)
私はその子じゃない(リプライズ)
[グリンダ]:
願ってはだめ 考えないで 願うほど 心は痛む 知ってる女の子がいる 彼は彼女を愛してる 私はその子じゃない
◆フィエロの城へ逃げ隠れた二人は、ギリキンの森の焚き火の前で、お互いの想いを通じ合わせる・・・
As long as you're mine 貴方が私のものである限り
[エルファバ]:
痛いくらいのキスをして きつく抱きしめて 信じることに戸惑っているから 貴方が今夜ここにいてくれることに 想像すらできなかった 横たわる私のそばで 貴方が私を求めてくれることなんて
ただこの瞬間だけ 貴方が私のものである限り どんなに多くの抵抗があっても もう境界線を越えてしまった そしてこの結末が 早くに終わりを告げたとしても すべての瞬間を出来る限り長く紡ごう 貴方が私のものである限り [フィエロ]:
僕は脳無しかもしれない もしかしたら賢明なのかも― 君は僕の視界を まったく変えてしまった いつからか僕は君の 呪文に掛かってしまったようだ そして不思議な感じなんだ まるで僕が落ちているのは
舞い上がる方向のようで [二人]:
すべての瞬間 貴方が私のものである限り この身をすべて貴方のために 失われた時間を取り戻すために使おう [フィエロ]:
僕ら二人一緒の未来が無かったとしても― [二人]:
わかっている わかっている気がする― でもそんなのは関係ない ただこの瞬間 貴方が私のものである限り 自分に素直になって 今の自分たちがどんなに輝いているかを見て 月の光を借りて
すべてが過ぎ去るまで 覚えていて
貴方を抱きしめるために私はここにいるから 貴方が私のものである限り [フィエロ]:
(台詞)どうした―? [エルファバ]:
(台詞)―ただちょっとだけ―生まれて初めて―
ウィキッドな気持ちになったの―
◆すると、エルファバは家が空を舞っている不自然な光景を見る。それに不穏な空気を感じると急いでマンチキンランドへ飛んで向かった。 辿り着いたそこでエルファバは、カンザスから来たドロシーという名の女の子の姿と、自らの妹の壮絶な死を目の当たりにする。 顔を合わせたエルファバとグリンダはお互いに妹の死と失った恋人のことに心を痛めながら敵意をむき出しにするのだった。 そしてそこにフィエロが再度、エルファバを助けに現れる。フィエロはエルファバを逃がす為に自ら捕えられる。すると今度は、エルファバの隠れ家を明さなければ死に至る恐ろしい呪いを掛けられてしまう。フィエロはエルファバの居場所を明かすことを拒み続け、野原の棒に掛けられ死ぬまでそこに置き去りにされる。フィエロの城では、彼に助けられたエルファバがどうにかしてフィエロの命を救おうと呪文を探すのだった・・・
No good deed 失敗した善行
[エルファバ]:
(台詞)フィエロ!
(歌う)エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン
肉が引き裂かれないように 血しぶきを上げさせられないように 彼が痛めつけられようとも 痛みを感じられないように― 骨も折られないように 彼を殺そうとする なんぴとたりからも守って 彼を不死身にして 彼を不死身にして―
エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカ・・・エレカ・・・!!
この呪文は本当に効くの? 何を読んでるのかもよくわかっていない! 一体どの術を掛けようとしているのか フィエロ、どこにいる? もう息絶えてしまった?血を流している? この仕打ちであなたも 私の犠牲者の一人になってしまうの―
良い行いは失敗しても罰せられない 気づかれないまま通り過ぎてく 良い行いは失敗しても罰せられない 私が見つけた新しい信念 ずっと良かれと思ってしてきた行いが 私を導く先はいつも同じだった 良い行いは失敗しても 私を罰してはくれない!
ネサ・・・ディラモンド教授・・・ フィエロ・・・フィエロ!!
ひとつの問いが私を責め立てる 何度も何度も繰り返して 本当に良い事をしようと思ってた? それともただみんなに注目されたかっただけ? 良い行いってそんなこと? 氷のように冷たい目で冷静に外から見直してみたら 良い行いなんてそんなことなら 罰が下らないのはうなずける―
良い行いは失敗しても罰せられない そんな行いの衝動なら今後すべて取り払おう 良い行いは失敗しても罰せられない もちろん良かれと思ってしたことだった なのにその「結果」をもう一度よく思い出して― わかった もうたくさん ・・・もうそのまま ほうっておけばいい― オズ中が思えばいい 私は何をしたって『ウィキッド』なんだと どんなにがんばっても成功できなかった フィエロ 貴方を助けることさえ だから誓おう もう二度と良いことをしようなんて 絶対に思ったりしないって もう良いことを しようなんて思うものか!
◆その頃オズでは、民衆が魔女狩りの準備を進めている・・・
[オズの民衆]:
あいつを探して 見つけて 狩って 殺せ! (台詞)幸運を!魔女狩りのみんな! あいつを探して 見つけて 狩って 殺せ! 魔女を殺せ! ウィキッドな者には罰を 悪は根こそぎ排除しなければ ウィキッドな者には罰を 魔女を殺せ! [ブリキの男]:
(台詞)これはウィザードの為になるだけじゃない 俺は個人的な恨みもある あのエルファ・・・あの魔女に!
(歌う)あいつのせいで俺はブリキになってしまった あいつの呪文のせいだ 初めて俺は心臓が無いことがうれしいよ 「心なく」あいつが殺せるのだから!
そしてこのライオンにも あいつから受けた悲しい仕打ち こいつの若かりし日に 自分で抵抗することを覚えさせていれば こうして臆病者にならずにすんだのに CROWD
殺せ! 魔女を殺せ! ALL
ウィキッドな者には罰を 勇敢な魔女狩り達に加わりたい ウィキッドな者には罰を 罰を!罰を! 抜かりなく!
◆湧き上がる民衆を尻目に、グリンダはあまりに事が大きくなってしまったことを行き過ぎに感じ、マダム モリブルに事態の収拾を懇願する。 しかし、余計な口を利く暇があったら黙って自分のやることをしていればいい、とマダム モリブルの答えは冷ややかなものだった。 その間、エルファバはドロシーを捕らえる。 グリンダはエルファバのいるキアモ コ城に現れ、エルファバに降伏してほしいと頼む。 エルファバはそれを拒否するが、グリンダの突然の訪問に加え、フィエロからの手紙が届いたことも重なり、かたくなに閉じていた心が開いていくのだった。そしてエルファバは自分が今何をすべきなのかを悟る。エルファバは親友に自分の最後の願いを託す。自分が何度しようとしても出来なかった、人に良いことをすること。この意志をグリンダに継いで欲しい。そして、絶対に自分の『ウィキッド』な汚名を晴らそうとしたりしないで欲しい、と。なぜそんなことを― グリンダが口を開く。すると・・・
For good 最後に
[エルファバ]:
限られてる 私を見て―私はもう限界にきてる あなたを見て あなたになら私ができなかったことがみんなできる―グリンダ・・・ あなた次第よ (台詞)私たち二人のためにできること (歌う)ここからはあなた次第― [グリンダ]:
聞いたことがあるの 人が出会うのには理由があるって 学ぶべきことを教えてくれる人に 私たちは 一緒に成長すべき人の元へ導かれ その人に助けられて またお返しに助けてあげることができれば それが真実かどうかはわからないけど でも今日の私がこうしているのは あなたに出会うことができたから
彗星が軌道に引き寄せられて 太陽を横切るように 水流が森の途中で 岩にぶつかるように 誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はあなたに出会えたから 最後に変わることができた [エルファバ]:
これはもしかしたら あなたとこの人生で もう二度と会えないのかもしれない だから離れる前に言わせて 私のほとんどは あなたに教えてもらったことでできてる あなたは私の 心に刻まれているの
そしてどんな風に私たちの物語が終わろうとも 私は知ってる あなたが親友になってくれて 私の物語を書き換えてくれたことを 船が海からの風に押されて 停泊所を離れるように 空から鳥が落とした 遠くの森の種のように 誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はあなたに出会えたから [グリンダ]: あなたに出会えたから [二人]:
最後に変わることができた [エルファバ]:
ちゃんと言っておきたいの 今までごめんなさい 私があなたにしてしまったひどいこと [グリンダ]:
だけどそれは私も同じ あやまりたいことがたくさんある [二人]:
でもそんなことはもうこれ以上関係ない [グリンダ/エルファバ]:
彗星が軌道に引き寄せられて/
船が海からの風に押されて
太陽を横切るように/停泊所を離れるように
水流が森の途中で/空から鳥が落とした
岩にぶつかるように/遠くの森の種のように
[二人]:
誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はいい結末を迎えたと信じてる [グリンダ]:
あなたに出会えたから [エルファバ]:
あなたに出会えたから [二人]:
あなたに出会うことができたから 私は最後に良くなることができた
◆エルファバが水で溶けてしまったあと、グリンダは彼女の意志を継ぐ。グリンダは、ウィザードとマダムモリブルをオズの国から追放し、その座の後継者となったのだった。 そして物語は始まりに戻る。グリンダが民衆に、エルファバの死を伝えるあの時へ―
Finale フィナーレ
[民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない やっとあいつが死んでいなくなった やっと国に平和と喜びが戻った ALL
いいニュース!いいニュース! [グリンダ]:
誰かがもっといい結末が あったと言うかもしれない でも [エルファバとグリンダ]:
あなたに出会えたから [民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない [グリンダ]:
あなたに出会うことができたから [エルファバとグリンダ]:
私は変わることができた― [民衆]: 誰もウィキッドの死を悲しまない ウィキッド! ウィキッド!

《第二幕 終わり》
No one mourns the wicked
だれも彼女の死を悲しまない
[オズ市民]:
素晴らしいニュース!あいつが死んだ! 西の悪い魔女が死んだ! オズの長きにわたる敵がいまついに 死んだ!
[民衆のだれか]:
(台詞)見て!グリンダだ! [グリンダ]:
(台詞)オズ市民の皆さん…
さあお祝いしましょう 善は悪に打ち勝つということを 言わずと知れたあの人の悪行 でも真実は必ず嘘を打ち破るということを あなたと私のために― [民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない もう二度と帰ってこないから 誰も花を手向けたりなんかしない 恥ずべき行いから子供たちは学ぶだろう 悪行の結末がどうなるものなのか [グリンダ]: 善は知ってる 悪い魔女の人生はひとりぼっちだったことを 善は知ってる 悪い魔女はひとりで死んだことを 悪い行いをするとひとりぼっちになるしかないの [民衆]: 善は知ってる 悪いやつらはひとりぼっち 善は知ってる 悪いやつらはひとりで泣くしかない 悪からは何も生まれない
[グリンダ]:
悪い人はみんな、生まれつき悪い人なのかしら? それとも突然そうなってしまうものなのかしら? 彼女もみんなと同じ お父さんも、お母さんも、いたの・・・
《昔の情景へフラッシュバックする》
[お父さん]:
君をひとりにするなんて [お母さん]:
いいのよ―たった一晩なんだから [お父さん]:
離れていても 君は僕の心の中にいるからね― [グリンダ]:
(台詞)そしてどんな家族にもあるように このおうちにも秘密があったの [愛人]:
お飲みなさい 僕のかわいい人 あと一晩しかないから お飲みなさい このみどりのエリクサー 飲んだら僕らも楽しもう [グリンダ]:
(台詞)そして・・・
彼女は生まれたときから・・・
少し違っていたの! [産婆]:
生まれるよ! [お父さん]:
もう!? [産婆]:
もう生まれるよ! [お父さん]:
どうやって! [産婆とお父さん]:
鼻が見えた!くりくりの髪の毛も! 健康で元気なかわいい私の・・・ [お父さん]:
なんてことだ!! [お母さん]:
どうしたの!? 何があったの? [産婆]:
どうして!? [お父さん]:
どういうことだ・・・ [産婆]:
忌まわしい! [お父さん]:
いかがわしい! [産婆とお父さん]:
まるでキャベツみたいに 赤ちゃんは不自然な・・・みどり! [お父さん]:
(台詞)連れて行け・・・ あっちへ!連れて行け・・・!! [グリンダ]:
(台詞)ね・・・ はじめから、簡単になんていかなかったの! ALL
誰もあいつの死を悲しまない やっと死んだ! やっといなくなった! やっと国に喜びが戻った! 善は私たち 善はあいつがひとりで死んだことを知ってる [グリンダ]:
あの人は一人で死んだ ALL
かわいそうに 善をないがしろにするなんて だれもそんなやつの死を悲しまない [グリンダ]:
素晴らしいニュース! CROWD
だれも悲しまない [グリンダ]:
素晴らしいニュース!
[グリンダ]: 「まあ皆さん、とっても楽しかったわ。 でも、皆さんもご存知のとおり、ウィザードが突然ここを去ることになってしまったの。 やらなければいけないことがたくさんあるから、もしもう質問がなければ--」 [民衆のひとり]: 「グリンダ!あなたがあの西の悪い魔女と『友達』だった・・・って・・・本当?」 突然の質問にぎくっとするグリンダ。 そして、過去の光景がよみがえってくる。 エルファバに初めて出会った、あの頃に・・・
Dear old Shiz 学び舎 シズ大学
[グリンダ]:
(台詞)ええ・・・そうね、 どういう人を『友達』と呼ぶかによるわね。 私たちは確かに知り合いだったわ 人生が交差したの・・・大学時代に。
《グリンダの大学の頃へフラッシュバックしていく。校歌が聞こえてくる・・・》 [大学の生徒たち]:
ああ 聖なる学び舎 蔦の這った塀 気高い光景 どんなに年を重ねても この地で学んだことを忘れません このシズ大学で シズ大学の日々
◆グリンダが入学したシズ大学にやってくる。 この頃のグリンダの名前はガリンダ。 他にも、同じくシズ大学に入学する生徒たちが集まっている。
みんな寮生活のため、荷物がたくさん。 そしてみんなは、同じく生徒としてやってきた全身肌の色がみどりのエルファバに奇異の目を向けている。 [エルファバ]: 「何見てるのよ・・・
いいえ、気分が悪いからじゃないわ。
ええ、生まれたときからずっとこの色でした。
いいえ、葉っぱを食べて育ったとかでもないわ・・・」 そんなエルファバを叱り付ける父。
一緒に入学する妹のネサローズは足が悪く、車椅子で生活している。 妹の面倒を良く見るように、と父に見送られる。 大学の校長であるマダムモリブルは、魔法使いとしても有名。ガリンダは彼女の魔術のクラスが受けたくてこの大学を選んだ。 マダムモリブルはみんなの寮生活の部屋割りを発表する。ネサ(ネサローズ)と部屋が一緒になると思ってばかりいたエルファバは、ガリンダとの部屋だと発表されてびっくりする。 マダムモリブルがネサを部屋へ案内しようと彼女の車椅子を押していこうとすると、つい、エルファバは普段人には隠している自分の不思議な力を発揮してしまう。ネサは急に変な力をだしてしまった姉の行為を恥に思い、エルファバもそのことをマダムモリブルに謝ろうとする。 しかし、マダムモリブルは謝る彼女をさえぎる。 [マダムモリブル]: 「何を言うの!それはあなたの才能なのよ。
才能を謝罪する必要なんてありません!
そして私の特技は才能を伸ばすこと。 あなた、魔術に興味はあるの?」 [エルファバ]: 「いえ、あまり・・・」 [マダムモリブル]: 「では私があなたに個別授業を行いましょう!そして他に生徒は取りません!」 マダムモリブルの授業を受ける為にきたガリンダはそのことにショックを隠せない・・・
The Wizard and I ウィザードとわたし
[マダム モリブル]:
エルファバさん、 私は何年も待っていた あなたのような才能を ウィザードはあなたをそばに置きたがるはずだわ!
ウィザードに一筆書いて あなたのことを伝えておきます あなたがちゃんとすべきことをすれば きっと良い方向へことは進むでしょう
《エルファバひとりになる》
[エルファバ]:
今の本当に起こったの? ちゃんと理解してる? 今まで抑えて、隠してきたこの変な力 それが才能って? しかもこの才能が私をウィザードに会わせてくれる・・・? ちゃんとやれば・・・きっと成功する・・・! ウィザードに会えたら 私の価値を知ってもらうの もしウィザードに会えたら・・・! ずっと・・・ずっと生まれた頃から・・・会いたかった!
ウィザードきっての知恵をもって 私の外見を気にしたりしない ウィザードは頭が悪いと思う? マンチキンみたいに・・・心が狭くて・・・いいえ! 彼は言うわ、 「君がどんな子かちゃんとわかっているよ 私が信頼を置ける女の子だ」 そうやって始まるの ウィザードとわたし
私がウィザードと一緒にいられたら 私の人生が変わる だってウィザードと一緒にいたら 誰も私を変な目で見たりしない!
ウィザードと一緒にいることを喜ばない父親なんていない それを恥じる妹なんていない オズのみんなに愛される! ウィザードの前では賞賛と拍手を受ける そしてこの―才能か呪いか― 私の力 なぜあるのか 最後にはわかるのかも 私たちが手をとりあえば ウィザードとわたし
ある日ウィザードが言うの 「エルファバ、とても優れた子 こんなに中身が素晴らしい子は 外見も素晴らしくていいんじゃない? オズのみんなはちょっと偏っていて みどり色の君が気になるようだから もしも君さえよければ みどり色を抜いてしまってもいいかい?」
まあ、別にそれは重要じゃないんだけど 「ぜひ、そうして!」って答えるわ なんて素敵なペア ウィザードとわたし
無限大 私の未来は限りない 予言みたいな光景が見えたの そんなのおかしい? 確かに、ちょっとぼやけていたけど でも本当に いつか必ず実現するはず オズ中が盛大なお祝いをしているの しかも私のために!
私はウィザードと一緒に立っていて 今まで味わったことない気持ちになって あまりに嬉しくて・・・溶けてしまうような! 一生他に何もいらない! 尊敬のまなざしの中 みんなは私を見て歓喜の声を上げる オズの人気チーム ウィザードとわたし!
◆ガリンダとエルファバは、同じ寮の部屋で二人とも家族に宛てた手紙を書いている。 「親愛なるおとーさまとおかーさま・・・」 「お父さんへ。」
What is this feeling? なにこの気持ち?
[ガリンダ]:
(台詞)大好きな親愛なるおかーさまとおとーさま・・・
[エルファバ]:
お父さんへ。 [二人]:
シズでの部屋割りはちょっと手違いがあったみたいで・・・ [エルファバ]:
もちろん、ネサの面倒はよく見ます [ガリンダ]:
もちろん、ここから昇進していくわ [二人]:
だってそうすることを望んでいるでしょう? ええ。色々手違いがあったみたいでルームメイトの子は・・・ [ガリンダ]:
とってーーも変わってて独特で ぜーーんぶひっくるめて言うともう なんて説明したらいいか・・・ [エルファバ]:
金髪。 [ガリンダ]:
この気持ちはなに? 急に、初めて感じる [エルファバ]:
あなたの姿を見た瞬間から [ガリンダ]:
心臓がドキドキする [エルファバ]:
頭がクラクラする [ガリンダ]:
顔がぽかぽかする [二人]:
なにこの気持ち?
炎のように燃え上がる 名前はあるの?
嫌悪感 疑う余地のない嫌悪感 [ガリンダ]:
その顔 [エルファバ]:
その声 [ガリンダ]:
その服 [二人]:
とにかくどこをとっても全部気に入らない どんな小さなしぐさも全部 体にむしずが走る とにかく大嫌いなのに なんだろう、このちょっと気になる感じ こんなに確かな嫌悪感の中に すごくピュアで、強く すぐ感じたけど、でもきっとずっと 一生大嫌い! [生徒たち]:
ガリンダ、君は何でそんなにいい子なの こんな仕打ち、我慢できる自信がない! あんな恐ろしいあいつと一緒の部屋なんて 偏見を持っているわけじゃないけど ガリンダ、犠牲になる必要は・・・ [ガリンダ]:
そうね・・・でも試練はつきものなの・・・! [生徒たち]:
かわいそうなガリンダ、 あそこに住まなきゃならないなんて 誰もが嫌うあいつと共に ただ覚えていて 僕らは君の味方だから 僕らも: [二人/生徒たち]:
なにこの気持ち / 嫌悪 急で初めての / 疑う余地ない嫌悪感 あなたを見たその瞬間から / 顔も声も ドキドキして / 来ている服も クラクラする / とにかく全部 なにこの気持ち / どんなしぐさも 名前はあるの / むしずが走る! 嫌悪感! [二人/生徒たち]: なのにちょっと気になる感じ こんなに確かな嫌悪感の中に すごくピュアで、強く [二人]: すぐ感じたけど、でもきっとずっと 一生大嫌い! [エルファバ]: わっ! ◆オズの政治・社会のクラスを教えるディラモンド教授のクラス。ディラモンド教授はオズ大学で教えるヤギの教授だ。生徒たちは席に着く。授業が始まり、黒板を使おうと裏返すと、そこに心無い言葉が書きなぐられている。 「動物はしゃべるべきではない。見られるだけだ。」 ディラモンド教授はショックのあまり授業を途中で解散させる。エルファバだけなかなかその場を去ることができず、教授に歩み寄る。 [エルファバ]: 「あんな心無いひどいこと、気にしちゃだめですよ。私もいつも言われたりしますけど・・・でも、気にしない方がいいと思います。」 [ディラモンド教授]: 「ああ、エルファバさん・・・ これがただの悪口ならいいんじゃが・・・ 最近、うわさが絶えないんじゃよ・・・」
Something bad 悪いこと
[ディラモンド教授]:
クオックスにいる雄牛の教授は 教鞭を取り上げられたらしい 言葉を忘れてしまったそうだ マンチキンロックのフクロウの司祭は 説教を禁止され もう金切り声を上げるしかできない ただのうわさだが―しかし 動物には気になる話 悪いことが―オズで起こっている [エルファバ]:
悪いことが?オズで起こっている? [ディラモンド教授]:
表面に出ず 裏に隠れ 何かわーーーーーるい (台詞)・・・すまない、「悪い」だ [エルファバ]:
(台詞)ディラモンド教授― もし動物たちに悪いことがオズで起こっているのなら、だれかがウィザードに言わなくちゃ そのためにウィザードはいるんでしょう? (歌う)だから大丈夫― [ディラモンド教授]:
(台詞)だといいんじゃがな―
[二人]: きっと事態はそんなに悪くない [ディラモンド教授]: なにも深刻にわーーーーーーるく (台詞)・・・すまない、「悪い」だ [エルファバ]: ここで起こるわけがない このオズで・・・ ◆大学の中庭に新入生が到着する。 彼の名前はフィエロ。スキャンダルだらけの華麗な王子様的存在だ。ハンサムな彼をガリンダは一目見て気に入る。フィエロはガリンダと、ガリンダに一目惚れしているマンチキンの男の子ボックとのところへやってきて、このあたりで遊ぶならどこがおすすめか聞いてくる。
Dancing through life 人生を踊り明かそう
[フィエロ]:
学校の悪いとこは いらないことばっか教えちまうことだ それが身をもって十分わかるだけの学校は 退学させられてきてるよ もっと深みのある人間にさせようとするけど でもまって なんでストレス溜まりやすくさせるの 苦痛を学ぶのはやめて 採点されない人生を生きようよ
人生を踊り明かそう 表面をうまく滑って 楽な道を選ぶ あんまり考えなければ 人生は楽しい 考え込んだりしないで 楽にできる時に
人生を踊り明かそう 難しくしなくていい 簡単にこなせるんだから なにも気にしなくていい ただの人生なんだから 踊り明かそう 人生を踊り明かそう ふらふらとうまい具合に そしていつもクールに 不安なことなんてなにもない 深く考えなくていい がんばらなければ 失敗したりしない
人生を踊り明かそう 考えず 注意せず 問題はそこらに散らばってる 苦痛はすぐ過ぎ去り 打撃はかわしてる 踊り明かしてしまえば (台詞)で―この町で一番スワンキファイドな場所はどこだい? [ガリンダ]: (台詞)それならオズダストボールルームじゃない? [フィエロ]: (台詞)いいねえ! (歌う)オズダストボールルームで今夜会おう 朝まで踊り明かそう フロアで一番かわいい女の子と踊るのさ オズダストボールルームへついておいで 来てよかったと思えるよ [二人]: 人生を踊り明かそう オズダストボールルームで [フィエロ]: どうせいつか ダスト(塵)になるのなら [二人]: 何も気にしなくていい ただの人生 [フィエロ]: だから踊り明かそう [ボック]: (台詞)ガリンダさん― 最後の一曲を、僕のために残しておいてください あそこで、待ってます 一晩中でも [ガリンダ]: (台詞)あら・・・やさしいのね ビック [ボック]: ボック、です [ガリンダ]: でももっとやさしいことって何か知ってる? あの悲劇的に美しい女の子 あの車椅子の なんて不公平なの 私たちは楽しめて 彼女だけ遊べないなんて ああ!誰かが彼女を誘ってくれたら 私のヒーローなのに・・・! [ボック]: (台詞)えと、そうしたら・・・ 僕が誘いますよ! [ガリンダ]: あら、ビック、本当?私のために・・・? [ボック]: 僕はあなたの為なら なんでもしますよ。ガリンダさん。 [フィエロ]: (台詞)やるねえ [ガリンダ]: (台詞)・・・何を言ってるのかよくわからないわ! でも私、今夜予定が空いちゃったから じゃあ・・・ [フィエロ]: (台詞)じゃあ迎えに行くよ・・・8時ごろ? [ガリンダ]: (台詞)わかったわ― (歌う)私たちが出会ったってことは― [フィエロとガリンダ]: 私たちお互いが必要ってこと [ガリンダ]: あなたは完璧 [フィエロ]: きみは完璧 [二人]: じゃあ私たちは一緒にいても完璧ね 一緒になる為に生まれてきた 人生を踊り明かそう
◆生徒たちがみなパーティーのことで頭がいっぱいでうかうかしているのを横目に、エルファバは軽蔑すべきフィエロのことをネサローズに話す。 するとなんと、ネサローズまでパーティーへ行くということをエルファバに告げる。 しかも、それができたのもみんなエルファバの大敵、ガリンダのおかげだというのだ。
[ネサローズ]:
(台詞)エルファバ・・・素敵なことだと思わない!?
やっとこの一晩だけ 私も楽しむことができるの ガリンダが見つけてくれた そのマンチキンの男の子と なにか彼女にお返しを してあげられないかしら エルファバ、ね? 私たちお互いが必要なの ガリンダはそれを叶えてくれた お互いが必要なの 私とボックは (台詞)エルファバ、ね、わかってくれる? [エルファバ]:
わかるわ― エルファバと同じ寮の部屋で、ガリンダは今夜のパーティーの支度をしている。 意地悪な女の子たち、ファニーとシェンシェンが、ガリンダの荷物の中から黒いとんがり帽子を見つけだし、ガリンダに、エルファバがパーティーにその帽子ををかぶって来るように言うようそそのかす。エルファバがガリンダのところへネサにしてくれたことを感謝しに来ると、その前にガリンダはエルファバに帽子を差し出す。 [エルファバ]:
ガリンダ―ちょうど妹とあなたのことを話していたの [ガリンダ]:
(台詞)私たちもちょうどあなたのことを話していたの! この帽子、パーティーにかぶっていきたくないかな、と思って! (歌う)これ、えっと、すごく・・・シャープだと思わない? だって黒は―今年のピンクだし! あなたたちお似合いよ この帽子とあなた お互いとっても―スマートだし! あなたたちお互いが必要なのよ 私の、こころからの贈り物― オズダストボールルーム。 踊るフィエロとガリンダを見ながら・・・ [ボック]:
ネサ [ネサローズ]:
はい? [ボック]:
あー、ネサ、 言わなきゃいけないことがあって―ええっと どうして―いや、今日君を誘ったか ずるいのかもしれないけれど― [ネサローズ]:
(台詞)ああ、ボック・・・わかっているわ [ボック]:
そうなのかい? [ネサローズ]:
私が車椅子だからでしょう かわいそうだと思ってくれたのね―そうでしょ? [ボック]:
(台詞)ち・・・違うよ・・・!まさか!えっと、だから・・・だから・・・! (歌う)君があまりに綺麗だったから― [ネサローズ]: まあ ボック! あなた素晴らしい人だわ! 私たちお似合いね
これって私たちのチャンスよね 私たちお互いが必要なの そうじゃない?ボック [ボック]:
とにかく・・・ 踊ろう! [ネサローズ]:
え? [ボック]:
踊ろう!! ボックはそのままネサをダンスフロアへ連れ出す。エルファバはガリンダにもらったとんがり帽子をかぶってフロアへ入ってくる。 周りの生徒たちが彼女を見て笑い、エルファバはガリンダが帽子をくれたのは彼女を笑いものにするためについた嘘だと気づく。 エルファバは、笑う周りの生徒たちを無視して目を閉じ、ひとりで踊りを始める。 その後、マダムモリブルがフロアに入ってきて、ガリンダに魔術のクラスに参加するよう伝える。 ガリンダはこれ以上にないほど喜ぶが、それは、ガリンダが魔術のクラスを受けられないなら自分も魔術のクラスを受けないとマダムモリブルを脅したエルファバのおかげだと知り、自分が彼女にしてしまったことを恥じる。 ガリンダは、ひとりで踊るエルファバに歩み寄り、一緒に踊りだす。 ALL
人生を踊り明かそう オズダストボールルームで どうせいつかダスト(塵)になるのなら 不思議なことは 運命は変わるってこと 踊り明かしている間に!
◆寮の部屋に戻っている二人。 ダンスパーティーのあと、ガリンダとエルファバは友達になり、ガリンダはお互いの秘密を打ち明けあいたいとエルファバにお願いする。ガリンダの秘密は、フィエロはまだ知らないけれど、自分は彼と結婚するつもりだ、と打ち明ける。エルファバは、悲しくも自分の父が、母親の死の原因となった自分をとても嫌っているということを打ち明ける。母の形見として、緑のエリクサーのボトルをいつも持ち歩いていることを告げた。
ガリンダはそんなエルファバを不憫に思い、エルファバを次なる題材(プロジェクト)にすることを決める。 [ガリンダ]: 「もう朝になっちゃったわ、エルフィー! ・・・エルフィーって呼んでもいい?」 [エルファバ]: 「まあ・・・ちょっと変な感じがするけど。」 [ガリンダ]: 「あなたも私のこと―ガリンダって呼んでいいわ。決めたの。私あなたを次の『プロジェクト』にするわ!」
Popular ポピュラー
[ガリンダ]:
(台詞)エルフィー・・・私たち、お友達になったから、あなたを私の次の『プロジェクト』にすることにしたわ [エルファバ]:
(台詞)ほんとに、そんなことしなくていいのよ [ガリンダ]:
(台詞)そうなの・・・だから私って いい子なの!
私より不幸な人を見かけると
(まあ私より不幸じゃない人なんていないんだけど) 私の良心がしくしく痛むの 誰かをよりよくするには 私がしてあげなきゃって思うの 何をどうすればいいかちゃんとわかっているから あなたの場合もそう 今までに一番タフなケースだけど・・・
心配ないわ 私は成功する為に生まれてきたの 私に任せれば 必ず
ポピュラー! 人気者になれる 教えてあげる 男の子と話すときの 話題の選び方 かわいく見せるそぶりも 履くべき靴も 髪のやり方も ポピュラーになる為に必要なこと
ポピュラー! 人気者にしてあげる 一緒にいるべき友達も スポーツも上手に 覚えとくべき言い回しも だからはじめましょ あなたの道のりは長いわ
私の分析を悪く思わないで 性格分析だと思えばいいの
人気者になることに関して これ以上にお友達で 姉妹みたいで いいアドバイザーはいないわ よくわかってるの ポピュラーになるってこと 私がつけば人気者になれる みじめだったあなたを捨てて:今みたいな 人気者になれないわけがない
ポピュラーになりましょ
かわいそうな外見の かわいそうな生き物を見ると 味方に立ってあげて教えてあげるの 名高い国の大統領とか 有名な代表者たち 頭がいいから代表になれたの? 笑わせないで
ポピュラーだったからよ 笑っちゃう 人気こそがすべて 中身じゃないの どう見られてるかがすべて 賢い生き方 私みたいに人気者になるの [エルファバ]: 「うまくいきっこないわ」 [ガリンダ]: 「エルフィー!そんなこと言っちゃだめ! 私のおかげで人生変わるのよ! ほらね、髪もこうして・・・ ・・・まあ、練習していきましょ! ほら、あなたのそのワンピース、 パーティードレスにしてあげるわ」 練習用の小さな杖でガリンダは魔法を試すが、うまくいかない。 「おかしいわね・・・まあ、いいわ。 あと・・・これ!」 ガリンダは頭につけていた花飾りをエルファバにつける。
(台詞)まあ・・・エルファバさん・・・ 見て・・・あなたとっても綺麗よ・・・! ガリンダはエルファバを鏡の前へ連れて行く。 [エルファバ]:
(台詞)私―も、もう行かなきゃ [ガリンダ]:
(台詞)どういたしまして!
まったく興味がないって
あなたは思っているけれど そのうち抗えなくなるわ 人気者になる喜びに! 人気者になるわ 私ほどではないけどね!
◆ヤギのディラモンド教授の授業中。 だが授業は、突然教室に入ってきたマダム モリブルとオズ職員の登場で中断される。マダム モリブルは、オズでは今後動物が教鞭をとることが許されなくなり、大変遺憾ながらディラモンド教授を辞めさせるしかなくなったと生徒たちに告げる。エルファバは突然の事態に大いにショックを受ける。ひとりのオズ職員が、授業を続ける為に教壇に立ち、新たな最先端の科学技術についてのレクチャーを始めた。 それは新たな発明、『檻』についてだった。 クラスに運び入れられた『檻』を生徒に見せると、中には小さなライオンの子供が捕らわれていた。それを見てエルファバは取り乱し、思わずクラス全体に魔法をかけてしまう。魔法はフィエロ以外にかかり、二人は檻を持ち出して森へ逃げ、このライオンの子供を逃がしてやった。 フィエロは事態に驚きつつ、胸が高鳴っていたが、どぎまぎとその場から去る。エルファバはフィエロに惹かれている自分に気づくが、所詮自分には叶わぬ恋、孤独感を深める・・・
I'm not that girl 私はその子じゃない
[エルファバ]:
手が触れて 目が合って 静かに 燃えあがる 心が高鳴る めまいがしそう 彼は理想の人かもしれない でも相手は私じゃない 夢見てはだめ 今の自分をよく見て 湧き出る喜びなんて捨て去って 彼は理想の人かもしれない でも相手は私じゃない
もしそうだったら って夢を見るけど それじゃ胸の痛みは和らがない 現実を見てしまったら
こぼれおちる笑み しなやかな手足 魅力的なあの子が彼の相手 金色の髪を綺麗に巻いて 彼が選んだのは彼女 天は知ってる 私はその子じゃない
願ってはだめ 考えないで 願うほど 心は痛む バラや真珠が似合うのは私じゃない そんな子を知ってる 彼は彼女を愛してる 私はその子じゃない
マダム モリブルは雨宿りをしていたエルファバを見つけて、喜んだ様子で駆け寄る。 [マダムモリブル]: 「とても素晴らしいニュースよ! ウィザードからやっと返事が来たの あなたに会いたいとおっしゃっているわ!」 マダム モリブルは、ぱっと雨を止ませる。 「あら、言わなかったかしら? 天気は私の得意分野なの。オズスピードよ! ついにウィザードに会えるわね 私を喜ばせてちょうだいね」 [エルファバ]: 「がんばります・・・ やっと・・・ウィザードとわたし・・・」
◆ガリンダはエメラルドシティーに向かうエルファバを見送りに駅へ来る。フィエロも後からやってきて、とても礼儀正しく、エルファバに気を使った様子で、ディラモンド教授の逮捕がどんなにひどいことだったか、そしてどうやって二人が一緒にライオンの子供を助けたかを話す。 ガリンダは話の輪に入ろうと、そのディラモンド教授に敬意を表して、彼がいつも発音を間違えてしまっていたガリンダの名前から『a』の音を取り、グリンダ(に名前を改名すると表明する。 しかし、結局それでもフィエロの気を惹くことはできなかった。ガリンダは泣き出して、どんなにがんばってもフィエロが自分の方を向いてくれない悩みを親友に打ち明ける。 エルファバはそんなグリンダを励ます為に、彼女も一緒にエメラルドシティーへ来ないかと誘う。
One short day エメラルドシティーでの一日
[エルファバ]:
(台詞)一緒に行こう エメラルドシティーへ [観光客]:
エメラルドシティーの あっという間の一日 [グリンダ]:
(台詞)ああ・・・! エメラルドシティーへずっと行ってみたかったの! [観光客]:
エメラルドシティーの あっという間の一日 エメラルドシティーの あっという間の一日 あまりにたくさんやりたいことがある 町のどこを見まわしても 素敵で行きたい場所ばかり 一日が終わる前に [エルファバ]: クオックスの森の木みたいに高いビル! [グリンダ]: ドレス屋さん! [エルファバ]: 図書館も! [グリンダ]: お城! [エルファバ]: 美術館! [二人]: どれもすごい 見たことないものばっかり [グリンダ]: みんな豪華で [エルファバ]: そして全部みどり! [二人]: やっとふさわしい場所を見つけた ここの一員になりたい [エルファバ]: いつかここへ帰ってこよう [二人]: 将来ここへ 自立して でも今日はとにかく楽しもう ALL エメラルドシティーの あっという間の一日 一生分の楽しさが詰まってる あっという間の一日 [エルファバとグリンダ]: 町に知らせるの 私たちがここにいたことを ALL ここを離れる前に 二人は『ウィゾマニア』と書かれた劇場の前へやってくる。観光客がどんどん中へ入っていく。 グリンダは観てみたくてしょうがなくなる。 [グリンダ]: (台詞)エルフィー!早く!ウィゾマニアに遅れちゃう! [エルファバ]: 「噛み締めたいの・・・この・・・誰も私をじろじろ見ていない感じ 誰も指をささない、生まれて初めて・・・ ふさわしい場所を見つけた・・・」 二人は手を取り合って劇場の中へ入っていく。 [ウィゾマニア]: 訪れた場所のオズを喜ばせてしまう 魔法使いは一体だれ? 私たちを救う為に現れた 賢人は一体だれ? 気球に情熱を注ぎ オズのみんなはうきうき なんて素晴らしい人 素晴らしいウィザード [エルファバとグリンダ]: だれもが足を運ぶ 私たちもここへ来る そしてその時も同じ 私たちは友だち [エルファバ]: いい友だち [グリンダ]: 大切な親友・・・ ALL 一緒に過ごす あっという間の [衛兵]: (台詞)ウィザードがお呼びだ! ALL 一日! ◆ウィザードの間に通されたエルファバとグリンダ。初めてウィザードに会い、挨拶をする。 [エルファバ]: 「お会いできてとても嬉しいです。」 [ウィザード]: 「それはよかった―私が一番好きなことだからね、人を嬉しくさせることは―」 ウィザードは、エルファバを自分のアシスタントにしたいと申し出る。そしてその採用試験として、エルファバにチステリーという名の猿が空を飛べるようにしてみて欲しいと言う。
A sentimental man 感傷的な人
[ウィザード]:
私は感傷的なんだ いつも私は「父」になりたいと思っていた だからオズの民 ひとりひとりを 自分の息子や娘のように思っている エルファバ 君も素晴らしく育てたい なぜならみな誰もが 空を舞う権利があると思うから 君を大成させることが 父親代わりに私ができること 私は感傷的だから
途中で、マダム モリブルがウィザードの間に入ってくる。なんとマダム モリブルはウィザードの広報に着任したというのだ。 驚くエルファバとグリンダ。マダム モリブルは、手にしていた古めかしい本をエルファバに渡す。 [グリンダ]: 「信じられない、それは・・・・グリマリーじゃないですか?」 [マダム モリブル]: 「ええ、そうです。古代の魔術と呪文の文献です。失われた太古の言葉―呪文が詰まっているのよ。」 エルファバはその本を開き、呪文を一つ唱える。 すると驚いたことに、チステリーに羽根が生えてきたのである。ウィザードはたいそう満足で、後ろにあったカーテンを開ける。すると、エルファバの想像を超える力は、カーテンの裏にあった檻の中いっぱいの猿すべてにまでも羽根を生えさせていたのである。 ウィザードはエルファバに、まんまと自分用のスパイ集団を作らせたのだ。エルファバはウィザードの魂胆と、そのつもりがなかったのに動物たちを傷つけてしまったことを知る。しかも、ウィザードの正体はただの人間で、彼には何の魔力もないことに気づく。 彼が欲しかったのは、エルファバのようにグリマリーを使うことができ、彼の手足となって働いてくれる手先なのだとわかると、耐え切れなくなったエルファバは、グリマリーを手にしたままその場から逃げ出したのだった・・・
◆エルファバとグリンダの二人は、ウィザードの城にあるてっぺんの塔へ逃げ込んだ。 ドアは、古いほうきをかませて塞いでいる。
Defying gravity 重力を操って
[グリンダ]:
(台詞)エルファバ―どうして急に飛び出したりしたの! どうして冷静にしていられなかったの! (歌う)満足でしょうね! 自分のやったことに さぞご満悦でしょう せっかくのチャンスを台無しにして よくやったと思ってるんでしょうけど [エルファバ]:
あなたも満足でしょうね! さぞご満悦でしょう どこかの権力にひれ伏して 自分の野心を満たして! [二人]:
何でそんなことするのか知りませんけど さぞご満足でしょうよ [グリンダ]:
(台詞)エルフィー お願いだから聞いて ・・・ちゃんと謝ったらまだ間に合うわ (歌う)まだウィザードと一緒になれる そのためにがんばってきたんでしょう? ずっと欲しかったものが目の前にあるのに― [エルファバ]:
(台詞)わかってる でも欲しくないの いいえ ―もう欲しがっちゃいけないの これ以上
何かが変わった 私の中で 何かが違う もうこれ以上誰かが決めた ルールに縛られたくない 答えが見えてしまった 夢見るのも終わり 今こそ自分の力を信じて 目を閉じて・・・飛び立つの 試すときがきた 重力を無力化して 試してみよう 重力を操る もう誰も私を地に降ろせない [グリンダ]:
まだわからないの?
自分の力を過信しすぎてる― [エルファバ]:
もう嫌なの 誰かが勝手に決めた 限界に縛られるのは 変えられないものもあるけど やってみなきゃわからない! ずっと愛を失うのが 怖くてしかたなかった でももし愛を失ったのなら もっと他に与えられるものがあるはず すぐできるようになるわ 重力を操るの さよならのキスをして 重力を操るの もう誰も私を地に降ろせない
(台詞)グリンダ―一緒に行こう 私たちにはできることがある 力を合わせれば (歌う)無限大 私たちの力は限りない 一緒なら今までにない最強のチーム グリンダ―一緒に描いた夢を [グリンダ]: 力を合わせれば [二人]: 勝てない敵はいない あなたとわたしで 重力を操って あなたとわたしで 重力を操って [エルファバ]: 誰も私たちを地に降ろせない (台詞)さあ、一緒に来る? グリンダの答えは ―いいえ― だが、言葉に出すことができない。 [グリンダ]: 幸せでありますように あなたがこの道を選んだことが [エルファバ]: (台詞)あなたも (歌う)あなたに幸が訪れますように [二人]: 本当に成功を祈ってる あなたが後悔したりしませんように 最後にはハッピーエンドが待っていますように 幸せでいて 大切な私の友達 ウィザードの衛兵が追いかけて来る。 エルファバはほうきを手に、衛兵を自分の方へ引き付ける。 [エルファバ]: もし私を見つけたかったら 西の空を見て 誰かが教えてくれたの 「誰もが空を舞う権利がある」って 私がひとりで飛べるようになっていたら せめて自由に飛んでいたら 私をさげすんだ人たちに 見せつける私からのメッセージ 教えてやって 私が重力を操る様を 高く舞う 重力を操って その姿を見せつけて オズ中のなんぴとたりとも 昔も今もどんな魔法使いにだって もう誰も私を失墜させられない [グリンダ]: 幸せでありますように [オズの民衆]: あれを見ろ!ウィキッドだ!捕まえろ! [エルファバ]:
失墜させられるものか! [オズの民衆]:
誰もあいつを悲しまない あいつを地に 降ろせ!

《第一幕 終わり》
◆時が過ぎ、オズの国は今や西の悪い魔女の恐怖に怯える日々が続いていた・・・
Thank goodness ああ よかった!
[オズの民衆]:
日に日に もっとウィキッドになる 毎日 恐怖は増していく オズがこんなことになったことはない それがウィキッドということ 行く先々に恐怖を振りまいて 犠牲者を探している あいつが飛んだところには みどりの吹雪が吹くらしい! ウィザードの悪口を言って 中傷し 嘘をついているらしい! ALL
嘘をつくんだ! ウィキッドから救ってくれ 呪いにかけられないように 注意しなくては 次はどこが狙われる?次はどこが狙われる? 次はどこが狙われる―?
グリンダはフィエロに内緒で彼との婚約を発表し、オズの民衆はそのままお祝い騒ぎになだれ込む。グリンダとフィエロとマダム モリブルは、今や全員がオズ政府の職務についている。 フィエロはエルファバに対する政府から植えつけられた偏見やプロパガンダは解せないものの、今や不本意ながら彼女を追う側の身分に立っている。しかし、エルファバに対してオズの民衆が間違ったうわさを鵜呑みにしている現状に嫌気が差す毎日を送っているのだった。
[グリンダ]:
(台詞)オズの皆さん― 恐怖や混乱は今日はひとまず置いておいて そしてお祝いしましょう! (歌う)こんなお祝いができるなんて素敵 [民衆]:
ああ よかった! [グリンダ]:
お祝いしましょう グリンダ風に [民衆]:
ああ よかった! [マダム モリブル]:
やっとこの日が 悪い魔女がいない日 [民衆]:
これ以上の喜びはない ああ よかった! マダム モリブルはグリンダとフィエロの方に向き、フィエロが衛兵の長に任命されたことを喜び、また二人の婚約を祝う。婚約のことを知らなかったフィエロはその事実に驚く。 [グリンダ]:
そう―こんなに嬉しいことはないわ そうでしょ? こんなに嬉しいことはないわ こんなふうに よく見て おとぎ話みたいな ハッピーエンド こんなに嬉しいことはないわ そうよね こんなに嬉しいことはないわ この終焉を みんなで分かち合う喜び
彼は最高にハンサムで 私は最高に謙虚に 私たちは最高に嬉しい だって喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの [マダム モリブル]:
(台詞)グリンダ とても嬉しいわ ウィザードの広報としてオズの皆さんに あなたの勇敢さを伝えなくては
(歌う)あなたがオズに召喚されたとき ウィザードはすぐに理由を告げなかった でもあなたが彼の前にひざまづき 頭を下げたとき 彼はあなたを良い魔女:グリンダに 任命したのです!
すると嫉妬深い金切り声が 悪い魔女が沈黙を破り こそこそと隠れていた所から飛び出してきて! [民衆のだれか]:
あいつにはもう一つ 眠らない眼があるらしい あいつは蛇みたいに、簡単に皮を脱ぐらしい 反逆した動物たちが、あいつを匿ってるらしい あいつの魂は汚すぎて 清い水で溶かしてしまえるらしい [フィエロ]: なんだって!? [民衆]:
溶かせる!? お願い―だれかあいつを溶かしてしまって― [フィエロ]:
(台詞)聞いたか―水で溶けるだと?! あんなことまで信じるなんて あまりに馬鹿げてる! [グリンダ]:
(台詞)フィエロ! ―あ、・・・ええ、 ありがとう、みなさん 彼、飲み物を取りに行ってくれたの とっても 思いやりがあるのよね・・・
だから―こんなに嬉しいことはないわ ―いいえ 単純に喜べないの たしかに ただちょっとだけ― 望んでいないわけじゃないのに 単純に喜べないの 単に喜べない
(台詞)そう・・・ただ「単に」
夢が叶うって変な感じ すこし・・・複雑 なんていうか・・・代償があるような いくつか・・・失うものがあるような 渡り終わるまで渡ったことに気づかない 橋のような
その喜びや震えが 思っていたとおりじゃなくても―でも― 喚起と喜びでいっぱいの この完璧なフィナーレで 喜ばずにいられない だからこんなに嬉しいことはない だって喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの―・・・そうでしょう? 喜びとは夢が 全部叶うと感じるもの [民衆]:
グリンダ、私たちはあなたが大好きです [グリンダ]:
ああ よかった! [民衆]:
この喜び 誰に感謝すべきか知っている ああ よかった それはウィザードとグリンダ [グリンダ]:
そしてフィアンセも [民衆]:
これ以上にない素晴らしい人たち これ以上にないグリンダの美しさ これ以上にない幸運 [グリンダ]:
こんなに嬉しいことはない [民衆]:
ああ よかった [グリンダと民衆]:
今日は 今日に感謝を! ◆マンチキンランドの政府で市長を務めているのはネサローズ。側近にはボックが召使として働いている。そこへエルファバが現れる。 彼女は終われる身となってから逃亡生活を送っており、ここを治めている父を頼って匿ってくれる場所を求めに来たのだった― しかし、その希望は見事に打ち砕かれる。その父はもう死んだと、ネサから聞かされたからだった。ネサは父の跡を継ぎ、マンチキンランドを治めている。ネサは昔より意地悪になっていて、エルファバが魔力があるのに自分の不自由な足をそのままにしていると彼女をを責めたてるのだった。エルファバはグリマリーを開き、呪文を一つ唱えてやる。すると、ネサの靴が宝石のように輝きだし、綺麗なルビー色のぴかぴかな靴になると、その魔法の靴を履いたネサは初めて車椅子から自分の足で立ち上がることができた。エルファバは、やっと自分の力を人のために、良いことのために使えたことを喜んだ。ネサはその喜びのあまりボックを呼ぶと、彼はこれをチャンスだと思い言った。自分で立てるようになったあなたの元を私が去っても、もう大丈夫でしょう、と。 [ボック]: 「グリンダが婚約したそうなのです。今夜そのパーティーがある。僕はそこで、彼女へ自分の気持ちを告げなくてはならない。 僕の心は彼女に奪われてしまっているのです。 彼女を見た、その瞬間から。」 [ネサローズ]: 「心を奪われた!?本当かどうか確かめてみる必要があるわ!!」 エルファバの静止をさえぎり、ネサはグリマリーを奪ってその中から呪文を探す。 [ネサローズ]: 「あなたは『私に』心を奪われるのよ―この場からただで帰すと思う!?」 [エルファバ]: 「ネサ、止めて!危ない!!」 ネサはグリマリーから呪文を唱えると、ボックは胸を押さえながら苦しみもだえはじめた。 [ボック]: 「なんだ!?心臓が・・・心臓が苦しい!縮んでいくようだ!!」 ネサは苦しむボックを見て自分がしてしまった事の重大さを知ると、エルファバに助けを求める。 [ネサローズ]: 「彼を・・・彼を助けて!かわいそうなボック・・・私を置いていかないで・・・私は東の悪い魔女だわ・・・私たちはお互いが必要でしょ・・・?」 そんな妹を見て、エルファバはボックの命を救う為の呪文を唱える。その呪文は、ボックを心臓なしでも生きていける体にするものだった・・・エルファバはネサに別れを告げ、そこを去る・・・
◆エメラルドシティー、ウィザードの間。 そこへ忍び込んだエルファバは、猿たちが捕らえられている檻を開けるためのレバーを探している。いつの間にかその場にウィザードが現れ言う。もう一度、自分のもとに来ないか、と―
Wonderful ワンダフル
[ウィザード]:
そうしてほしいと願ったわけでも 計画したわけでもないんだ 私はただ単に運よく 風に吹かれてここへたどり着いただけ 一度も自分を 魔術師とも哲学者とも思ったことはない 自分のことは良くわかっている ただの平凡な人間だということを
そして急にここにたどり着いて 尊敬のまなざしを浴びて まるで崇拝されるような たまたまオズのみんなが そういう対象を求めていたから 急にそんなことになるなんて びっくりするだろう? 熱気球にだけじゃなく 幸運にも吹き飛ばされて
“ワンダフル” みんなが言うんだ―“ワンダフル” そこまで言うなら じゃあなろう―“ワンダフル”に そしたらみんなが言った―“ワンダフル”だ 抵抗できっこない素晴らしさ だって“ワンダフル”な気分 みんなが私を“ワンダフル”だと言う “ワンダフル”なのは誰だと思う? トウモロコシを貰えるカモみたいな気持ち 私は言った「きっと素敵だ みどりの町を作ったら “ワンダフル”な黄色いレンガの道も一緒に」
(台詞)ほらね―私は自分の家族というものが無かったから 私はただ―オズのみんなに『何でも』欲しいものを与えてあげたかったんだ [エルファバ]:
(台詞)だから嘘をついたのね [ウィザード]:
(台詞)エルファバ、私がどこから来たかなんて―私たちはたくさんの嘘を本当だと思って信じ込んでいる それを私たちは―『歴史』―と呼ぶんだ
(歌う)裏切り者は他では解放者 お金持ちは泥棒か?慈善家か? 十字軍は正義か―それとも無慈悲な侵略者? それはみんながどっちと思うかだ でもみんなモラルのある人ばっかりだから そんな二面性なんて無いことになってる
みんな私を“ワンダフル”だって言うんだ だから私は“ワンダフル”なんだ 私の中身というより もう私の名前の一部 私の助けがあれば君もそうなれる
長い長い間待っていた 答えを― エルファバ―祝福されるのは 更生した者だよ オズ中の祝福が 君だけのために―“ワンダフル” 君が“ワンダフル”と呼ばれるよ [エルファバ]:
そうしたら確かに“ワンダフル”ね― [ウィザード]:
信じて とても楽しいよ [二人]:
君が“ワンダフル”な時 “ワンダフル”な気持ちになれる? “ワンダフル ワンダフル” [ウィザード]:
1!2!と―――!(二人は踊る)
[エルファバ]: 「わかったわ、そうする―」 [ウィザード]: 「すばらしい!」 [エルファバ]: 「その代わり、一つ条件がある。 猿たちを自由にしてくれたら―」 [ウィザード]: 「よろしい!」 ウィザードはレバーを引く。すると捕らえられていた羽根が生えた猿たちがいっせいに飛び立つ。
エルファバはほっとした―見覚えのある姿を目の当たりにするまで―よく見るとそこには毛布の下に、あのディラモンド教授の姿が。 ディラモンド教授は既に言葉を忘れたただの動物になってしまっていた。そんなディラモンド教授の悲しい姿を目の当たりにし、ウィザードを信用した自分を恥じ、彼に向き直るエルファバ。 [エルファバ]: 「私とあなたはまったく違う。 私はあなたのようにはなりたくない。 私は一生あなたと戦い続ける。 この命が燃え尽きるまで。」 窮地に立たされたウィザードは怯えた様子で衛兵を呼ぶ。衛兵が二人現れると、その一人がフィエロであることに気づく。 グリンダはエルファバが現れたことを聞きつけ、長く会うことが出来なかった大親友を喜びのあまり今すぐにでも抱きしめたい気持ちに駆られるが、愛するフィエロが突然、エルファバと共にここを離れる意志があることを彼女に打ち明けると、その感情は一気に心の痛みと憎しみに変わる。取り乱したグリンダはウィザードとマダム モリブルにフィエロの行動を伝え、エルファバを捕らえる為の秘策を打ち明ける。 ―エルファバの妹をおとりにするのだ、と。 マダム モリブルは専門分野である天候を操る力で、すさまじい嵐を巻き起こす。グリンダは失望感に襲われ、一人悲しく思いにふける。
I'm not that girl (Reprise)
私はその子じゃない(リプライズ)
[グリンダ]:
願ってはだめ 考えないで 願うほど 心は痛む 知ってる女の子がいる 彼は彼女を愛してる 私はその子じゃない
◆フィエロの城へ逃げ隠れた二人は、ギリキンの森の焚き火の前で、お互いの想いを通じ合わせる・・・
As long as you're mine 貴方が私のものである限り
[エルファバ]:
痛いくらいのキスをして きつく抱きしめて 信じることに戸惑っているから 貴方が今夜ここにいてくれることに 想像すらできなかった 横たわる私のそばで 貴方が私を求めてくれることなんて
ただこの瞬間だけ 貴方が私のものである限り どんなに多くの抵抗があっても もう境界線を越えてしまった そしてこの結末が 早くに終わりを告げたとしても すべての瞬間を出来る限り長く紡ごう 貴方が私のものである限り [フィエロ]:
僕は脳無しかもしれない もしかしたら賢明なのかも― 君は僕の視界を まったく変えてしまった いつからか僕は君の 呪文に掛かってしまったようだ そして不思議な感じなんだ まるで僕が落ちているのは
舞い上がる方向のようで [二人]:
すべての瞬間 貴方が私のものである限り この身をすべて貴方のために 失われた時間を取り戻すために使おう [フィエロ]:
僕ら二人一緒の未来が無かったとしても― [二人]:
わかっている わかっている気がする― でもそんなのは関係ない ただこの瞬間 貴方が私のものである限り 自分に素直になって 今の自分たちがどんなに輝いているかを見て 月の光を借りて
すべてが過ぎ去るまで 覚えていて
貴方を抱きしめるために私はここにいるから 貴方が私のものである限り [フィエロ]:
(台詞)どうした―? [エルファバ]:
(台詞)―ただちょっとだけ―生まれて初めて―
ウィキッドな気持ちになったの―
◆すると、エルファバは家が空を舞っている不自然な光景を見る。それに不穏な空気を感じると急いでマンチキンランドへ飛んで向かった。 辿り着いたそこでエルファバは、カンザスから来たドロシーという名の女の子の姿と、自らの妹の壮絶な死を目の当たりにする。 顔を合わせたエルファバとグリンダはお互いに妹の死と失った恋人のことに心を痛めながら敵意をむき出しにするのだった。 そしてそこにフィエロが再度、エルファバを助けに現れる。フィエロはエルファバを逃がす為に自ら捕えられる。すると今度は、エルファバの隠れ家を明さなければ死に至る恐ろしい呪いを掛けられてしまう。フィエロはエルファバの居場所を明かすことを拒み続け、野原の棒に掛けられ死ぬまでそこに置き去りにされる。フィエロの城では、彼に助けられたエルファバがどうにかしてフィエロの命を救おうと呪文を探すのだった・・・
No good deed 失敗した善行
[エルファバ]:
(台詞)フィエロ!
(歌う)エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン
肉が引き裂かれないように 血しぶきを上げさせられないように 彼が痛めつけられようとも 痛みを感じられないように― 骨も折られないように 彼を殺そうとする なんぴとたりからも守って 彼を不死身にして 彼を不死身にして―
エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカナーメン エレカナーメンナーメン アーチュムアーチュム エレカ・・・エレカ・・・!!
この呪文は本当に効くの? 何を読んでるのかもよくわかっていない! 一体どの術を掛けようとしているのか フィエロ、どこにいる? もう息絶えてしまった?血を流している? この仕打ちであなたも 私の犠牲者の一人になってしまうの―
良い行いは失敗しても罰せられない 気づかれないまま通り過ぎてく 良い行いは失敗しても罰せられない 私が見つけた新しい信念 ずっと良かれと思ってしてきた行いが 私を導く先はいつも同じだった 良い行いは失敗しても 私を罰してはくれない!
ネサ・・・ディラモンド教授・・・ フィエロ・・・フィエロ!!
ひとつの問いが私を責め立てる 何度も何度も繰り返して 本当に良い事をしようと思ってた? それともただみんなに注目されたかっただけ? 良い行いってそんなこと? 氷のように冷たい目で冷静に外から見直してみたら 良い行いなんてそんなことなら 罰が下らないのはうなずける―
良い行いは失敗しても罰せられない そんな行いの衝動なら今後すべて取り払おう 良い行いは失敗しても罰せられない もちろん良かれと思ってしたことだった なのにその「結果」をもう一度よく思い出して― わかった もうたくさん ・・・もうそのまま ほうっておけばいい― オズ中が思えばいい 私は何をしたって『ウィキッド』なんだと どんなにがんばっても成功できなかった フィエロ 貴方を助けることさえ だから誓おう もう二度と良いことをしようなんて 絶対に思ったりしないって もう良いことを しようなんて思うものか!
◆その頃オズでは、民衆が魔女狩りの準備を進めている・・・
[オズの民衆]:
あいつを探して 見つけて 狩って 殺せ! (台詞)幸運を!魔女狩りのみんな! あいつを探して 見つけて 狩って 殺せ! 魔女を殺せ! ウィキッドな者には罰を 悪は根こそぎ排除しなければ ウィキッドな者には罰を 魔女を殺せ! [ブリキの男]:
(台詞)これはウィザードの為になるだけじゃない 俺は個人的な恨みもある あのエルファ・・・あの魔女に!
(歌う)あいつのせいで俺はブリキになってしまった あいつの呪文のせいだ 初めて俺は心臓が無いことがうれしいよ 「心なく」あいつが殺せるのだから!
そしてこのライオンにも あいつから受けた悲しい仕打ち こいつの若かりし日に 自分で抵抗することを覚えさせていれば こうして臆病者にならずにすんだのに CROWD
殺せ! 魔女を殺せ! ALL
ウィキッドな者には罰を 勇敢な魔女狩り達に加わりたい ウィキッドな者には罰を 罰を!罰を! 抜かりなく!
◆湧き上がる民衆を尻目に、グリンダはあまりに事が大きくなってしまったことを行き過ぎに感じ、マダム モリブルに事態の収拾を懇願する。 しかし、余計な口を利く暇があったら黙って自分のやることをしていればいい、とマダム モリブルの答えは冷ややかなものだった。 その間、エルファバはドロシーを捕らえる。 グリンダはエルファバのいるキアモ コ城に現れ、エルファバに降伏してほしいと頼む。 エルファバはそれを拒否するが、グリンダの突然の訪問に加え、フィエロからの手紙が届いたことも重なり、かたくなに閉じていた心が開いていくのだった。そしてエルファバは自分が今何をすべきなのかを悟る。エルファバは親友に自分の最後の願いを託す。自分が何度しようとしても出来なかった、人に良いことをすること。この意志をグリンダに継いで欲しい。そして、絶対に自分の『ウィキッド』な汚名を晴らそうとしたりしないで欲しい、と。なぜそんなことを― グリンダが口を開く。すると・・・
For good 最後に
[エルファバ]:
限られてる 私を見て―私はもう限界にきてる あなたを見て あなたになら私ができなかったことがみんなできる―グリンダ・・・ あなた次第よ (台詞)私たち二人のためにできること (歌う)ここからはあなた次第― [グリンダ]:
聞いたことがあるの 人が出会うのには理由があるって 学ぶべきことを教えてくれる人に 私たちは 一緒に成長すべき人の元へ導かれ その人に助けられて またお返しに助けてあげることができれば それが真実かどうかはわからないけど でも今日の私がこうしているのは あなたに出会うことができたから
彗星が軌道に引き寄せられて 太陽を横切るように 水流が森の途中で 岩にぶつかるように 誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はあなたに出会えたから 最後に変わることができた [エルファバ]:
これはもしかしたら あなたとこの人生で もう二度と会えないのかもしれない だから離れる前に言わせて 私のほとんどは あなたに教えてもらったことでできてる あなたは私の 心に刻まれているの
そしてどんな風に私たちの物語が終わろうとも 私は知ってる あなたが親友になってくれて 私の物語を書き換えてくれたことを 船が海からの風に押されて 停泊所を離れるように 空から鳥が落とした 遠くの森の種のように 誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はあなたに出会えたから [グリンダ]: あなたに出会えたから [二人]:
最後に変わることができた [エルファバ]:
ちゃんと言っておきたいの 今までごめんなさい 私があなたにしてしまったひどいこと [グリンダ]:
だけどそれは私も同じ あやまりたいことがたくさんある [二人]:
でもそんなことはもうこれ以上関係ない [グリンダ/エルファバ]:
彗星が軌道に引き寄せられて/
船が海からの風に押されて
太陽を横切るように/停泊所を離れるように
水流が森の途中で/空から鳥が落とした
岩にぶつかるように/遠くの森の種のように
[二人]:
誰かがもっといい結末があったと言うかもしれないけど 私はいい結末を迎えたと信じてる [グリンダ]:
あなたに出会えたから [エルファバ]:
あなたに出会えたから [二人]:
あなたに出会うことができたから 私は最後に良くなることができた
◆エルファバが水で溶けてしまったあと、グリンダは彼女の意志を継ぐ。グリンダは、ウィザードとマダムモリブルをオズの国から追放し、その座の後継者となったのだった。 そして物語は始まりに戻る。グリンダが民衆に、エルファバの死を伝えるあの時へ―
Finale フィナーレ
[民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない やっとあいつが死んでいなくなった やっと国に平和と喜びが戻った ALL
いいニュース!いいニュース! [グリンダ]:
誰かがもっといい結末が あったと言うかもしれない でも [エルファバとグリンダ]:
あなたに出会えたから [民衆]:
誰もあいつの死を悲しまない [グリンダ]:
あなたに出会うことができたから [エルファバとグリンダ]:
私は変わることができた― [民衆]: 誰もウィキッドの死を悲しまない ウィキッド! ウィキッド!

《第二幕 終わり》