他的乐评 · · · ( 7篇 )
The Time Walkers.6 岡田以蔵
1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざる...(0回应)
1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざる歴史の裏側にご案内することになりましょう。 序幕 从过去到未来,在连绵不断的时间长河中,不断出现完成永载史册的丰功大业的伟人。在他们的决断的背后隐藏着什么呢。这是关于因为偶然的恶作剧而迷失在时空夹缝中的人们的故事。同时,也是被命运玩弄的人们的故事。打开这扇时空之门,让时空的散步者来引领你走向不为人知的历史另一面吧。 2. 獄舎にて いったいどれほどの時間がたったのだろう。薄暗い牢の中、天井の梁からつるされたまま、昼夜を問わず、責め苦を受け続けた俺の肉体はすでに限界に近づいていた。それでも、俺は笑みを浮かべてみせる。 「わしはなんも知らんぜよ」 そんな俺の不遜な態度に、取調べの獄吏たちが竹の棒で俺の背中を殴打し、激しく攻め立てる。 「以蔵よ、観念してはいたらどうぜよ、勤王党の連中の指図で、おぬしが藩士の井上らを殺した証拠はあがっちうがき、それとも、人斬りの異名は偽りだとでもいうがか」 「人斬り以蔵」、京の都で剣を振るった俺を勤王の志士たちは畏怖と共にそう呼んだ。例え一時であれ、俺は同士達に必要とされ、認められる存在になれたのだ、そのはずだった、そう思いたかった。だからこそは、その名にかけて、口を割るわけにはいかなかった。 「知らんというちょる、わしはただの無職人鉄蔵じゃ」 頑なな俺に、獄吏が責め苦を続けるよう、合図を出す。忽ち体をつるす縄が緩み、真下におかれた水桶へ落とされる、更につるしてもまた落とす、その繰り返しに、縛られた関節が徐々に悲鳴をあげ、意識が遠のく。 「やはり俺はここで死ぬのか」 そんな思いが脳裏をよぎる。だが、後悔はなかった。人斬りとなり、俺の人生は変わった。望んだことを果たして死ぬのだ。かつてのように、ただみじめな人生を送りつづけるより、よほどましだった、あの泥の中を這いずりまわるような人生の何倍も。ふと、ある記憶が脳裏をよぎる。それは、この時代で土佐藩士岡田以蔵として生きる前、俺がまた150年先の現代と呼ばれる時代で生きている頃の記憶だった。 在监狱中 到底过了多久呢。在昏暗的牢房中,我被吊在房顶的梁上,我的肉体在经历了不分昼夜的酷刑拷打之后,已经接近了极限。可即使如此,我仍然露出一丝笑容。 “我什么都不知道。” 面对我不逊的态度,审讯的狱卒用竹棒狠命地抽打我的后背。 “以葬,你差不多就招了吧,根据勤王党的那些人的指示,我们已经有了你杀死藩士井上等人的证据,还是说,刽子手这个绰号是假的。” “刽子手以藏”,在京都地区不断杀人的我,被勤王党的志士们心怀畏惧地起了这个绰号。哪怕只有短暂的一段时间,我也曾经被这些同伴们需要,被他们承认,本该是这样的,我也在内心希望如此。正因为如此,赌上我的这个名字,也绝对不能开口认输。 “我说了不知道了,我只是无业游民铁藏。” 面对我的顽固不化,狱卒又开始了拷问,他下达指示,绑住身体的绳子突然就松了下来,我掉进了放在正下方的水桶里,瞬间,又被吊了起来,然后又被扔到水桶里,就这样不断重复,被绑紧的关节慢慢开始发出悲鸣声,我渐渐失去了意识。 “我果然要死在这里了吗。” 我这样想到。但是,我却毫不后悔。称为刽子手,我的人生全都改变了。这是希望达成之后的死亡。和我之前渡过的悲惨人生比起来,现在这样要好多了,现在要比之前陷在泥沼中不能脱身的人生相比,好了不知多少倍。我忽然回想起了一些事情。那还是我来到这个时代成为土佐藩士冈田以藏之前,是我还生活在150年之后的现代时候的记忆。 3.惨めな記憶 そもそも始まりから俺の人生はみじめなものだった。 「このクソがきが目障りなんだよ」 実際俺の中にある幼い頃の記憶は酔った親父に殴られ、泣きじゃくっているものばかりだ。ギャンブル好きで、毎日のように賭けに負けては大酒を飲み、その憂さを暴力というかたちで子供の俺にぶつける、親父はそんな器量の狭い男だった。 「お前には俺と同じく負け犬の血が流れてる、つまりクズなんだ。クズに何ができる?誰がクズのいうことを信じる?」 それが親父の口癖で、幼い頃から俺はそういい聞かされてきた。だが、本当にクズで最低なのは親父のほうだった。親父に殴られる俺をかばってくれた母は病弱で、とでも暴力に耐えられる体ではなかった。それでも親父は自分に逆らう母を容赦しなかった。必ず他人に認められるような人間になって見せる、俺がそう決意したのは、そんな母にさえ手をあげる最低な親父への憎しみからだった。 「俺は親父のようにはならない、将来他人に認められるようなでかいことを成し遂げる人間になってみせる。そして、証明してやるんだ、俺は親父とは違うって」 しかし、そうやって決意を口にする俺に、母はいつも悲しそうな笑みを浮かべるのだった。無理に特別な人間になんかならなくていい、普通に暮らし、普通に幸せになって欲しいと。親父に虐待される地獄のような日々にあって、母だけが俺にとって唯一の逃げ場であり、心の支えだった。中学を卒業して働きに出たのも、病弱の母を少しでも助けたかったからだ。だが俺が二十歳になる前、俺はそんな母を残して、家を出てしまった。最低な親父とこれ以上一緒に暮らすことに我慢の限界を感じ、家出同然に飛び出してしまったのだ。そして、その俺を思わぬ不幸が襲った。 そもそもの原因はやっと勤めた工場で、けんか騒ぎに巻き込まれたことだった。殴り合いを止めようとあって入った拍子に突き飛ばした男が機械の角で頭を打って、命を落としてしまったのだ。過失致死だったため、刑務所は数年で出られたものの、学歴や保証人もなく、更に前科者の経歴が加わった俺にとって、社会は厳しい場所だった。就職は言うに及ばず、家を借りることすらできずに、日雇いの現場で、重労働を続ける毎日、それはどこにも居場所のない孤独な日々だった。 「いっただろう、俺達は世の中の落後者なんだ、誰からも認められず、何かを成し遂げることもできやしない」 それは母の死を知らせに、たっだ一度だけ刑務所へ面会にきた親父が口にした言葉だった。母は金のかかる手術を受けられなかったため、なくなったという、それは俺にとって、唯一の理解者の死を意味した。違う、俺は親父と同じにはならない。母を残して家を出たおのれの過ちを後悔すると同時に、俺は理不尽な社会に憎しみを抱くようになっていた。母は自分が夢見た普通の幸せすら手にすることなく、みじめに死んだのだ。そんな社会でまじめに生きるだけ無駄だった。こうなれば、どんな方法を使ってでもなりあがれる場所へいくまでだ。そう決意した俺が行き着いた先は裏社会だった。俺はある犯罪組織の構成員になったのだ。そこが社会の底辺であるという自覚はあった。ただ、それでも構わなかった、とにかく力を手に入れ、成功し、他人に認められるような人間になるのだ。俺は待ち続けた、その機会が訪れるのを。 凄惨的回忆 本来从一开始我的人生就是一场悲剧。 “这个臭小孩很碍事啊!” 实际上,我幼年的记忆,全是被喝醉酒的父亲殴打和不停哭泣。父亲喜欢赌博,每天赌输了以后就要喝很多酒,然后把心里的不满通过暴力发泄到我身上。父亲就是这么没有气度的男人。 “你和我一样,身上流的都是败类的血,也就是垃圾。垃圾能做什么?谁会信垃圾说的话?” 这是父亲的口头禅,从小时候开始我就不断听着这些话长大。但真正的垃圾其实是我父亲。每次父亲要打我的时候,母亲都会保护我,但是母亲的身体不好,承受不了这样的暴力。但是,即使如此父亲对于反抗自己的母亲也毫不留情。我下定决心,一定要成为让别人承认的人。这也是因为对于动手殴打母亲的父亲的憎恨。 “我绝对不会变得和父亲一样的,我将来一定要成为让其他人承认的,能干大事的人。我一定要证明,我和父亲不一样。” 但是,听到我的这个决心,母亲脸上总是流露出悲伤的笑容。她说,我不用勉强自己成为特别的人,只要我能够普普通通的生活,拥有普普通通的幸福就足够了。面对每天被父亲虐待的地狱般的生活,只有母亲是我唯一的避风港,是我心灵的支柱。初中毕业以后我就开始工作,也是为了能帮病弱的母亲减轻一些负担。但是,我却在20岁之前,便丢下了母亲,离开了家。我觉得我已经无法忍受继续和这样的父亲生活在一起,像离家出走一般逃离了。之后,我遇到了让我意想不到的不幸。 事故的原因是,在我工作的工厂中,被卷入了打架斗殴中。我本想阻止他们的打架,就乘势打飞了冲过来的一个男人,他的头撞到机器的一角,就那么死了。因为是过失杀人,我在监狱里呆了几年就被放了出来,但是我既没学历,又没有保证人,再加上还有犯罪前科,社会对我是非常残酷的。不用说找工作了,我连房子都租不到。我只能每天干着重体力的短工,过着没有归宿的孤独的日子。 “我说过了吧,我们就是这个社会的落后者,谁也不会认同我们,什么事也干不成。” 这是母亲死了之后,父亲为了通知我,唯一的一次来监狱会面的时候说的话。母亲因为没有钱做手术,去世了。这对我来说,意味着唯一一个理解我的人死掉了。不,我不会成为父亲那样的人。在后悔丢下母亲独自离家的同时,我对这个残酷的社会产生了憎恶。母亲连梦想中的普通的幸福都没有得到,就悲惨的死去了。在这样的社会中过着悲惨的生活毫无意义。这样的话,无论使用什么手段,我也要往上爬。下定了这个决心以后,我来到了黑社会。我成了一个犯罪组织的成员。我知道自己处于社会的最底层。但是,这也没关系,总之我要变得强大,成功,让别人都认可我。我就这样不断等待着机会的降临。 4.任務 やがて、チャンスがやってきた。ある日、組織から大役を任されたのだ。組織を裏切った幹部の家族を見せしめに襲撃する、それが任務だった。そのために、逃亡先の京都へと送り込まれた俺は組織の指示に従って、近くの公園に標的が現れるのを待ち受けていた。 「やるんだ、ほかに選択肢はない」 駐車場に止めた車の中で、見張りを続けながら、そうおのれに言い聞かせる。故意に人を殺めるのは初めてだったし、相手は家族というだけで、かたぎの人間だ。それでもやるしかなかった。成功すれば、組織の中で一目置かれるのは間違いない。誰かに認められる、それは俺がずっと目的としてきたことだった。そのためにも、どうしてもこの役目を果たす必要があるのだ。上手くいけば、運も向いてくるかもしれない。決意を固めると、俺は標的が現れるのを待ち続けた。 「ん?」 といつの間にか、車の横に、一人の老人が立っていることに気付いた。黒いコートに黒い帽子、そんな奇妙なかっこうの老人だった。近づいてきた気配がまるでなく、いつ現れたのかも分からない、ただ、標的が現れる時間が迫っていた。このままでは任務に支障をきたす、焦った俺は実力行使に出ることにした。 「邪魔だよ、爺さん、どこかよそに」 そう言って、車の外へ出た瞬間だった。 「あ」 突然、何かが爆発したかのように、周囲に光が満ちたんだ。避ける間もなく、光に飲み込まれ、俺の意識は深い闇のなかへと落ちていった。 任务 不久之后,机会就到来了。有一天,组织交给我一个大任务。为了惩一儆百,命我袭击背叛了组织的干部的家人。因此,我被送到他们躲藏的京都,听从组织的命令,在附近的公园等待目标的出现。 “只能干了,没有别的选择。” 我在停车场的车子里,一边不断观望着,一边如此劝说自己。我这是第一次故意杀人,而且对方只是家人,都是普通人。可即使如此我也只能做了。如果成功的话,我一定会在组织中受到重视的。得到别人的认可,这时我一直以来的目标。因此,我一定要完成这个任务。如果干得漂亮的话,说不定还能带来好运。我下定决心之后,继续等待目标的出现。 “咦?” 我突然注意到,不知什么时候,车子旁边站了一个老人。黑色的外套,黑色的帽子,这个老人的打扮非常的奇怪。我完全没有注意到他的存在,也不知道他是什么时候过来的,但是,因为目标马上就要出现了,如果这样下去的话,会给完成任务带来麻烦。焦急的我想要使用武力解决问题。 “大爷,你很碍事呀,去别的地方呆着吧。” 我一边说着,一边走出车外,就在这个瞬间。 “啊!” 突然,似乎有什么爆炸了一样,我周围充满了光亮。我还来不及躲开,就被光芒吸了进去,我的意识就这样渐渐落入幽深的黑暗之中。 5.幕末転生 気が付くと、月明かりのもと、俺は古い日本家屋に囲まれた路地に立っていた。奇妙なことに、建物はどれも木造で、まるで時代劇のセットのような場所だ。 「これは」 理解できない事態への戸惑いはおのれの格好を見て、すぐに動揺へと変わった。俺は腰に刀を差した浪人風の着物姿になっていたのだ。そして何より驚いたのは体つきまで変わっていたことだ。逞しい腕に、鍛えぬかれた体、それはまるで別人のものに思えた。慌てて近くにあった水桶に顔を映してみる。 「な、なんだ?一体、何が起こった」 あまりにも不可解の状況に、思わず声をあげる。おけの水面に映った顔は明らかに見知らぬ他人のものだったのだ。そのときだった、 「逃がすな!以蔵、そっちにいったぜよ」 数名の男達の声が聞こえ、それと共に、正面の路地の奥から誰かが走りこんで来る。現れたのは抜き身の刀を持った侍のような男だった。 「おおおおお」 しかも、おれの姿を見た瞬間、男は叫び声をあげて斬りつけてくる、必死の形相で迫る侍を見て、とっさに逃げろと、脳が指示を出す。だが、それより先に体がかってに動いていた。腰の刀を抜き放つと、おれは向かってくる相手を一刀のもとに切り伏せたのだ。血飛沫が飛び散り、声を上げることもなく、男は倒れる。 「そんな」 路地に倒れ込んだ男はぴくりとも動かなかった。人を切り殺した、それを認識した瞬間、その生々しい感触が蘇り、返り血を浴びたまま、茫然と立ち尽くしてしまう。 「おい、以蔵、やったようか」 そんなおれの前現れたのは数名の浪人風の男達だった。 「さすが人斬り以蔵じゃあ、たいしたもんぜよ」 駆けつけ来た男達はそう口々に俺の手際を誉めそやす。男達が口にする言葉はおれの知る限り、土佐弁に思われた。彼らの言葉を聴きながら、おれは自分が、いや、このおとこが岡田以蔵という名だと理解し始めていた。そして、そんな以蔵が置かれている立場についても。 そう、どういうわけか、覚えのない記憶が次々と脳裏に浮かぶのだ。今は江戸時代の文久二年で、ここは京の都だということ、そして、今夜は江戸幕府の打倒を目指す土佐勤王党の志士として、同士たちと共に幕府の役人に天誅を加えようとしていたこと。それは明らかにおれが知るはずもない、この岡田以蔵という男の記憶だった。 「そんな、そんなことが」 まさかおれは時代を超えて、150年前の幕末へと飛んでしまったとでもいうのだろうか。それも、幕末の土佐藩士に転生するかたちで。 「どういた、以蔵、顔が真っ青じゃぞ」 俺の異変に気付いたのか、同士の一人が声をかけてくる。その場を取り繕おうと、何とか笑顔で答えを返す。 「あ、大丈夫じゃ、ちくと疲れが溜まっちゅうだけぜよ」 しかし、おれの口から出た言葉はなぜか訛りの強い土佐弁だった。 「あ」 そこで俺は頭を抑え、地面に倒れこんでしまった。あまりの状況に、それ以上立っていることができなかったのだ。 转生到幕末 等我回过神来,在月光下,我站在周围都是古代日式房屋的街道上。更奇怪的是,所有的建筑都是木制的,仿佛是时代剧的拍摄现场一样。 “这是?” 当我看到自己的样子的时候,我对于这无法理解的现状的困惑,立刻变成了动摇。我腰间佩着刀,身穿浪人风的和服。更让我吃惊的是,我的体格也发生了变化。粗壮的手臂,经过锻炼的肌肉,这简直不是我的身体。我慌忙跑到附近的水桶边,想看看自己的脸。 “怎,怎么回事?到底发生了什么?” 面对这让人无法理解的现状,我忍不住叫了起来。水桶中映出的脸,明显是一个陌生人的脸。就在这时, “别让他跑了!以藏,他去那边了!” 我听到几个男人的声音,同时,正面的大路上有一个人跑了过来。这个人手拿一把刀,是个武士打扮的男人。 “啊啊啊啊!” 他在看到我的一瞬间,便大叫着举到砍了过来。看到他拼命的样子,我的大脑立刻给我下了个指示,赶快逃跑。但是,身体却先动了起来。我拔出刀,一刀便把冲过来的人砍倒了。鲜血横飞,对方连声音都没发出来,就倒了下去。 “怎么会” 倒在地上的男人一动不动。我把人砍死了,当我意识到这一点的瞬间,我突然有一种非常真实的感觉,我身上满是对方的鲜血,茫然的呆立在原地。 “喂,以藏,干得不错嘛。” 几名浪人打扮的男人来到我面前。 “不愧是刽子手以藏,干得漂亮!” 跑过来的几个男人都纷纷夸奖我。据我所知,这些男人说的话都是土佐口音。我听了他们的话,终于开始明白,我,不,是这个男人叫做冈田以藏。同时,我也知道了这个以藏所处的环境。 是的,不知是什么原因,我脑海中不断浮现出了毫无印象的回忆。现在是江户时代的文久2年,这里是京都,然后,我则是以打倒江户幕府为目标的土佐勤王党的志士, 今夜,我同我的同僚们一起对幕府的官员执行天诛。这明显是我根本不可能知道的,这个名为冈田以藏的男人的记忆。 “怎么会,怎么会发生这种事?” 难道说我穿越了时代,来到了150年前的幕府末年。而且还转生成了土佐藩士。 “怎么了,以藏,你脸色苍白呀。” 也许是注意到了我神色的异常,一名同僚突然问道。为了敷衍一时,我笑着回答。 “啊,没事,就是稍微有点累了。” 但是,我说出的话却是有着很重口音的土佐腔调。 “啊!” 我抱着头,倒了下去。面对这无法让人理解的状况,我实在无法保持站立了。 6.人斬り以蔵 その後、勤王党のアジトとも言える土佐藩邸まで連れてこられ、おれは心底弱りきっていた。 「一体どうしたらいいんだ」 どういう理屈で、岡田以蔵という男に転生したのかは分からないが、元の時代に戻る方法が見つかるまで、穏便に過ごしたかった、それまでは厄介ことに巻き込まれたくない。だが、尊王攘夷の旗の下、テロまがいの過激な活動をしている勤王党の志士達と行動を共にすれば、それはどう考えても不可能だった。とにかく、隙を見て逃げ出すしかない。そうは思うものの、屈強な志士達に囲まれ、奥座敷へ通されたおれは完全に逃げる機会を逸していた。だが、そこで待っていたある男との出会いがおれの考えを変えた。 「天誅、ご苦労であった」 そう言って出迎えた男に、おれはすっかりのまれていた。そうの言動の全てから、ただものではない雰囲気が漂っていたのだ。以蔵の記憶によれば、男の名は武市半平太、またの名を武市瑞山。若い頃から天才の誉れ高かった半平太は文武に優れ、彼に忠誠を誓う若い藩士たち二百人あまりをまとめ、倒幕をめざす、土佐勤王党を組織した土佐藩の重鎮だった。勤王党におけるそのカリスマ性は群を抜いており、藩が異なる長州や薩摩にあっても、彼の言説に心酔するものが多くいた。そして、半平太は以蔵にとっては剣の師であり、憧れの存在でもあった。そんな人物がおれを信頼しているという。 「以蔵、その剣を大義のために振るうがいい。お前の働きでこの国は大きく変わる」 そう言って、異彩を放つ目で見られ、胸のうちにあついものがこみ上げてくる。それが俺自身への言葉でないと分かってはいた、あくまでおれが体を借りている岡田以蔵へ向けたものだ。しかし、その言葉はおれの心に響いた。ずっと探し続けてきた居場所が見つかったような気がしたのだ。誰かに認められたい、そう思いながらも、これまで俺を認めてくれる人間など一人もいなかった。だが、この半平太は違った、おれの力を認め、感謝しているという、更におれには世の中を変える力があるというのだ。何より、以蔵の記憶の中にある武市半平太は実直で人望のある男だった。その男が言う言葉に、嘘があるとは思えなかった。おれを必要とし、失いかけていた自信を与えてくれる半平太、この人を信じてみたい。ここでなら、おれは人として認められる。どうせ現代にいても、ろくでもない生き様がまっているだけだ。自然とおれの中で、元の時代に戻りたいという気持ちは消えていた。そして、半平太の言葉を信じ、俺は暗殺者岡田以蔵としていきることを決意していた。 その日から、まるで何かに憑かれたかのように、おれは半平太の指示に従い、人を斬った。始は人を殺すことに恐れを感じていたものの、やがておれは以蔵という男の中にある獣のような本能に身をゆだね、そのことにもなれていった。天下国家のためとはいえ、人を殺すことにためらいがなかったわけではない、おのれの行為が絶対の正義と信じていたわけでもない、ただそれ以上に半平太にほめられることが嬉しかったのだ。自分を信頼してくれる仲間がいる、信じることのできる仲間がいる。ずっと孤独だったおれにとって、その事実は何にもかえがたいものだった。おれは更に仲間達の信頼を得るために人を斬った。そんなある日のことだった、あの黒衣の老人が俺の前に再び現れたのだ。 刽子手以藏 之后,我被带到了可以成为勤王党藏身之所的土佐藩邸。我内心觉得非常胆怯。 “我到底该怎么办才好?” 我不知道我为什么会穿越到冈田以藏这个男人的身上,我只想在找到回原来的时代的方法之前,能够过得安稳平静。在那之前,我不想被卷入麻烦之中。但是,在尊王攘夷的大旗下,和进行恐怖活动般行为过激的勤王党的志士们一起行动的话,不管怎么想都是不可能的。总之,我只有找机会逃跑了。虽然我这么想,但是在强壮的志士们的环绕下,我被送到最里面的房间,已经完全错过了逃跑的机会。但是,在那里等着我们的一个男人,让我改变了我的想法。 “天诛,辛苦大家了。” 一边说着这话,一边迎出来的男人,他的气势完全压倒了我。他的全部举动,都给人一种他非比寻常的感觉。根据以藏的记忆,这个男人名叫武市半平太,又名武市瑞山。年轻时候便被誉为天才的半平太文武双全,他身为土佐藩的重臣,聚集了两百多名发誓效忠于他的年轻藩士,以倒幕为目标,组建了土佐勤王党。他在勤王党中有着超凡的魅力,在其他藩地的长州,萨摩等地区,醉心于他的言论的人也不在少数。同时,半平太也是以藏的剑术老师,以及他憧憬的对象。这样的人,信赖着我。 “以藏,这把剑要在大义的名义下挥舞,在你的努力下这个国家将会改变。” 他一边说着,一边激动地看着我,我心底突然涌出了一股热流。我知道,这些话不是对我说的,他的这些话,是对我这个身体的主人冈田以藏说的。但是这些话却震撼了我的内心。我觉得我终于找到了属于我的地方。我一直渴求着被谁所承认,但是却没有任何一个人真正地承认我。但是,半平太却不一样,他承认我的能力,还感谢我的存在,同时他还说我有改变世界的力量。在以藏的记忆中,半平太是一个耿直又有威望的人。我觉得这个男人说的话,都是真的。半平太他相信我,他让我重拾已经快要完全失去的自信,我想要相信他。在这里的话,我能得到人们的承认。反正就算回到现代中,也没什么好生活。在我心中,渐渐打消了回到原来的时代这个想法。然后我决定相信半平太的话,作为暗杀者冈田以藏活下去。 从那天开始,我仿佛被什么附身了一样,听从半平太的指示,不断杀人。虽然最开始我对于杀人抱有一些恐惧,但是不久之后我便听凭以藏这个男人体内的野兽本能的发挥,渐渐熟悉了这些事。虽说是为了天下国家,但是我杀人既不是没有丝毫犹豫,也不是相信自己的行为是绝对的正义,我只是希望半平太能够多夸奖我一些。我有着信赖自己的伙伴,和能相信的伙伴。对于一直以来都是孤独的我来说,这个事实是难能可贵的。我为了能够得到更多的信赖,不断地杀人。终于有一天,那个黑衣老人再次出现在了我面前。 7.時の散歩者 いつものように人を斬った帰り、暗い夜道を歩いていたおれはふと足を止めた。 「だれぞ、そこにおるがか」 暗がりに人の気配を感じ、すぐに刀の柄に手を置く。すると、路地の陰から、一人の老人が姿を現した。黒いコートに黒い帽子、それはあの公園で出会った黒衣の老人だった。 「おぬしゃ、あん時の」 きっと睨みつけるおれに老人は重々しい口調で答えた。自分は時の散歩者、時を旅する者なのだと。 「過去と未来、あらゆる時代、あらゆる場所を旅してきた。しかし、時より移動の際に起こる時空の波に、精神を同調させてしまうものが現れる、今回のお前さんのように」 そうことの真相を告げる老人の話はおれにとって興味のないものだった。その内容が真実であれ嘘であれ、すでにおれはこの時代で生きることに決めていたからだ。だからこそ、老人の言葉にもおれは首を横に振った。 「さあ、私と一緒に元の時代に戻るのだ。時の流れに余計な負荷をかけるわけにはいかん」 「戻るつもりはないき」 おれにとって、「人斬り以蔵」としての生き方はやっと見つけたおのれの居場所だ。その安住の地を、得体の知れない老人の言葉ぐらいで捨てられるわけがなかった。 「お前さんはしらぬのだ、岡田以蔵がどれほど悲惨な最期を遂げるのか」 試すような眼差しでおれを見ると、老人は重々しく口を開いた。岡田以蔵は土佐藩に捕らえられ、拷問の末に、暗殺の罪で晒し首になる運命にあるのだと。だが、そんな言葉を信じるつもりはなかった。 「へ、そげな脅して、わしが元の時代に返ると思うがか?先がわかっちゅう未来なんぞ、なんぼやっち変えてみせるぜよ」 「歴史は変えられんよ」 俺の心を見透かしたように、老人は言葉を続けた。 「未来から来た人間にとって、過去は夢のようなもの、夢を見ることができても、夢をコントロールすることはできぬのだ」 おれがどう行動しようが意味などない、多少経過が異なるだけで、最終的な歴史の事実は決してかえることはできないのだと。 「やかましいの、これ以上邪魔するがやったら、だれじゃのただ斬るだけじゃ、わしら死ぬなど恐れんき」 そう語ると、威圧するかのように刀をぬいでみせる。だが老人はまるで動じる様子を見せなかった。 「よかろう、それがお前さんの選択なら」 そう言って、老人が頷いた瞬間だった、まるで闇に溶け込むように、建物の陰に沈みこむと、その姿はいつの間にかおれの前から消え去っていった。老人の姿が消え、おれは舌打ちした。おれには老人の言葉が全て張ったりとしか思えなかった。実際、得体の知れない不吉なものを感じながら、おれはすぐに老人とであったことも、彼が残した言葉も忘れてしまった。しかし、やがておれはいやでもその言葉と向き合うことになる。その始まりは同じく「人斬り」と呼ばれる田中新兵衛と酒を飲んでいたときだった。 时光的散步者 像往常一样,我杀完人之后回来,走在昏暗的夜间小路上,我突然停住了脚步。 “是谁在那边?” 我感觉到黑暗中有人,便将手伸向了刀柄。然后,在道路的阴影中,出现了一个老人。黑色的外套,黑色的帽子,这正是那个在公园里遇见的老人。 “你是那个时候的!?” 我死盯着这个老人,他肃然地开口说道,自己是时光的散步者,是在时光中旅行的人。 “从过去到未来,我游走于所有的时间和地点。但是,偶尔会因为移动时产生的时空波浪,而导致精神一体化的现象发生,就像你这次这样。” 我对于老人所讲述的事实没有一点兴趣。不管他说的是真的还是假的,我已经决定在这个时代生活了。所以,听了老人的话,我只是摇了摇头。 “来,和我一起回到原来的时代吧,不能给时光之流增加多余的负担。” “我不打算回去。” 对我来说,成为“刽子手以藏”,是我好不容易找到的属于自己的居所。这份内心的安宁,怎么能因为一个来路不明的老人的几句话,就放弃了呢。 “你不知道,冈田以藏的最后是多么的凄惨。” 老人试着看了我一眼,然后静静地说道。冈田以藏被土佐藩逮捕,在拷问之后,因为暗杀的罪名,遭到了斩首示众的惩罚。但是,我却没打算相信他说的话。 “诶,你以为吓唬吓唬我,我就会回去原来的时代了吗。未来是没人知道的,不管是什么我都会改变的。” “历史是无法改变的。” 老人仿佛看透了我的内心,继续说道。 “对于来自未来的人来说,过去就仿佛是一场梦,虽然可以看见梦,但是却不能控制梦。” 不管我采取什么行动都没有意义,最多也就是经过会有些许不同,最终的历史事实是绝对不会改变的。 “烦死人了,你再在这里碍事的话,不管你是谁我都会砍死的。我才不怕死呢!” 说完之后,我恐吓般地拔出了刀。但是,老人却完全不为所动。 “好吧,如果这就是你的选择的话。” 说完之后,在老人点头的瞬间,他仿佛融入了黑暗一般,渐渐沉入了建筑物的阴影之中,然后,他的身影慢慢从我眼前消失了。老人消失之后,我咂了咂嘴。我觉得老人说的话全都是虚张声势。实际上,我感受到一种原因不明的不祥,但是我还是很快就把遇到老人这件事,以及他说的话,全都忘得一干二净了。但是,不久之后,我很不情愿地再次想起了这些话。事件最开始,是我和同被称为“刽子手”的田中新兵卫喝酒的时候。 8.暗雲 薩摩の田中新兵衛は何度も共に天誅に出向き、おれと同じく「人斬り」として名をはせていた男だった。その新兵衛が志士達の常宿である寺田屋の二階で杯を交わしながら、唐突に告げたのだ、自分達はいずれ捨てられる運命にあると。 「どういうことじゃ、おぬしゃ、なにいうがぜ」 普段あまり饒舌とはいえない新兵衛の穏やかでない発言に、おれは戸惑った。勤王派の志士達はおれ達を同士などとは思っていない、口では誉めそやしても、内心では単なる人斬りの道具と見下している。そう言うと、いらだつように杯を呷り、新兵衛は言葉を続けた。理想も語れず、知識もない、ただ人を斬ることしかできない自分達は彼らにとって都合のよい道具にしかすぎないのだと。それゆえに、勤王派に勢いがあるいまならば問題ないが、時勢が大きく動けば、厄介者として切り捨てられる可能性があるというのだ。 「そんなことありゃやせん、もしほかの連中がそうやっても、武市先生だけは違うきに」 新兵衛の意見におれは激しく反論した。新兵衛は薩摩の出身でありながら、半平太とは義兄弟の契りを交わす仲だった。その彼が何故そのようなことを言うのか、おれには理解できなかった。 「そもそも、そう思いゆに、どういて人をきりゆがか?嫌やったら、止めたがえろうに」 そう憤慨するおれに対して、新兵衛は悲しげな笑みを浮かべ答えた。今のおれにはそれしかできぬからだと、、しかし、もし生まれ変われるならばほかの生き方を選ぶはずだ。 それだけを告げると、薩摩の人斬りは窓の外の夜空を見ながら、ふっつりと黙り込んでしまった。ほかの生き方を選ぶ、この時のおれには、そんな新兵衛の言葉が負け犬の愚痴にしか聞こえなかった。 だが、その帰路のことだ、土佐藩邸に戻ったところで、おれは何者かが自分の噂をしているところに出くわしたのだ。 「以蔵か?あれは野良犬の様なものだ、人を斬ることしかできぬ」 障子戸の向こうからたまたま聞こえてきた言葉に、頭にかっと血がのぼる。 「ふざけやがって、ぶっ飛ばしてやる」 腹を立てたおれは相手の顔を見てやろうと、部屋に踏み込んだものの、驚きのあまりその場に立ち尽くしてしまった。そこにいたのは、最近になって土佐からやっと来た若い藩士と半平太の二人だけ、言葉のぬしはあの半平太だったのだ。しかし、おれを見る彼の目には話しを聞かれたと言う後ろめたさは少しも感じられなかった。 「以蔵、どうしたのだ?そのような顔をして」 そう尋ねる半平太の態度もいつもと変わらず、まるで何事もなかったかのようだ。その平静さにおれは先ほどの言葉の意味を問う機会を失った。 「いいえ」 恐らく聞き違いだったのだ、そう、何かの間違いだ。武市先生があのようにおれのことを悪し様に言う筈がない、おれはそう自分に言い聞かせた。しかし、それ以来俺の心には小さな疑念が芽生え始めた、おれは利用されているだけなのではないかと、そしてその迷いは晴れるばかりか、やがて更に大きくなっていった。それから数ヶ月後、田中新兵衛が何者かの罠にかかり、自害したのだ。 暗云 我曾经数次和萨摩的田中新兵卫一同进行天诛,他和我一样被誉为“刽子手”。一天,新兵卫和我在志士们经常光顾的旅馆寺田屋的二层喝酒,他突然对我说道,我们早晚都会被抛弃。 “怎么回事?你在说些什么?” 新兵卫并不是个巧舌如簧的人,听了他这不安的言论,我非常迷惑。勤王党的志士们根本没把我们当成同伴看待,虽然表面上在夸奖我们,在心里其实只把我们看成杀人工具。说完,新兵卫仿佛有些烦躁似的,喝了一口酒,然后继续道。既没有理想,又没有知识,只会杀人的我们,对于他们来说只是顺手的道具。因此,现在勤王党势头正劲还不会有什么问题,但是时局改变了的话,我们只会被当成麻烦被抛弃。 “根本没有这回事,就算其他人是这么想的,武市老师也绝对和他们不一样!” 新兵卫的话引起了我强烈的反对。新兵卫是萨摩出身,和半平太是结义兄弟。他为什么会说这些话呢,我始终无法理解。 “你这么想为什么还要杀人呢?不想干的话,就不要干了!” 面对我的愤慨,新兵卫只是惨然的笑了笑。然后他说,现在他能做的只有这个,但是,如果还有来生的话,他想选择别的生活方式。 说完,这名萨摩的刽子手静静地望向窗外的夜空。选择别的生活方式,这句话,在那时的我看来,只不过是失败者的抱怨而已。 但是在回去的路上,我回到土佐藩邸之后,不小心遇到了什么人在谈论我的事情。 “以藏吗?他就像野狗一样,只会杀人。” 偶然听到拉门的对面传出的这些话语,让我顿时血气上涌。 “开什么玩笑,看我把你揍飞!” 想要看看对方的长相,我便踏入了房间,但是却因为过于惊愕,呆立在原地。房间里,只有最近才来到土佐的一名年轻藩士和半平太两个人。刚才说出那句话的就是半平太。看到我之后,他脸上却没有任何被听到所说的话的愧疚之情。 “以藏,怎么了,那是什么表情?” 对我说出这些话的半平太和往常一样,仿佛什么都没有发生。他的平静,让我失去了机会去问他刚刚的话的意思。 “没事。” 也许是我听错了,对,肯定是出了什么错。武市先生不可能那样说我的坏话,我不断这样劝说自己。但是,从那天开始,我心底萌发了小小的疑问,我到底是不是被利用了呢。但是,不久之后,这个疑问不但没有消失,反而增大了。几个月之后,田中新兵卫中了圈套,自杀了。 9.破滅への道 伝え聞くところによると、佐幕派の公家の天誅容疑で、町奉行に捕らえた新兵衛は自分の刀を証拠として突きつけられたため、その場で命を絶ったという。しかし、実際にはその襲撃に新兵衛は関わっておらず、彼をわなにはめようとする者達が刀を盗み、わざと犯行現場に残したというのだ。それをうらづけるように、彼の仕える薩摩藩はそれまでの討幕の方針を転換し、幕府と協力する公武合体に藩政の舵をきろうとしていた。過激な攘夷活動に加わっていた新兵衛が邪魔になったとしてもおかしくはなかったのだ。自分達はいずれ捨てられる運命にある、そんな新兵衛の言葉と共に、あの黒衣の老人が残した言葉が脳裏をよぎる、岡田以蔵は暗殺の罪に問われ、晒し首になると。 そして、俺がこの時代に来て一年ほど経った文久三年の八月、時代が大きく動いた。会津と薩摩が手を結び、長州の勢力を京から追放し、勤王派の公家たちが全て朝廷から排斥されたのだ。これまでの過激な攘夷活動を取り締まり、公武合体を目指す政変だった。これによって、土佐でも佐幕派が盛り返し、半平太たち土佐勤王党は危機を迎えた。ちょうど土佐に戻っていた半平太を始めとする藩士が次々と捕らえられ、獄に繋がれたのだ。一人残された俺は、半平太たちの指示がなくなり、京で孤立した。これまで天誅を行う相手も、半平太の命に従ってきたであり、自分ひとりでは何をすればいいのかも分からなかったのだ。やむなく俺は土佐藩邸を出ると、京の町に潜伏した。そうすることで、心の中に芽生え始めた迷いについて考えるひまもできるかと思ったのだ。しかし、すでに命運は尽きていた。町中でけんか騒ぎを起こしたことがきっかけで、強盗の容疑をかけられ、運悪く京のまちがたに捕まってしまったのだ。激情に駆られ、俺はつい自分が土佐藩士岡田以蔵であることを名乗ってしまったが、幸いなことに、京の奉行町では、俺が悪名高き人斬り以蔵と信じる者は誰もおらず、単に無宿人として処罰されただけだった。だが釈放された途端、今度は待ち受けていた土佐藩士らに捕らえられ、俺はすぐ国元へと送り返されてしまった。土佐藩では、この少し前から、なかなか口を割らない半平太達に代わって、勤王党が行った事件について証言できる俺の行方を捜していたのだ。すべてはあの老人の言葉どおりだった。まるで見えない手で操られているかのように、俺の運命は破滅へと向かっていった。 通往破灭之路 根据传闻,新兵卫因为有对佐幕派的公家执行天诛的嫌疑,被市奉行逮捕后,当被质问道自己的刀成为了证据的时候,便当场自杀了。但,实际上那次袭击和新兵卫没有关系,只是想要陷害他的人偷走了他的刀,故意放到案发现场的。仿佛是为了证实这一点,他所服侍的萨摩藩之后改变了讨伐幕府的方针,转而和幕府协作,开始了公武合体的藩政。进行着过激的攘夷活动的新兵卫,此时便成了麻烦。我想起了新兵卫曾经说过的话,我们早晚都会被抛弃。同时,那个黑衣老人的话也出现在我脑海里,冈田以藏因为暗杀的罪名,最后被斩首示众。 我来到这个时代的一年之后,文久3年8月,时代发生了巨大的变化。会津和萨摩联手,将长州势力赶出京都,勤王派的公家们也全部遭到了朝廷的排斥。这是将之前激烈的攘夷活动全部取缔,以公武合体为目标的政变。因此,土佐的佐幕派东山再起,半平太等土佐勤王派面临着危机。以刚刚回到土佐的半平太为首,藩士们一个一个被逮捕,身陷牢狱。我一个人,失去了半平太等人的指示,在京都孤助无缘。之前对什么人进行天诛,也都是遵守半平太的命令,我不知道我一个人能干些什么。我不得不离开土佐藩邸,潜伏在京都里。这样的话,我也有时间考虑一下在我心底萌生的疑惑。但是,我的命数也到头了。因为在城中被卷入了打架的骚动中,我以强盗的嫌疑被逮捕,同时倒霉的被抓到了京都。我因为过于激动,忍不住就说出自己是土佐藩士冈田以藏。幸运的是,京都的奉行没人相信我就是那个恶名昭彰的刽子手冈田以藏,只把我当成无业浪人进行处罚。但是,被释放了之后,我却又被土佐藩士抓了起来,即刻被送回了本国。土佐藩在不久之前,因为半平太等人始终不肯招供,便一直在寻找能为勤王党所犯下的罪行作证的我。一切都和那个老人所说的一样。我仿佛有一只看不见的手在操纵着一般,我的命运渐渐走向了破灭。 10.囚われて あの老人の言葉は正しかった。土佐藩の獄舎で、厳しい取調べを受けながら、俺は己の運命を悟った、俺はここで死ぬのだと。しかし、どうせ死ぬのなら、自分を信頼してくれた仲間達を裏切るようなまねだけはしたくなかった。暫くすると、激しい責め苦を耐える俺に、獄吏たちは拷問を諦め、からめてによって口を割らせる方向に変更したようだった。彼らは半平太達が俺を売ったと言い出したのだ、すべては以蔵が独断であったことと、半平太達が証言したのだと。見え透いた嘘だと思った、俺の動揺を誘い、半平太達を裏切るように仕向けようというのだ。そんな手に引っかかるつもりはなかった。最後まで同士たちを信じて、勤王の志士としての行き方を貫いてみせる、たとえそれで死ぬことになろうとも、それが俺の決意だった。だがまもなく、そんな決心を挫くような出来事が起こった。 食事の中に毒が混ぜられていたのだ。いつもとは違うめしの味にすぐに異変に気付いた、いったいだれが。その日、俺のもとにめしを運んできた獄吏がかつて半平太の道場に出入りしているのを見たことがある男だった。その瞬間、俺は悟った。同じ獄舎に捕まっている半平太が内通者に手を回したのだと。拷問に屈し、俺が彼らの秘密を話す前に消してしまおうというのだ。愕然とすると同時に、新兵衛の言葉が脳裏をよぎった、自分達人斬りは道具にすぎないと。それと共に、苦い記憶が蘇る。 「いっただろう、俺達は世の中の落後者なんだ、誰からも認められず、何かを成し遂げることもできやしない」 そう言って、刑務所の面会室の窓の向こうで、哀れむように俺を見た親父の記憶が。 「うああああああああああああ」 慟哭とも憤怒の声ともとれない叫びが俺の口から漏れた。結局、この時代も同じだった。ここにも俺の居場所はなかったのだ。誰も俺を認めてくれてなどいなかった、俺はただ利用されただけだったのだ。正義なんてどこにもありはしない。そんな思いが俺の心を支配していた。俺が自分の関わった暗殺について白状したのはそれからすぐのことだった。それも、ほかの獄舎にいる半平太達に聞こえるような大声で。打ち首を申し渡され、刑場に引き立てられながらも、俺の心は空しさで満ちていた。これで半平太達も入れと同じく死を免れることはないだろう。しかし、俺がやったことはなんだったのか。情熱は消え去り、空を見上げながら、死へと赴く俺の心にあるのは空しさだけだった。やがて刑場につくと、御座の上に座らされ、刀を構えた介錯人が俺の背後に立つ。いや、深くは考えない、これでやっと楽になれるのだ。そう思い目線を落とすと、見届け人の中に明らかに異質な者が混じっていた、それはあの黒衣の老人だった。しかも俺以外の人間にはまるで彼の姿が見えていないようだった。無言のまま俺を見つめる老人、その視線に俺は戸惑った。 「愚かだと嘲笑っているのか、それとも、哀れんでいるのか?何だ?何が言いたい?」 だが、それを問ういとまはなかった。介錯人が刀を振り下ろす音が聞こえ、俺の意識は一瞬で闇へと消えた。 囚禁 那个老人说的话是正确的。在土佐藩的监狱中,经受着严酷的拷问,我终于意识到自己的命运,我将死在这里。但是,横竖都是一死,我绝对不会背叛相信着自己的同伴们的。过了一会,再忍受了严酷的拷打之后,狱卒放弃了拷问,打算从背后下手,改变让我松口的方向。他们说半平太等人已经出卖了我,半平太他们作证,全部罪行都是我一个人独断专行。我觉得这是个很容易看穿的谎言,他们想引起我的动摇,让我背叛半平太。我才不会上这个当呢。我到最后都会相信同伴们,将勤王志士的操行贯彻到底,就算要为此而死也在所不惜,这便是我的决定。但是,不久之后,却发生了让我改变决定的事情。 我的食物中被混入了毒药。因为味道跟往常不同,我马上就注意到了。到底是谁干的。那天为我送饭的狱卒,我曾经见他出入半平太的道场。那个瞬间,我明白了一切。同我一样深陷牢狱的半平太,开始动用内奸了。他想在我经不住拷打之苦,说出他们的秘密之前把我消灭掉。在我震惊的同时,我想起了新兵卫说过的话,我们只不过是杀人的道具。一起回想起来的,还有那些痛苦的记忆。 “我说过了吧,我们就是这个社会的落后者,谁也不会认同我们,什么事也干不成。” 我想起父亲一边说出这些话,一边透过监狱会见室的玻璃,望着我,仿佛可怜我一般。 “哇啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊!” 我叫喊着,这喊声既不是恸哭,也不是愤怒。结果,这个时代也是一样。这里也不是属于我的地方。没有任何人承认我,我只不过是被利用了。根本就没有所谓的正义。这样的想法支配了我的内心。不久之后,我就坦白了所有和我有关的暗杀。而且是用很大的声音,让隔壁的牢狱中的半平太等人也能听到。我将被执行斩首之刑,在被带到刑场的路上,我的内心也只是充满了空虚。这下子,半平太他们也难逃一死吧。但是,我干的这些到底算是什么呢。热情褪去,我望着天空,即将赴死的我心中只有空虚。来到刑场,我正坐后,介错人举着刀站在我身后。不,我根本没想太多,这下就轻松了。当我向下望去,围观的人群中明显混入了一个不协调的人,就是那个黑衣老人。而且,除了我以外的人似乎都看不到他一般。老人静静地看着我,他的视线让我感到困惑。 “在嘲笑我的愚蠢吗,还是在可怜我?到底是什么?你到底想说什么?” 但是,我却没来得及问出口。我只听到介错人的刀挥下的声音,我的意识瞬间消失在黑暗中。 11.帰還 気付くと、俺は公園の駐車場で、車の脇に立ち尽くしていた。時より聞こえてくる子供達の声に、空を流れる雲、どれもあの黒衣の老人を初めてみた時と寸分たがわぬ状況だった。時計を見ても時間もたっておらず、おれが幕末にいたということを示すものは何もなかった。 「ん、夢?」 そう、まるで全てが夢だったかのようだ。いや、実際に長い夢を見ていただけなのかもしれない。そうとしか思えなかった。溜まっていた疲れのせいで、きっと知らず知らずのうちに、白昼夢を見たのだ。 「そうだ、仕事だ。」 やらねばならない任務を思い出し、慌てて意識を現実へと引き戻す。すると、公園に小さな子供を連れた母親がいることに気付いた、写真で何度も見た相手、待ち望んでいた標的だった。車のダッシュボードから、紙袋に入った拳銃を取り出すと、相手に近づく。 「どうってことない、簡便な仕事だ。夢の中で俺が斬った連中に比べれば」 そう、この任務を成功させて、俺は組織で認められる存在になるのだ。 「そして、そして?それから、どうする?」 ふと浮かんだ疑問に俺の足はいつの間にか止まっていた。その瞬間、俺は我が目を疑った。楽しげに遊ぶ親子の向こうにあの黒衣の老人が立っていたのだ。刑場でそうしていたように、蔑みとも哀れみともとれる視線を俺に向けて。 そんな! 幕末の日本で、岡田以蔵として過ごした日々、あれは夢ではなかったのだ。と俺に気付いた少年がこちらに視線を向ける、それがまだ無邪気な、人を疑うことを知らない眼差しだった。未来を、幸せを、全てを純粋に信じる目だった。 「やめだ」 そんなつぶやきが自然と口から漏れた。そして俺は親子に背を向けると、そのまま公園を後にした。 归来 等我回过神来,我发现我在公园里,站在汽车旁边。偶尔能听到孩子们玩耍的声音,天空中的流云,这一切都和我初次见到那个黑衣老人的时候一模一样。我看了一下表,也没有经过多少时间,没有任何证据显示我曾经到过幕末时代。 “嗯,做梦?” 是啊,仿佛一切都是一场梦一样。不,说不定实际上我就是做了一个很长的梦而已。只有这一种可能。一定是因为过于疲劳,一不留神,便在大白天做起了梦。 “对了,工作。” 我想起了必须要做的工作,慌忙让自己的意识回到现实中。突然,我注意到公园中出现了带着小孩的母亲,这是数次在照片上见过的,我等待很久的目标。我从汽车的仪表盘下,取出了放在纸袋里的手枪,慢慢接近对方。 “没什么大不了的,很简单的工作。和梦中我杀死的那些人比起来的话。” 是啊,如果这个任务成功的话,我在组织中也能够得到承认。 “然后,然后?然后,怎么样?” 面对这个突然浮现的疑问,我停下了脚步。在那个瞬间,我开始怀疑起我的眼睛。在高兴玩耍着的母子后面,站着那个黑衣老人。就像在刑场时一样,他用轻蔑和悲悯的眼光看着我。 怎么会! 在幕末的日本,身为冈田以藏所渡过的那些日子,那些都不是梦。这时,注意到我的少年看向这边,他的目光是那么的单纯,不懂得怀疑任何人。那是一双,纯粹的相信着未来,幸福,相信着一切的眼睛。 “算了。” 我轻声呢喃道。然后,我转过身去,离开了公园。 12.澄み渡る心 公園から離れる道を車で走りながら、俺の心には一つの言葉が浮かんでいた。それは寺田屋の二階で田中新兵衛が語った言葉だった。 「生まれ変われるなら、ほかの生き方を選んでいた」 そう言って悲しく微笑んだ田中新兵衛。今なら彼の気持ちが理解できる。彼にはわかっていたのだ、自分達は運命に翻弄され、おのれの心に救うものにおどらされているだけなのだと、そして、行き着く先は破滅しかないということ。だが、俺はその呪縛から解き放たれた。 俺の中にいた人斬りは幕末の土佐の獄舎に死に、俺は生まれ変わることができたのだから。今はもう誰かに認められずとも、たとえ一人きりであっても構わなかった。 「君が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空」 赤信号に車を停止させると、ふと俺は以蔵として詠んだ辞世の句を思い出した。あの句のとおり、今の俺の心は自由だった。窓の外に広がる、どこまでも澄み切った空のように。ただ、ほんとうの自由を得るための戦いはこれから始まる。組織は恐らく俺の裏切りを許しはしないだろう、それでも、今の俺なら戦い抜く道を選ぶ。信号が青へと変わり、俺はそんな決意と共に、アクセルを踏み込んだ、待ち受ける未来へ向かって。 清澈的心 离开公园之后,我开车走在路上,我心中突然浮现出一句话。那是在寺田屋的二层,田中新兵卫说过的话。 “如果还有来生的话,我想选择别的生活方式。” 说出这些话时,田中新兵卫脸上的笑容是那么悲凉。现在的我终于理解了他的心情。他早就知道了,我们在被命运玩弄着,我们只不过是被那些心灵的救赎操纵着,然后,我们的前方只有破灭一条路。但是,我从这个诅咒中解脱出来了。 我体内的刽子手在幕末土佐的监狱中死了,而我获得了新生。现在的我,就算没有任何人的承认,也能够一个人活下去。 为君竭尽一生,却如水之泡沫,消逝之后,一片碧天无痕。 遇上红灯我停下了车,我突然想起了我身为以藏的时候所吟唱的这辞世之句。就像这句诗一样,现在我的心自由了。仿佛窗外那一片无垠清澈的天空一般。但是,为了得到真正的自由,我的战斗才刚刚开始。组织恐怕不会原谅我的背叛吧,可即使如此,我还是选择了战斗这条路。信号灯变绿后,我便带着这个决定,踩下了油门,驶向了等待着我的未来。
The Time Walkers 5 平知盛
1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者 たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざ...(0回应)
1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者 たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざる歴史の裏側にご案内することになりましょう。 序幕 从过去到未来,在连绵不断的时间长河中,不断出现完成永载史册的丰功大业的伟人。在他们的决断的背后隐藏着什么呢。这是关于因为偶然的恶作剧而迷失在时空夹缝中的人们的故事。同时,也是被命运玩弄的人们的故事。打开这扇时空之门,让时空的散步者来引领你走向不为人知的历史另一面吧。 2.壇ノ浦の戦い 法螺貝の音が聞こえていた、戦の始まりを告げる音だ。幕が上がり、最期の舞台の幕が。狭い海峡に展開する敵船へ目を向け、俺はつぶやいた。 「下関の海に占めく、赤旗と白旗をいただく無数の軍船、赤い旗の平氏に白い旗の源氏、世にも名高き、源平の決戦が始まろうとしているのだ」 寿永4年3月長門の国壇ノ浦、後世に壇ノ浦の戦いと称される大戦であり、周囲の陸地を封鎖され、逃げ場を失った平氏にとって、これは最期の戦いになるはずだ。 「知盛様、御下知を」 背後に控えていたともの言葉に頷くと、俺は船の舳に設けられた櫓に上がった。 「此度の戦、われらの名誉を決める大戦ぞ、命は惜しみな、名ごそ惜しれ」 俺の激に合わせ、次々と周囲の船から鬨の声が上がった。いよいよ始まるのだ。俺にとって一世一代の大舞台が。平氏はここで滅びる、そして平氏の大将である俺もまた。ふと俺の脳裏にある舞台の一幕が浮かんだ。義経の逃避行をモチーフにした、歌舞伎の義経千本桜。その渡海屋と大物浦の一幕だ。源平の合戦後、壇ノ浦を生き延びていた平知盛は、大見得を切って、敵である義経との最期の戦いを赴く、今の俺と同じように。その物語の結末は、平家残党の滅亡と知盛の死だった。 だが、今の俺に恐れはない。あの舞台のように平知盛を演じきれ。それが俺の長年の夢だったのからだ。そう、こうして本物の平知盛として生きる前から、俺が800年先の時代で役者だった頃からの。 坛之浦合战 耳边响起了法螺贝的声音,这声音宣告了战争的开始。最后的舞台幕布被揭开了。我望向狭长的海峡中展开的敌船队列,小声说道。 “占据了下关海域,飘扬着红旗和白旗的无数的军船,红旗的平氏和白旗的源氏,在世间享有盛名的源平决战即将开始了。” 寿永4年3月在长门国的坛之浦,被后世称为坛之浦合战的大战即将开始,周围的陆地全被封锁了,对于没有退路的平氏而言,这便是最后的战场了。 “知盛大人,请下令。” 我对站在背后的随从点了点头,站上了设置在船首的展望台。 “这次战斗,是关系到我们名誉的决战。大家不要怕死,为名誉而战!” 应和着我的呼声,周围的船上也传来了士兵们的喊声。终于要开始了。对我来说是一生一次的大舞台。平氏将在这里灭亡,同时作为平氏大将的我也将迎来死亡。突然,我脑海中浮现出了舞台上的一幕。那是以义经的逃亡之行为主题的,歌舞伎义经千本樱。剧中的渡海屋和大物浦的一幕。源平合战之后,在坛之浦中幸存的平知盛,为了赢得最后的体面,奔赴了和宿敌义经的最后决战,就像现在的我一样。那个故事的结尾,便是平家残党的灭亡和知盛的死。 但是,现在的我无所畏惧。我要像在那个舞台上一样,将平知盛演到最后。因为这是我长年以来的梦想。是的,这是我成为真正的平知盛之前,我在800年之后的未来还是演员的时候,便拥有的梦想。 3.知盛への憧れ 滅びゆく平家の大将、平知盛、幼いころからそんな知盛は俺にとってヒーローだった。歌舞伎の一座、梨園の生まれだった俺は、初めて見た舞台義経千本桜に出てくる知盛の迫力にすっかり心を奪われてしまたのだ。舞台での平知盛は壇ノ浦では死なず、船宿の主人に身を窶し、平家の再興を図っていた。そんなある日、偶然にも彼の船宿に義経一行が現れる。敵である源義経の命を狙う知盛。しかし、奮戦虚しく戦いに敗れた彼は幼い安徳帝の身を宿敵義経に預けると、自ら海へと身を投げ、命を絶つのだった。己の死体が浮かばぬよう、巨大な錨を体に結び付け、海に飛び込む知盛、その知盛の姿と壮絶な生き様に衝撃を受け、俺は憧れを抱いた。そしてその憧れが、知盛を演じたいという夢へと変わるのに、それほど時間はかからなかった。だが、梨園において傍流な家系であった俺にとって、それは叶わぬ夢だった。身分制度の厳しい歌舞伎の世界では、名門の出てない者が、大役を務めることは許されていなかったからだ。諦めきれなかった俺はどうにか例外を認めさせようと、歌舞伎以外の世界で役者としてのキャリアを積み上げることに専心した。そんな努力が実を結び、やがて俺が数々の映画や舞台で主演の座を掴み、多くの賞を取ることに、名を知られるようになった。これならば、梨園の人々もきっと俺の申し出を認めるしかないはず。そう思った。実際演技力では誰でも負けないという自負もあった。しかし、すべては無駄だった。 「何が問題なんです、今の俺には誰よりもうまく知盛を演じられる自信がある。だからやらせてください。俺に知盛を」 そうかけ合う俺に対して、梨園の大門たちは首を横に振るだけだった。どんなに実力や人気があろうとも、因習を変えることはできないと。超えようのない壁にぶち当たり、俺はやりきれなさと周囲への不信感を募らせていた。そしてある日、事件が起きた。積りに積もった不満がついに爆発したのだ。 「身のほどを知るがいい、お前如きが知盛を演じようなどと、大笑い種だ」 舞台の内入りでそう詰られたことがきっかけとなり、俺は大物者である役者を殴ってしまったのだ。先の責のことではあったが、梨園の重鎮に手を挙げるなど、許されることではなかった。結果舞台を下された俺は梨園への出入りも禁じられてしまったのだった。こうなればこれまでのキャリアも知盛のことも忘れるしかない。そう思い、俺は新たなスタートを切ろうと決めたはずだった。しかし、不運はそれで終わらなかった。どういうわけかそれ以来、以前のように演技ができなくなったのだ。まるで夢を失ったことで、演者としても才能も失ってしまったかのようだった。俺は焦った。だが、そこから這い上がろうとすればするほど、却って泥沼に嵌まり込んでしまったようだった。いくら頑張ろうとも、台詞がまったく頭に入ってこないのだ。結局失敗が失敗を呼び、映画やドラマの現場でもいままでなかったようなミスを連発し、すっかり信用を失うことになってしまった。一つの躓きが俺のすべてを奪ったのだ。 对知盛的憧憬 渐渐衰败的平家的大将,平知盛,我从小时候开始便将知盛当成英雄。歌舞伎梨园出身的我,第一次观看义经千本樱表演,便被其中知盛的迫力所感染。在舞台上,平知盛在坛之浦合战中幸存,冒充成一家客船的主人,企图复兴平家。但是,有一天,义经一行人突然来到他的客船上。知盛便想要杀死宿敌义经。但是,激烈的战斗也只是枉然,战败的知盛将年幼的安德天皇托付给宿敌义经,便纵身投入海底。知盛为了不让自己的尸体浮上水面,将巨大的铁锚绑在身上,沉入海底。我被知盛的身影和他壮烈的选择而深深感动了,开始对他抱有了憧憬。不久之后,这份憧憬转变成梦想在舞台上扮演平知盛。但是,对在梨园中仅是旁枝末流出身的我来说,这只是个无法实现的梦想。在身份制度严苛的歌舞伎的世界,如果不是名门出身,是不允许扮演重要角色的。我无法就此放弃,渴望作为例外得到他们的承认,于是我开始专心在歌舞伎以外的世界作为演员,不断积累自己的经验。我的努力终于结出了果实,不久,我在众多的电影及舞台上担任主角,得了不少奖项,开始小有名气。事到如今,梨园的那些人应该也会认同我的提议。我是这样想的。而且在演技方面我自负的相信自己不会输给任何人。但是,这一切都是徒劳。 “到底有什么问题?!我现在有自信,我比任何人都能够演好平知盛这个角色。就让我演吧,让我演平知盛。” 面对我所说的话,梨园的名门们只是摇了摇头。不管有多大的实力和人气,也不能改变传统。面对这面无法翻越的墙壁,我的烦躁和对周围的不信任感不断集聚。终于有一天,出事了。不断积累的不满终于爆发了出来。 “好好掂掂自己的分量吧,就凭你也想演平知盛,太好笑了。” 在登上舞台之前被如此挑衅为因由,我殴打了一名著名演员。虽然是对方先挑起来的,但是对梨园的名角出手是不可原谅的。结果,被赶下舞台的我,同时也被禁止出入梨园。事已至此,我只能把之前的职业生涯和知盛全部忘记了。这么想着,我决定给自己一个新的开始。但是,我的厄运并没有就此结束。不知是什么原因,从那开始,我的演技不像以前那样运用自如了。仿佛随着梦想的破灭,我身为演员的才能也随之消失了。我很焦急。但是我越是挣扎着想要爬起来,反而在泥沼中陷得越深。不管我怎么拼命努力,就是记不住台词。结果,一次失败进而招来更多的失败,在电影和电视剧的片场,我也不断犯下以前从没犯过的失误,完全失去了自己的信用。一次跌倒,夺走了我的一切。 04 黒衣の老人 なんとか芝居への情熱を取り戻したい、仕事を失った俺が長期の旅を出たのはそんな思いからだった。はじめは目的のない気ままの旅のはずだった。しかし風光明媚な景色を見ても鬱々とした気分が晴れることはなく、俺の足はいつの間にか知盛のゆかりの地へと向かっていた。やはり知盛は俺にとって、役者の原点であり、忘れ去ることのできない存在だったのだ。そして、そのゆかりの一つ平家最期の地となった壇ノ浦。今の関門海峡を望む公園に着いた時のことだ。俺があの信じられないような現象に巻き込まれたことになったのは。 その公園には壇ノ浦の古戦場を思い遣させる二つの像があった。一つは八艘跳びをする義経の像、そしてもう一つは今まさに海底沈まんとする知盛の像だった。大きな錨を手に、覚悟の表情を浮かべた知盛の像。その顔には今にも何かを語りかけてきそうな雰囲気が漂っていた。と、気配を感じて振り返ると、背後に一人の老人が立ていた。それは黒のコートに黒の帽子を被った黒衣の老人だ。 「いつのまに」 そう思う間もなく、俺はすぐに彼の異様さに気づいた。その体の周囲がまるで陽炎のように歪んで見えたのだ。 「なんだいったい」 思わず後ずさる俺の頭の中に一つの声が聞こえた気がした。 「まだ幕は下りていない」と。 その瞬間だった。老人の鋭い眼光に吸い込まれてもしたかのように、俺は意識を失っていた。 黑衣老人 我想尽办法想找回对演戏的热情,失去工作之后,我抱着这种想法开始了长期旅行。最开始本来应该是没有目的的旅行。但是风光明媚的景色也无法去除我心中的郁结,我的脚步不是何时开始往和知盛有关的地方前进了。果然,知盛对于我来说,是演员的起点,也是无法忘记的存在。然后,这和平知盛有关的地方之一,便是平家灭亡之地,坛之浦。我来到能够看到关门海峡的那个公园。之后,我便被卷入了让人难以相信的现象中。 那个公园里有让人回想起坛之浦古战场的两尊雕像。一个是连跳八艘船的义经的雕像。另一个便是正准备沉入海底的知盛的雕像。手中拿着巨大的铁锚,满脸坚毅的知盛的雕像。他脸上的表情,现在看来也仿佛要诉说着什么。忽然,我感觉到有人的气息,回头看去,背后站着一为老人。那是一位穿着黑色外套,带着黑色帽子的黑衣老人。 “什么时候?” 我连思考的时候都没有,立刻发觉到他的异样。他的身体周围仿佛升腾的热浪般扭曲起来。 “到底是怎么回事?” 我不由自主的向后退去,此时我感觉在我脑海中响起了一个声音。 “幕布还没有放下。” 就是这个瞬间。我仿佛被老人锐利的视线吸进去一般,渐渐失去了意识。 05 源平の時代へ 闇の中、最初に聞こえたのは波の音と木の軋む音だった。そして、体で感じる揺れと強烈な塩の薫り。 「ここは」 目を開けると、そこは巨木を組み合わせて作られた薄暗い部屋の中だった。しかし、何が起こったのかまるで分らない。公園で意識を失ってからの記憶がまるでないのだ。 「父上、いかがされました、どこか悪いのですか」 と、困惑する俺の顔を一人の若者が覗き込んだ。年のころは十五六だろうか。よく日に焼けた逞しい体格の若者だ。だが、なぜ俺を父と呼ぶのだろうか。さらに不思議だったのは彼の恰好だった。どういうわけか、五月人形のような大鎧を着込んでいたのだ。それはまるで大昔の武者そのものだった。いや、若者だけではない、見ると若者の背後にいった数名の男たちも同じような恰好をしていた。あるものは若者と同じく甲冑すがた、またあるものは平安時代の貴族のようないたたちと全員が時代錯誤な服装だ。 「ま、これは」 さらに俺は自分の姿を見て言葉を失った。いつの間にか俺も絵巻でも出てきそうな貴族風の衣装を着せられていたのだ。 「驚きましたぞ、知盛殿。評定の最中に突然お倒れになられるとは」 「知盛殿はわれら平家一門の柱、御身に何かあればいかが致せばよいのか」 困惑する俺をよそに、口々に安堵の言葉を述べる男たち。 知盛に平家?いったい何の冗談だ。恰も俺があの平知盛だと本気で信じているかのような言動に薄気味悪さを覚える。突然大河ドラマの主人公の立場を押し付けられ、嘲笑われているような気分だ。悪いが、こんな遊びに付き合ってる暇はない。とにかくこの場を離れよう、そう思って部屋の外へと出た時だった。 「そんな」 驚愕のあまり、思わず声を上げる。そこは海の上だった。いや、正確に言うならば、遣唐使でも乗っていそうな巨大な木造船の上だったのだ。さらに、船は一隻だけではなかった。俺のいる船を中心に何艘もの平底船が浮かんでいたのだ。何より驚いたのはその甲板の様相だった。立派な大鎧で身を固めた武者とそれに付き従う郎党たち。そして、船上に翻る赤い旗指物。まるで大作映画のワンシーンのような光景は明らかに俺が生きる時代のものではなかった。 「赤い旗といえば、平氏の軍旗」 ふと気づいたその事実にある予感が走る。まさか俺は本当に800年過去へと転生してしまっただろうか。それも本物の平知盛として。信じられない情景を前に俺は呆然と立ち尽くすしかなかった。 来到源平的时代 在一片黑暗中,我最先听到的海浪的声音和木板的咯吱声。之后,身体便感受到强烈的晃动,以及刺鼻的海腥味道。 “这里是?” 睁开眼睛,我发现自己深处由巨大的木板组合而成的昏暗的房间中。但是,我完全不知道发生了什么。我没有一点在公园失去意识之后的记忆。 “父亲大人,您感觉怎么样,哪里觉得不舒服吗?” 这时,一个年轻人看着我迷惑不解的脸问道。他大概十五六岁的年纪。是个饱经风吹日晒体格强壮的年轻人。但是,他为什么管我叫父亲呢。更加令我迷惑不解的,是他的装束。不知为何,他身上穿着的盔甲居然和五月男孩节的装饰人偶一样。简直就和古代的武者一模一样。不,不光是这个年轻人,年轻人背后的几个人的装扮也都是一样的。有的人和年轻人一样穿着盔甲,有的人简直是平安时代的贵族装扮,所有的人仿佛都跑错了时代一般。 “啊,这是?” 同时,我看到自己的样子顿时哑口无言。不知什么时候,我的身上也穿上了绘画卷轴中才会出现的贵族服装。 “真是吓了一跳啊,知盛殿下,您在会议中突然昏倒了。” “知盛殿下是我们平家一门的支柱,您的身体要是出了什么问题可就不得了了。” 他们完全不顾我的困惑,一个个表现出了安心的态度。 知盛和平家?到底在开什么玩笑。他们的举动仿佛真的相信我就是那个平知盛,这让我觉得有些诡异。突然被推到大河剧主人公的位置,我感觉自己仿佛在被他们嘲笑。不好意思,我可没有时间陪你们玩。总之,我要先离开这里,想到这里,我便走出了房间。 “怎么会!?” 由于太过震惊,我忍不住喊了出来。我现在正在海上。不,正确的说,我所在的巨大的木制船,简直和遣唐使乘坐一样。而且,还不只有一艘船。以我所在的船为中心,周围还有数艘平底船。而且,更让我吃惊的是甲板上。那里有数名身穿盔甲的武者,以及跟随他们的随从。以及在船上飘舞的红色旗帜。这仿佛是大制作电影的一幕的情景,显然不属于我生活的时代。 “红色的旗帜,难道是平家的军旗。” 面对这个突然发现的问题,我有一种预感。难道我真的穿越到800年之前的过去了吗。而且还变成了真正的平知盛。面对着让人无法相信的情景,我愕然呆立。 06 知盛として 「ですが驚きました、父上が突然お倒れになるとは」 数刻語、俺はあの若武者知盛の息子知章の言葉に耳を傾けていた。その話の断片から推測する、どうやら今は寿永2年で度重なる敗戦によって都を追われた平氏が嘗ての拠点である西国へと落ち延びる途中だったらしい。そんな知章の説明を聞きながら、胸の内の動揺は収まっていなかった。いまだ自分の身に起こったことが信じられなかったのだ。確かに俺は知盛を演じることを夢見てきた。しかし、まさかこんなことが。そう、現実的に考えればありえない。夢や妄想と考えるのが普通だろう。ただ、俺の体には知盛の記憶や知識がある程度残されていた。現代人だった俺が到底知りようもないことを知っている時点で、俺が800年過去の知盛に転生してしまったことは疑いようがなく思えた。だが現状を受け入れるとして、この先どうするべきなのか。現代に戻れる手立てもわからず、このままでは間違いなく源平の合戦に巻き込まれてしまう。 「なにやら浮かぬご様子ですが、やはりどこか悪いのですか」 とさぎこむ俺を気遣うよう、知章が口を開いた。 「父上の御身はわれら平家にとって欠くことのできぬもの、いづれ源氏を撃ちあたさんのためにも、どうかご自愛ください」 そう語る知章の瞳には、一寸の迷いもなかった。この若者はおそらくこの先、平氏一門が都に戻ることなく滅亡するなど、微塵も思っていないのだろう。彼は、知章は完全に俺を信頼し切っているのだ。そんな知章の様子にふと俺は意地の悪い質問をしてみたくなった。 「源氏を撃ちあたすという、今は源氏の勢いは登る朝日のごとく、それに比べわれら平氏は、沈みゆく夕日のようなもの、戦を挑むからには命を落とすやもしれぬぞ」 「たしかに旗色は悪いかもしれません、しかし戦は時の運、われら平家一門の誉れである父上がいてくだされば、源氏などいかほどのものでありましょう」 そのあまりの素直な答えに意図せぬこととはいえ、知盛として振るまっている己が急に恥ずかしく思えてくる。 「それに私は恐れることがあるとすれば、わが一門の名に泥を塗ることだけ。父上もおっしゃっていったではありませぬか、武士たるもの命を惜しむな、名ごそ惜しめと」 そんな俺の内心を知る由もなく、言葉を続ける知章に、思わず叫びそうになり、違う、それを述べたのは俺ではない、俺は偽物にすぎないと。だが寸前で俺はその言葉を飲み込んだ。ふと思い出したのだ。梨園の大御所たちに大見得を切って見せた時のことを。あの時俺は自分ならば、誰よりもうまく知盛を演じて見せられると告げた。ならばここで逃げるわけにはいかない。なにしろ、本物の平知盛として彼の人生を演じることができるのだ。まさに一世一代の大芝居と言える。さらに彼を演じ切ることは俺を見下した梨園の連中を見返すことも繋げるはずだ。そしてなにより大事なことは、未来を知っている俺になら、源氏との戦いを勝利に導ける可能性があるということだった。確かに知盛と平家一門は壇ノ浦で源氏に敗れた。しかし俺の力によってこの芝居の結末は変えられるのだ。平家の勝利という幕切れに。ならば演じてやろうではないか、平知盛を、そして滅びる運命にある平氏を勝利を導いてみせる。いつの間にかそんな決意と覚悟が俺の心の中に湧き上げっていった。 成为知盛 “不过我真是吓了一跳呢,父亲大人你居然突然昏倒了。” 过了一会,我开始认真聆听那个年轻武士,知盛的儿子知章的话语。从他所讲的内容中,我可以推测出,现在似乎是寿永2年,因为接连的战斗失败而被迫离开都城的平家,正在前往曾经的据点西国的途中。我听着知章的说明,却无法抑制内心的动摇。我至今仍无法相信发生在我身上的事情。确实,我做梦也想演平知盛。但是,居然会发生这种事情。是啊,正常的想一想的话就觉得不可能。如果说我在做梦或者是幻觉的话,还比较说得通吧。但是,我身体内在某种程度上保留了知盛的知识和记忆。在我知道了作为一个现代人不可能知道的一些事实的时候,我也无法怀疑自己确实穿越到了800年之前的过去,成为了知盛。但是,我就算接受了这个现状,接下来又该怎么办呢。我完全不知道回到现代的办法,这样下去的话一定会被卷入源平合战中的。 “您看起来有些心不在焉啊,哪里不舒服吗?” 知章似乎意识到我的不对劲,开口问道。 “父亲您是我们平家不可缺少的支柱,为了能够击败源氏,您也要保重身体。” 此时知章的眼里没有一丝犹豫。这个少年大概完全想象不到,平家一族还没能回到旧都就灭亡了。他完全信任着我。看着这样的知章,我忍不住想对他提一些恶作剧的问题。 “就算要击败源氏,可如今源氏的势力如升起的朝日一般,而与他们相比,平家就好像沉落的夕阳,如果要挑战他们,可能会丢到性命的啊。” “虽然军旗的颜色看起来有些不吉利,但是战争要看天时地利人和,只要身为平氏一门骄傲的父亲您在的话,区区源氏根本不在话下。” 面对这直白的没有任何心机的话语,成为平知盛的我反而感到羞愧不堪。 “如果有什么事让我觉得恐惧的话,那便是给平家的脸上抹黑。父亲您不是也说过吗,身为武士,要视名誉胜于性命。” 知章完全不知道我内心深处的想法,不停的说着。我忍不住想大声喊出来,不是的,这些话不是我说的,我只不过是个冒牌货。但是,话到嘴边我却忍住了。我突然想起来了。我想表演给梨园的那些大人物们看看的时候。那个时候,我曾说过,如果是我的话,能比任何人都更好的扮演知盛。这样的话,我就不能逃。因为,在这里我可以作为真正的平知盛来表演他真正的生活。这对我来说是千载难逢的机会。而且,扮演平知盛也算是给瞧不起我的梨园的那些家伙一些颜色瞧瞧。而且最重要的是,知道未来走向的我,说不定能让平家在源平合战中取胜。知盛和平家一族将在坛之浦合战中被击败。但是,在我的努力下,说不定能够改写结局。让最终的一幕称为平家的胜利。这样的话,就试试看吧,让我作为平知盛,带领走向毁灭的平家一族通往胜利。不知何时,我心中涌起了这样的决定和决心。 07 初舞台 その翌日、ついに平知盛を演じる初舞台の幕が開いた。きっかけは叔父にあたる教盛が俺のもとを訪れ、頼みがあると言ってきたことだった。話を聞くと都落ちから一門の士気は日増しに落ち、脱落する者が相次いでいるという。そのため、彼らの士気を鼓舞するよう、何か言葉をかけてほしいというのだ。 「知盛殿、これはお主を置いて、ほかに頼める者がおらぬのだ」 本来ならば、一門の統領である、知盛の兄宗盛の役目ではあったが、失態を重ねすぎたために、いまでは彼の言葉を真摯に受け止める者は少なくなっていた。しかし、人々は心の熱い知盛の言葉ならばきっと聞くはず。そんな教盛の頼みを受け、俺は船辺にまで進み出た。いよいよ幕開けというわけだ。これをぬり切れぬようでは、おそらくこの先も知盛として振る舞うことは不可能だろう。覚悟を決めると俺は舳にたち、狭い湾内に手開くしている平家の船団を見渡した。船上からこちらを見つめる人々の顔には、どれも不安の表情が見て取れる。 無理もない、源氏に敗れ、都を追われた彼らにとって、平家の一門という誇りはすでに地に落ち、行く末に希望を抱けるような状態ではないのだ。ただ、そんな状況に置かれている彼らにとって、一門の誉れと思われている知盛は不安を払拭してくれる数少ない存在なはずだった。知盛を演じるから、その期待に応え、士気を鼓舞する必要がある。千本桜での知盛の姿を思い浮かべると俺は平家の人々に語りかけた。 「此度の合戦、百代先の世まで語り継がれる大戦となろう、これぞわれら西国武士こそ、天下一と知らしれる好機」 それは知章から聞いた嘗て知盛が語ったという言葉だった。見ると兵士の人々は俺の言葉にすっかり聞き入れていたようだった。 「然らば、命惜しまず、名こそ惜しめ、みなの働きこそあれば、源氏如き何をか恐れん、必ず打ち破って見せようぞ」 そう結ぶと同時に、周囲の船から大きな歓声が上がった。その歓声は連鎖するようにほかの船へも移っていく。自信に満ちた俺の言葉が彼らの士気を取り戻したのだ。熱狂する人々の様子に俺は久しぶりに昔の自分に戻ったような充実感を覚えていた。舞台に立ち、喝采を浴びていた頃の自分に。その夜、月明かりに照らされた海の上で、俺は決心を固めた。元の時代で張り合いの無い人生を送るよりもやはりこの時代に生きるべきだと。本物の平知盛として。 初次登台 转天,终于拉开了我扮演平知盛初次登台的序幕。契机便是我的叔叔教盛来拜访我,同我说有事相求。听了他说的话,原来是自从都城陷落之后,平家一族的士气日渐低落,不断有人掉队。因此,为了鼓舞士气,他想拜托我同大家说些什么。 “知盛殿下,除了您,没有别人能够胜任了。” 这本来应该是一族的统领,知盛的哥哥宗盛的职责,但是因为他接连不断的失态,现在能够真心听他的话的人已经不多了。但是,人心所向的知盛的话,大家还是会听的。接受了教盛的拜托,我来到了船边。终于要拉开幕布了。如果闯不过这一关的话,恐怕今后我也不可能再扮演平知盛了。下定决心之后,我站到了瞭望台之上,举目望向在狭长的海峡中排列着的平家船队。从船上望向我的众人的目光中,都充满了不安的神情。 这也难怪,被源氏打败,被迫逃离都城,对他们来说,身为平家一族的骄傲,已经被践踏在泥土之中,对于未来很难抱有任何希望了。但是,正是处在这种情况下,身为一族的骄傲的知盛才是能够出去他们这种不安的,不可或缺的存在。如果要扮演知盛,就要回应他们的这种期待,必须鼓舞他们的士气。我脑海中浮现出千本樱中知盛的身影,然后同平家的人说道。 “此次战斗,将成为在百年之后仍被广为传诵的大战,这是我们西国武士,称为天下第一的绝好机会!” 我是从知章那里听说的,知盛曾经说过的话。放眼望去,大家似乎也很受鼓舞。 “那么,大家不要怕死,为名誉而战!只要大家全力作战,源氏根本不足为惧,我们一定会胜利的!” 说完之后,周围的船上传来了巨大的欢呼声。然后仿佛是连锁反应一般,其他的船上也开始高呼起来。我充满自信的话语,让大家又重新恢复了斗志。看到人们狂热的样子,我感觉我找回了许久以前的那种充实感。那时,自己还站在舞台上,接受着台下的观众的喝彩声。那天夜里,在洒满月光的海面上,我坚定了自己的决心。比起在原来的时代过着毫无价值的生活,我还是应该生活在这个时代,作为真正的平知盛。 08 時の散歩者 それから数か月後、歴史が大きく動いた。平氏を都から追い出した源義仲が今度は鎌倉の源頼朝と対立したのだ。源氏の内紛は九州にまで退いていた平氏にとって好機だった。追撃の手が緩んだ隙に気脈の通じる西国の武者たちをまとめ、平氏は再び数万の兵を有するまでに勢力を回復させることに成功したのだった。平氏を勝利に導くだけではない、今の自分なら、あらゆることが可能のように思えた。やって見せる。俺は知盛として歴史を変えるのだ。 拠点の一つである、彦島の館で瀬戸の海を見つめながら、俺は全身に気力が漲ってくるのを感じていた。しかし、それから数日後、そんな決意を揺るがす出来事が起こった。 夜中にふと目を覚ますと、御簾の外に人影が立っていた。 「何者だ」 枕元の太刀を反射的に掴むと、さやかに抜き放つ、だが、そこに立っていたのは一人の老人だった。黒いコートに黒い帽子、それはあの公園で出会った黒衣の老人だった。 「あんたはあの時の、どういうことだ、こうなったらも、すべてあんたの仕業なのか」 きっと睨みつける俺に、老人は重々しい口調で答えた。自分は時の散歩者、時を旅する者なのだと。 「過去と未来、私はあらゆる時代、あらゆる場所を旅してきた。しかし時より移動の際に起こる時空の波に精神を同調させてしまう者が現れる、今回のお前さんのように」 老人の話はとても信じられるものではなかった。それでも俺がここにいるのは現実で信じるしかないのも確かだった。 「さあ、私と一緒に元の時代に戻るのだ。時の流れに余計の負荷をかけるわけにはいかん」 「悪いが、戻るつもりはない」 老人の言葉に俺は首を横に振った。もはや芝居の幕は上がっているのだ、途中で降りることなどできるはずもない。なによりも、俺にとってこれは一世一代の大舞台なのだ。それに俺は老人の言葉に反発を覚えていた。 「何もできるはずがない」 そういわれた気がしたのだ。あの梨園の大御所たちと同じように。 「知盛の最期を知らぬわけではあるまい」 確か知盛と平氏の最期は悲惨だ。史実通りならば、平氏は壇ノ浦の戦いで敗北し、知盛も平氏一門とともに自害することになっている。しかし、俺には勝算があった。 「歴史を変えるつもりか、残念ながら、時の歯車を逆には回せぬよ」 こちらの心を見透かしたように、老人は言葉を続けた。 俺がどう行動しようが意味などない、多少経過が異なるだけで、最終的な歴史の事実は変えられないのだと。 「未来から来た人間にとって、過去は夢のようなもの。夢を見ることができても、夢をコントロールすることはできんのだ」 そして、夢を体験しているだけでも、場合によっては死を迎えることがある。つまり、夢の中に取り残され、永遠に目覚めぬこともあるのだと。だが、俺は再び首を横に振った。 「面白い、もしそうならば本物の知盛として果てるまで、役者の夢は舞台の上で果てること、このまま死ぬならばそれもまた本望だ」 そう語ると俺は笑みを浮かべて見せた。老人の言葉は張ったりにしか思えなかった。自分ならば歴史の流れさえ変えられる、俺はそんな己の運命を信じていたのだ。この時はまだ。 「よかろう、それがお前さんの選択なら」 俺の言葉を聞くと、老人は静かにうなずいた、まるで俺の答えを予め知っていたかのように。次の瞬間、月が雲に隠れ、老人の姿が闇に溶け込む。そして再び月明かりに照らされると、その姿は部屋から消えていた。 时光的散步者 几个月之后,历史发生了巨大的进展。将平氏逐出都城的源义仲和镰仓的源赖朝对立了。源氏的内战对于撤退到九州的平氏来说是个绝好的机会。趁着追兵减少的间隙,聚集心意相通的武士,平氏终于成功恢复到拥有数万精兵的势力。我感觉,我不单单能将平氏引向成功,现在的我简直是无所不能。我要做给你们看。我要作为知盛改写历史。 在据点之一的彦岛别馆,我望着濑户的海面,感觉自己全身涌出了无限的力量。但是,几天之后,发生了一件动摇我的信念的事情。 一天深夜,我忽然醒了过来,感到竹帘外有个人影。 “什么人!” 我条件反射般抓起了枕边的太刀,迅速地拔了出来。但是站在那里的确实一个老人。黑色的外套,黑色的帽子,就是那个在公园里遇到的黑衣老人。 “你是那个时候的,到底是怎么回事,会变成现在这样,全都是你捣的鬼吧!” 面对我愤怒的眼神,老人沉重地回答道。自己是时光的散步者,在时空中进行旅行的人。 “从过去到未来,我可以自由穿梭于所有的时间,所有的地点。但是,时候会有人被卷入移动时产生的时空波浪,出现精神一体化的现象,就像你这次一样。” 老人说的话实在是难以置信。但是,我现在在这里却是事实,也只能相信他的解释了。 “来,跟我一起回到原来的时代吧,不能给时空增加过多的负担。” “不好意思,我不打算回去。” 听了老人的话,我摇了摇头。序幕已经拉开了,我怎么可能在中途退场呢。无论如何,这对我来说都是千载难逢的大舞台。同时,我对老人的话语有些抵触心理。 “你什么都做不了的。” 我记得他这么跟我说道。同梨园的大人物们一样。 “你肯定知道平知盛的结局。” 确实,平氏一族的结局非常悲惨。如果如史实那样发展的话,平氏将在坛之浦合战中败北,知盛和平氏一族都将自杀。但是,我有胜算。 “你想改变历史吗,非常遗憾,时光的齿轮是不会倒转的。” 他仿佛看穿了我的心思一样,继续说道。 不管我做什么呢都无济于事,只不过经过会有些许不同,但最终的历史事实是不会改变的。 “对于来自未来的人来说,过去只不过像一场梦。虽然可以见到梦中的景象,却永远无法控制梦境。” 而且,就算只是体验梦中的情景,有的时候也会迎来死亡。也就是说,被留在梦里,永远无法醒过来。但是,我还是摇了摇头。 “有意思,如果真是如此的话,那么就让我作为真正的知盛来面对吧,演员的梦想就是能够在舞台上迎来剧终,如果要这么死掉的话那也是我本来的愿望。” 说完,我露出了笑容。我只把老人说的话当成虚张声势。如果是自己的话,甚至可以改变历史的走向,我相信自己的命运。起码这个时候我是那么相信的。 “好吧,如果这是你的选择的话。” 听完我说的话,老人静静地点了点头,仿佛他早就预见到了我的回答。下一个瞬间,月亮被云彩遮住,老人的身影融入了黑暗之中。然后,当月光再次照亮屋里的时候,他已经消失了。 09 運命への挑戦 年が明けて、寿永3年の春、俺は平氏の軍勢とともに、摂津の国福原の地に行った。義仲が都を追われたのを機に、平氏はついに都の奪還に動いたのだ。史実によれば、平氏はこの地で頼朝の弟義経と範頼の鎌倉勢との決戦で敗北し、滅亡へ向かうことになっていた。いわゆる一ノ谷の戦いだ。だが俺はその有名な戦いを逆手に取るつもりだった。知盛に傾倒していた俺は一ノ谷の戦いで源氏がどう動くかよく知っていた。だからこそその裏をかき、源氏の軍を壊滅させることも可能だと踏んだのだ。ここで源氏に大きな損害を与え、都を奪還することができれば、再び平家の天下も夢ではなくなる。それが俺の描いたシナリオだった。だが、戦いが始まると、その筋書きは無惨にも打ち砕かれた。 「御見下すそうきづめ、忠盛殿、敦盛殿、討ち死に」 陣屋にかき込んできた郎党の言葉に、俺は思わず呻いた。 「馬鹿な」 戦闘が始まってわずか数刻後、平氏の負けが決定的になったというのだ。 「なぜだ、どうして」 完全に読み切っていたはずだった。義経の奇襲も、範頼の軍勢の動きも、この戦いで起こる作戦のすべても俺は見通していたはずだった。だがすべてに旋転落ち、完璧な陣を敷いたにもかかわらず、その攻撃を防ぐことはできなかったのだ。実際わずか数十騎の義経たちを前に、平氏の大軍が押されていた。それはまるで見えざる運命の力が源氏の将兵に力を貸したかのようだった。 「父上、お退きください」 そんな知章の声にはっとわれに返る。見ると鬨の声とともに源氏の兵が陣屋に雪崩れ込んでくるのではないか。 「追手は私が食い止めます、さあ、早く」 「待って、待つのだ」 そう言って敵に向かおうとする知章にあわてて手を伸ばす。史実通りになら、知章はこの戦いで命を落とすことになっている。それを知りながら、行かせるわけにはいかなかった。だが制止しようとした瞬間、敵の矢が訪ね、俺の手は虚しく宙を掴んだ。 「私も平家の武士、命は惜しみませぬ」 一瞬だけ振り返ると、笑みを浮かべ敵に切り込んでいく知章。 「われごそは新中納言知盛が子平知章、誰ぞわれと相が見えん」 そして、その口上が、俺が聞いた知章の最後の言葉だった。 向命运挑战 转年,寿永3年春天,我和平氏的军队一起,前往摄津国的福原地区。因为义仲被逐出都城,平氏终于开始了夺回都城的行动。根据史实记载,平氏将在此地和赖朝的弟弟已经和范赖所率领的镰仓军队进行决战,惨遭败北,并由此走向了毁灭之途。也就是所谓的一之谷合战。但是,我却想要反向来进行这场著名的战斗。迷恋知盛的我,对于源氏在一之谷合战中的行动非常了解。所以能够预知对方的行动,让源氏军队走向灭亡。如果在这里能够给予源氏以重击,并成功夺回都城的话,平氏重掌天下也不再是个梦了。这是我所编下的剧本。但是,战斗开始之后,我的剧本被完全击碎了。 “来报,忠盛殿下,敦盛殿下,战死。” 听到冲入阵屋的随从来报,我不禁失声叫了出来。 “怎么会!” 战斗开始不久,平氏的失败已经注定。 “为什么,为什么会这样!” 我应该已经完全预测到了。义经的奇袭也好,范赖军队的动向也好,这场战斗中会发生的所有作战,我都已经知道了。但一切都发生逆转,虽然我布下了完美的队列,却仍然不能防御源氏的攻击。平氏的大军,被仅有数十名的义经众人完全压制住了。这仿佛是有着看不见的命运之力在帮助源氏将兵。 “父亲大人,请撤退吧。” 听到知章的声音我才回过神来。放眼望去,随着战斗的声音,源氏的军队已经像雪崩般涌入了阵屋。 “我来拖延追兵,快走!” “等等,等等!” 我慌忙向知章伸出手。根据史实记载,知章将会在这场战斗中丧生。我既然已经知道,就不可能让他过去。但是,就在我想要制止他的瞬间,敌人的箭射了过来,我的手只抓住了一片虚空。 “我也是平家的武士,我不怕死!” 在我回头望去的一瞬,我看到知章笑着冲入了敌阵。 “我是新中纳言知盛之子知章,你们谁来当我的对手!” 然后,这句话,成了我记忆中知章说的最后一句话。 10 決意 数か月後、俺は平氏の最後の拠点となった彦島で海を見ていた。あの老人の言葉は真実だったということか。海岸沿いの松林に立ち、暗い冬の海を見つめながら、諦めにも似た思いが心に浮かぶ。一ノ谷の戦で一門の多くが源氏に撃たれた後、拠点の屋島を攻め落とされるなど、平氏は壊滅的な打撃を受け続け、すでに源氏に対抗する力は残っていなかった。そして、平氏を勝利に導こうとする俺の努力もことごとく失敗に終わっていた。どんなに足掻こうとも歴史を書き変えることなどできない。まさにすべてあの老人の言葉通りだったのだ。とんだ悲劇だな。思わず自嘲の笑みが浮かぶ。自分はずっとヒーローである知盛を演じていたつもりだった。だが主役どころか、単なる道化役でしかなかったのかもしれない。 「身の程を知るがいい、お前如きが知盛を演じるなど、大笑い種だ」 そんな梨園の大御所の言葉が蘇ってくる。あの時と同じだった。偉くなったつもりで思いやがり、なにも変えることができなかったあの時と、彼の誹りもおそらくは正しかったのだろう。結局俺はただ憧れの大役を務めたかっただけで、本気で知盛を演じるつもりなどなかったのかもしれない。だとすれば、そんな俺に知盛を演じられる器があるはずもなかった。 どうする、これから俺はどうすれば。もはや俺はこのまま知盛を演じる自信がなかった。いや、演じる目的がなかった。と、その時だった。海に面した林の奥から、声が聞こえたのだ。 「逃れるならば、早いほうがいい、もはや平氏の行く末は定まったも同然、どう足掻こうでも源氏には勝てぬ」 「そうだな、確かにお主の言うとおりかもしれぬ、だがわしは留まるつもりだ」 それは源氏の襲来を警戒し、見張りに立つ郎党たちだった。 「ここまで来て逃れて、なんとする、お主も忘れてはおらぬであろう、知盛様の言葉を、名こそ惜しめと、われらとって平家に仕える者、たとえ命果てるとも、その名を残そうぞ」 名こそ惜しめ、それはかつで、俺が彼らを鼓舞するために口にした言葉だ。その言葉を信じ、滅亡の道を歩もうとしている者たちがいる。男の言葉を聞いて、俺はそっとその場を離れた。彼らは今も俺が演じた知盛を信じている。そんな彼らのためにも、ここで舞台を降りるわけにはいかない。どんな結末を向かえるにしろ、俺は最後まで知盛を演じきらなければならないのだ。あの知章のように、俺の言葉を信じ、死んでいた者たちのためにも。今度こそ義経を打ち取って見せる。本物の知盛として、その決意を胸に俺は館への道を急いだ。 そして、年が明けた寿永4年3月、ついにその時が訪れた。壇ノ浦の戦い源平最後の戦いとなる会戦が始まったのだ。 决定 几个月之后,我在成为平氏最后据点的彦岛,凝视着海面。那个老人说的话原来都是事实吗。我站在沿海的松林中,凝视着阴暗的冬季的海面。我心底浮现出了一种想要放弃的感觉。在一之谷合战中,平氏一门的大多数都被源氏击溃,据点屋岛也被攻陷,平氏接连遭到毁灭性的打击,已经没有和源氏对抗的力量了。然后,我所有想要带领平氏走向胜利的努力,也都全部失败。不管我怎么挣扎都无法改写历史。这简直就和那个老人说的一样。真是悲剧啊。我不禁露出了自嘲的笑容。我一直都想扮演英雄知盛。可是,我不但没成为主角,反而沦为了小丑。 “好好掂掂自己的分量吧,就凭你也想演平知盛,太好笑了。” 我想起了梨园的大人物所说过的话。和那个时候一样。一味地想变得出众,结果却一事无成的那个时候。他的诽谤恐怕也是正确的吧。也许,我只不过是想要成为梦想中的主角,不是真正想要扮演平知盛。如果真是如此的话,我根本不可能有扮演平知盛的本事。 怎么办,接下来我要怎么做。我已经没有自信继续扮演平知盛了。不,连扮演他的目的也没有了。就在这时,在面对大海的树林深处,我听到了有人说话的声音。 “要逃命的话就得趁早。平氏的将来已经注定了,不管怎么挣扎也不可能战胜源氏了。” “是啊,也许确实如你所说的一般。但是我还是要留下来。” 是为了警戒源氏的突然袭击,而在放哨的随从。 “事到如今,还要逃跑,算什么!你应该也没忘吧,知盛大人所说的,为名誉而战。我们作为侍奉平家的人,就算战死沙场,也要名垂千古。” 为名誉而战,那是我曾经为了鼓舞士气而说过得话语。然后,有的人便相信了这句话,决心走上灭亡之途。听了那个男人说的话,我悄悄的离开了。他们至今还相信着我扮演的知盛。哪怕是为了他们,我也不能在此时离开舞台。不管将迎来怎样的结局,我都要将知盛扮演到最后。为了像知章一样,因为相信我,而战死的人。这次我一定要打败义经。作为真正的知盛,我下定了决心,跑回了自己的别馆。 然后,新的一年来到了,寿永4年3月,这个时刻终于到来了。坛之浦合战,源平两家最后的合战终于打响了。 11 平家の最期 「水の上ならば、われらに利がある。一気に押し出せ」 天中に日が昇ったとそれが合図だったかのように両者の間で戦端が開かれた。敵陣を切り崩すように早い潮の流れに乗って全軍を示させると、散々に矢を射掛けて、海戦になれない源氏の軍をひたすら押しまくる。 「義経を撃て、大将首を取ればわがほうの勝ちぞ」 降り注ぐ矢の中、本営の船の舳で矢継ぎ早に全軍へ指示を出す、数に劣る平氏が勝つのは源氏の大将である義経を倒すしかない。それも全軍に疲れが見える前に。だがあと一息というところで平氏は攻めあぐねていた。三倍の兵力を有する源氏はなかなか崩れず、さらに勝ち取りや漕ぎ手に矢を射掛けられ、徐々に攻め手の船脚が落ちていく。 やがて一門の望みさえ絶たれる時が訪れた。潮の流れが変わったのだ。先ほどまでとは逆に今度は源氏の軍が流れに乗って一気に攻めたててくる。その猛攻の前に、押され打ち取られていく味方の船。そして、太陽が西へ沈みかけると、ついに勝敗は決した。数に勝る源氏に平氏の陣は寸断され、もはや組織だった抵抗は不可能になっていたのだ。源氏に包囲されたまま逃れることもかなわず、ただ殲滅されるのを待つばかり。そんな状況におのが命運を悟った者たちが、次々と船辺にから身を投げっていく。俺の脳裏に、大碇を体にからにつけ、海中へと没する。知盛の最後の姿が浮かぶ。 どうやら終わりの時が来たようだった。覚悟を決める時が。 「知盛殿」 背後に控えていた供の者の声に、俺はゆっくりと頷いて見せた。 「見るべきものはすべて見た」 それだけを告げると、俺は一族の者へことの行方を伝えるべく、船頭を離れた。いよいよ幕引きが近づいてきた。 「われら一門もはやこれまで、かくなる上は、見事な散り際をみせん」 船辺に集めた平氏の一門を前に俺は平家の大将平知盛としての最後の決意を告げた。沈む夕日に周囲の海はまるで血の色に染まったかのようだった。その波波は赤い平氏の旗や、先に海中へと身を投した者の色鮮やかな着衣が漂っていた。まさに末期の時と思える光景だ。そんな海の前に一つの思いが浮かぶ。果たして俺は本当に知盛になれたのだろうか。だが答えがどうであれ、やるべきことはやったのだ。平家の滅亡を見届けた以上もはやできることは何もない。あとは知盛として最後まで恥じぬ振る舞いをするだけだった。聞くところによると海のそこには竜宮という煌びやかな都があるとか。覚悟を決めるとすすり泣く女房たちを励ますように声をかける。 「さあ、参りましょうぞ、水の下の都へ」 そう言って笑いかけると、俺は戦陣を切って船辺にから跳んだ。海中へ没すると同時に、肺へと水が入り、たちまち意識が遠のく。 これでいい。俺は最期まで知盛を演じきった。一世一代の大芝居をやり終えたのだ。 冷たい海の中、暗い水底へ沈みながら、俺の心にそんな思いが浮かんだ。しかし、そこには当然あるはずの満足感がなかった。感じるのはなぜか虚しさだけだった。 「どうして」 そう思った瞬間、どこからか声が聞こえた。 「まだ幕は降りていない」 その声はそう告げていた。 「どういう意味だ」 思わず心の中で反問する。しかし返ってくる答えはなく、俺の意識はそのまま暗い闇の中へと沈んでいった。 平家的最后 “水上作战对我们有利。开始进攻!” 太阳升到正当空,这仿佛是暗号一般,两方间的战斗打响了。我向全军发出指示,趁着早潮的流向,冲破敌阵,乱箭齐射,一时间压制住了不擅长海战的源氏军队。 “干掉义经,取得大将首级的话我们就赢了!” 在不断落下的箭雨中,我站在本营船舰的瞭望台上,迅速向全军发出指示。如果平氏想要以少胜多的话,只有打倒源氏大将义经一条路可以走。而且必须要在全军露出疲态以前。但就在离胜利不远的地方,平氏的攻击遇到了阻碍。源氏军队的兵力是我方的三倍,很难突破,而且,由于划船手中不断有人中箭,我方进攻的步伐渐渐慢了下来。 终于,平氏一族最后的希望消失的时刻来到了。海潮的流向改变了。与刚刚的战况相反,这次是源氏趁着海流攻了过来。在源氏的猛攻面前,我方的船舰不断被击破。在太阳西沉的时刻,胜负已分。在数量众多的源氏军队面前,我方的船阵被攻破,此时已经不可能进行有组织的攻击了。在源氏的包围下,无路可逃,我方只有等待被歼灭了。在这种状况下,意识到自己命运的人,纷纷来到船边跳海自绝。这时我脑海中突然浮现了,知盛将铁锚缠在身上,跳入海中的身影。 终于到了最后的时刻了。到了该下决断的时刻了。 “知盛殿下。” 听到背后的随从的声音,我慢慢地点了点头。 “该看的都看到了。” 说完之后,我觉得我该告诉一族的人今后该如何行事,便离开了船头。终于落幕的时刻快到来了。 “我们一族已经穷途末路了,既然如此,最后也要死的漂亮。” 平氏一族集中在船边,我作为平家的大将平知盛站在他们面前,把最后的决定告诉了他们。在夕阳的照射下,周围的海面被染成了一片血红。海水中漂着红色的平家军旗,以及刚刚投海的人的色彩丰富的衣服。这就是一片末路的光景。看着海面我想起了一件事。我到底能不能成为真正的平知盛呢。但不论答案是什么,能做的我全都做了。在目睹了平家灭亡之后,我已经没有其他能做的了。剩下的只有作为知盛,骄傲的结束了。我听说海底有一座名为龙宫的金碧辉煌的都城。决定以后,我对不停抽泣着的女人们说。 “来,一起去那座水下的都城吧。” 笑着说完以后,我从船边纵身跳入海里。在进入海中的同时,水灌进肺里,我瞬间失去了意识。 这样就行了。我把知盛演到了最后。我完成了这一生一次的演出。 在冰冷的海水中,我渐渐向黑暗的海底沉去,同时回想起了这最后的一次演出。但是,我心里却没有该有的任何满足感,相反我感到的确是空虚。 “为什么?” 在我这么想的时候,耳边忽然想起了一个声音。 “幕布还没有降下。” 那个声音这么说。 “什么意思?” 不忍不住在心中提出疑问。但是却没有得到回答,我的意识就这样沉入了黑暗之中。 12 託されたもの 目覚めるとそこは最初に意識を失った海辺の公園だった。眼前の海は静かに水面をたたえ、打ち寄せる波のほかに聞こえる音といえば、微かな海鳥の鳴き声だけ。まるですべてが夢であったかのようだ。だが、夢などではなかった。立ち尽くす俺の前にあの黒衣の老人が佇んでいたのだ。 「なぜ助けた」 思わずそう叫んでいた。あのまま平知盛として死ぬ、芝居の幕切れはそれしかなかったはずだ。しかし、連れ寄る俺に老人は重々しく告げた。すべたは知盛が望んだことだと。 「うそだ。信じられなかった。あの知盛がいったい俺に何を望んでいるというのだ。」 困惑する俺を尻目に、老人は言葉を続けた。 「いや、正確にいうならば、お前さんの中の知盛がそう望んだというべきかもしれぬ」 「俺の中の知盛!」 老人の視線に釣られるように、思わず背後を振り返る。そこにはあの知盛の像が立っていた。何かを語りかけようとするかのような表情のまま。 「何が言いたい」 そう老人に訪ねようとして、ふと、一つの予感が走った。まだ、幕は降りていない。海中で俺の心に響いた声、そしてこの場所で俺を過去の世界へと誘った声。まさか、あの声の主は。 「そうだ。お前さんは知盛に選ばれたのだ」 俺の心を見透かしたかのように、老人が告げた。 「己の心を知るものとして、平家の最後を語るにふさわしい語り部として」 気づくと、その言葉だけを残し、いつの間にか老人は消えていた。 「語り部として、選ばれた」 気づくと、両頬涙が伝っていた。老人の言葉は真実かは分からない。だが信じたかった。一時とはいえ、俺が知盛であったことには意味があったのだと。滅んでいた平氏の武者たち、そんな彼らの姿と幼い頃に舞台で見た知盛の最後が重なる。俺はずっとそんな物語に出てくる知盛に心を惹かれてきた。それは史実とは違う虚構の中の知盛だった。だが、その物語が人々の心に残り、受け継がれて来たのは、過去の知盛や平家の生き様があったからだ。俺の心には一つの決意が宿っていた。どんな形でもいい、もう一度役者として舞台に立とう。そして、あの時代を生き、死んでいた者たちの魂を語り継ぐのだ。 「名こそ惜しめ。」 知盛の言葉を胸に滅んでいた平氏の武者たちのためにも、そして俺ならそれができるはずだ。なぜなら本物の平知盛は俺の中で今も生きているのだから。 知盛の像に分かれを告げると、打ち寄せる波をとうせん、俺は静かに最初の一歩を踏み出した。 被托付的东西 我醒过来的时候,发现自己在最初失去意识的那个海滨公园里。眼前的大海的一片平静,除了海浪声,耳边只有轻微的海鸟鸣叫的声音。仿佛之前的一切都是一场梦。但是,那却不是梦。在茫然若失的我的面前,站着的是那个黑衣老人。 “为什么要救我?” 我忍不住大叫了起来。就那样作为平知盛死去,演出的最后一幕就该是那样的。面对我的质问,老人静静地说,这一切都是知盛所期望的。 “骗人,我不信!那个知盛到底希望我做什么?” 老人瞟了一样困惑的我,继续说道。 “不,正确的说,是你体内的知盛是这么期望的。” “我体内的知盛?” 我被老人的视线所影响,忍不住回头望去。那里立着那座知盛的雕像。他的表情仿佛是想要说些什么。 “你想说什么?” 我刚想这么问那个老人,忽然,我有一种感觉。幕布还没有落下。那个在海中从我心底响起的声音,以及把我从这里带到过去的那个声音。难道是那个声音的主人吗。 “是的,你是被知盛选中的人。” 老人仿佛看穿了我的心思,继续说道。 “让你成为了解自己内心的人,成为平家最后一段经历的讲述者。” 等我回过神来,只有这些话语还在耳边回响,老人已经不知去向了。 “作为讲述者,被选中。” 我忽然发现我脸上已经流满了泪水。我不知道老人说的是不是事实。但是我却想要相信。虽然只是短暂的,但是我成为知盛这件事是很有意义的。灭亡的平氏的武士们,以及我从小时候就看到的舞台上的知盛最后的身影渐渐重合。我一直被故事中的知盛所吸引。那不是史实中的知盛,是虚构的。但是,这个故事能够深入人心,被人们不断传诵,是因为有了过去的知盛和平家一门的存在。我心中下定了一个决心。不管是以什么形式,我都要再一次作为演员站到舞台上。然后,向人们讲述在那个时代生活,死去的人们的精神。 “为名誉而战。” 我心中铭记着知盛的这句话,为了平家的武士们,而且我相信我一定能做到。那是因为真正的平知盛现在还活在我体内。 我同平知盛的雕像告别之后,静静的迈出了第一步。
The Time Walkers 4
我决定善始善终 1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者が...(0回应)
我决定善始善终 1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざる歴史の裏側にご案内することになりましょう。 序幕 从过去到未来,在连绵不断的时间长河中,不断出现完成永载史册的丰功大业的伟人。在他们的决断的背后隐藏着什么呢。这是关于因为偶然的恶作剧而迷失在时空夹缝中的人们的故事。同时,也是被命运玩弄的人们的故事。打开这扇时空之门,让时空的散步者来引领你走向不为人知的历史另一面吧。 2 本能寺の変 「申し上げます、わが寺を囲む軍勢、旗は水色、桔梗の紋、明智殿、謀反にございます。」 寺の本堂に駆け込んでいた近習が、青い顔で外の様子を告げ。 「是非に及ばず」 その報を聞いた瞬間、あの方の顔に浮かんだのは笑みだった。いつもと変わらぬ不敵な笑み。すべてを見通しているかようなあの自信に満ちた笑みだ。 「おらん、参るぞ」 そう私に告げると、壁にかけてあた弓を手に取り、表へと向かう。 「は」 槍を掴むと、私もすぐにその後に続いた。一万三千の敵に対して味方は僅か百人あまり、さらに周囲は完全に包囲され、逃げ場はない。 天正10年6月2日、本能寺、わが主君織田信長はここで死ぬ。そして、彼に仕える私も、また。ついにその時が来たのだ。それでも、死への恐れはなかった。むしろ、待ち望んでさえいた。ただ悔しかった。あの方でさえ、定められた運命に打ち勝つことができなかったということが。強固な意志ですべてを打ち壊し、すべてを乗り越えようとしていた、あの信長でさえ。その戦いの結末を確認するためだけに、私は生き続けてきた。しかし、それも今日で終わることになる。ようやく、死ぬに相応しい場所が見つかったのだから。信長の後に従い、本堂の廊下を歩きながら、ふと懐かしい記憶が浮かんだ。それはかつて私が暮らしていた、400年先の時代の記憶。私が森蘭丸として生きる前の記憶だった。 本能寺之变 “报,包围本寺的部队,旗帜为水色,桔梗纹样,明智殿下,领兵谋反。” 冲进寺庙正殿的近侍,脸色铁青的说道。 “无关是非。” 听到来报的瞬间,大人的脸上浮现的是笑容。是一如既往的无所畏惧的笑容。是仿佛洞穿了一切一般的充满自信的笑容。 “兰,走吧。” 他说完,便拿下挂在墙上的弓,向外走去。 “是” 我也拿上抢,匆匆跟了上去。面对一万三千的敌人,我方只有近百人。而且周围都被完全包围了起来,无路可逃。 天正10年6月2日,本能寺,我的主君织田信长将死在这里。同时,侍奉主君的我,也将迎来同样的命运。这个时刻终于到来了。即使如此,对于死亡我却没有恐惧。反而有着一丝的期待。只不过,我有些不甘。难道就连主君也不能打破注定的命运吗。就连用坚强的意志毁灭一切,然后超越一切的,那个织田信长,都做不行吗。为了确认这场战争的结局,我才活到今天。不过,今天一切都将结束了。我终于找到了合适的葬身之处了。我追随在信长身后,走在正殿的走廊中,突然回想起了过去的记忆。那是我曾经生活过的,四百年以前的那个时代记忆。是成为森兰丸之前的记忆。 3 残酷な運命 「誰か、救急車を、救急車を呼んでください」 あの日、そんあ叫びも空しく、彼女は私の腕の中で息絶えた。交通事故だった。病院での検診からの帰り道、交差点で乗っていた車に大型トラックが突っ込んできたのだ。潰れた車内から、どうにか彼女を運び出したものの、すべてが遅すぎた。流れ出る血とともに、彼女の体から、命の輝きが失われていくのが感じられた。そして彼女は、私の妻は、お腹の子供とともに、残酷な運命によって、命を奪われたんだ。あの瞬間から、私の心の中で、何かが壊れてしまった。 幼い頃、親に捨てられ、施設で育ったせいだろうか。どうしても、心の底から人を信じることができなかった。それは社会人になっても変わらなかった。そのため家族も恋人も友人もいない。そんな天涯孤独の身だった私の前に、ある日現れたのが彼女だった。私は始めて恋をした。不器用な私を受け止め、彼女はそのままでいいと言ってくれたんだ。人を愛する喜びを知り、彼女と結婚するのに、それほど時間は掛からなかった。それから三ヶ月、私は彼女から新しい家族ができると告げられた。私たちの子供が生まれるという。嬉しさのあまり、私は小躍りし、心の底から喜んだ。まるで、これまでの不遇を哀れんだ運命の女神が突如として、微笑みかけてくれたかのような気がした。しかし、女神はあまりにも気まぐれだった、そして、あまりにも残酷だった。 残酷的命运 “救护车!快帮我叫救护车!” 那一天,我的呼喊都是徒然,她在我的怀里停止了呼吸。原因是交通事故。从医院作完检查回来的路上,在十字路口,我们的车装上了一辆大型卡车。虽然好不容易从变形的车里将她抱了出来,但一切都已经太迟了。随着从她身上流出的鲜血,我可以感觉到,她的生命在不断地流失。然后,我的妻子,和她肚子里的孩子,就被这残酷的命运,夺走了生命。在那一瞬间,我的心底,仿佛有什么永远消失了。 小时候,我被双亲遗弃,在孤儿院长大。也许是因为这个原因吧,我无法从心底相信任何人。其实走入社会之后,这一点也没有改变。因此,我没有家人,没有恋人,也没有朋友。然后,有一天,她出现在了一直孤身一人的我面前。我开始恋爱了。她接受了我的笨拙,告诉我我原本的样子是最好的。我慢慢知道了爱上别人的快乐。没过多久,我就和她结婚了。三个月后,她告诉我家里将添一个新成员了。我们有了孩子。因为过于高兴,我忍不住欢欣雀跃起来。这一切,仿佛是命运女神可怜我前半生的不幸生活,突然对我展开了微笑。不过,女神却未免太过于反复无常,太过于残忍了。 4 黒衣の老人 愛する家族を亡くし、すべての希望と喜びを失った私にとってそれからの生活は死んでいるのと変わらない日々だった。私はこの世の理不尽さと運命という見えざる敵を激しく呪った。なぜ私でなく、彼女を連れ去ったのだと。そして、悟ったのだ。運命とは、必ずしも幸福を約束するではないこと。やがて、私は本当に死を求めるようになった。そんな時だ。私があの不思議な黒衣の老人と出会うことになったのは。 あの日、あのビルの屋上に上がったのも、死に場所を求めていたからだった。そこから身を投げ、楽になりたかったのだ。だが、安全用の柵を乗り越えた時だった。ふと背後に気配を感じて振り返ると、いつの間にか、一人の老人が立っていた。黒のコートに黒の帽子、それはまさに黒衣の老人だった。奇妙なことに、ビルの淵に立つ私を見ても、老人はまるで動じた様子を見せなかった。それ以上に不思議だったのは、老人が何もないはずの空間から忽然と現れたようにとしか思えなかったことだ。私はたった一つしかない屋上のドアの開く音を聞いてない。 「あんた、いったい」 そう声を発した瞬間だった。突然体が浮き上がるような感覚に襲われたのだ。そのまま意識がすーっと遠のき、私は力を失った自分の体は崩れ落ちるのを感じたのだった。 黑衣老人 失去了挚爱的家人,我便失去了全部的希望和喜悦,从那之后,对我来说活着就如同死掉一样。我愤怒的诅咒着这个世界的不公,以及命运这个看不见的敌人。为什么死掉的不是我,而是她呢。然后,我明白了。命运不会总是让你幸福的。不久,我就真的开始寻死了。而我和那个不可思议的黑衣老人的相遇,便是在这个时候。 那一天,我来到一栋建筑物的顶楼,想要自杀。从这里跳下去的话,就能够解脱了。但是,在我翻过安全护栏的时候,突然,我感觉到背后似乎有人。回头望去,不知何时,我身后站了一个老人。黑色的外套,黑色的帽子。是一位全身黑衣的老人。奇怪的是,老人看到站在楼顶边缘的我,居然没有任何反应。更不可思议的是,老人仿佛是凭空出现一样。因为,我没有听到楼顶上那唯一一扇门开启的声音。 “你,到底是” 就在我发出声音的瞬间,我感觉自己的身体飘了起来。就这样,我开始慢慢失去意识的时候,我感到自己失去力气的身体开始下坠。 5 戦国の時代へ 目を開けると、十畳ほどの広さの和室に立っていた。部屋の襖には華やかな絵が描かれ、天井の梁や柱は漆黒の木が組み合わされた頑丈な作りをしている。 「まさか、ビルから落ちたのだろうか」 ふとそんな考えが脳裏に浮かぶ。だがそこは死後の世界とは思えなかった。と、背後からたどたどしい日本語が聞こえる。 「お蘭殿、殿がお呼びです」 振り返ると、そこには2メートルはありそうな黒人の大男が立っていた。思わず言葉を失う。なぜなら、着物姿の大男はまるで戦国時代の仮装をしているかのような服装で、あまりにもアンバランスだったのだ。 「お蘭殿」そんな私を見て、大男が首を傾げる。 お蘭、まさか私のことなのだろうか。戸惑いながら自分の格好を見ると、いつの間にか、大男と同じように、絹の着物を着せられていた。されに、どう見ても体つきがいつもの自分のものとは異なっている。 「そんな」 それに気付くと、私の脳は混乱と共に、これは夢なのだと告げた。そうでなければ、説明がつかない。もしかすると、本当の私は病院のベットに寝かされているのかもしれない。その時だった。 「お蘭、何ゆえすぐに参らぬのだ」 襖が勢いよく開かれ、一人の男が大股に部屋へと入ってきたんだ。髷を結った着物姿の堂々たる偉丈夫、そして怒りの表情を浮かべた顔立ちは人を寄せ付けぬ気高さを感じさせるものだった。 「信長様」 そう口にすると大男が平伏すように、頭を下げ、瞬間その名前が男の正体を示していることに気付く、侍の格好で信長といえば、一人しか思い浮かべなかった。戦国時代の覇者、織田信長だ。もしそうだとすれば、お蘭と呼ばれる人物もまた、一人しか考えられない。私は、信長の忠実な小姓として知られる、あの森蘭丸になっていたのだ。やはり夢だとしか思えなかった。いや、夢でしかあり得なかった。 「先ほどの一件、何か申し開きがあれば、告げるがよい」 やはり、あの黒衣の老人が原因なのだろうか。そんなことを考えながらも私は怒りの表情を浮かべた信長に詰問を受けていた。織田信長といえば、短気で知られた人物だ。一つ答え方を間違えば、怒りを買って、どんな仕打ちを受けるかは分からない。だが、どう答えるべきだろうか。なにしろ、こちらのほうこそ、自分の身に何が起こったのか知りたい状況なのだ。しばらく思案した後、わたしは徐に口を開いた。 「あいにく何も覚えておりませぬゆえ、答えられませぬ、それでもお咎めがあるというのなら、どのような罰でも受けましょう」 「な」 たちまち、信長の背後に控える小姓たちは、驚きの表情を浮かべ。 「そのような理屈が罷り通ると、よほど命が惜しくないと思える」 「はい、もとより惜しいと思ったことなど、ございませぬゆえ」 「お蘭殿、お戯れが過ぎますぞ、殿に対してそのようなもの言い、いかにそなたにも」 顔を青くした小姓の一人が慌てた様子で侘びを入れるように促す。だが、頭を下げるつもりなどなかった。どうなろうと、構うことはない。もとより、死に場所を求めていた身だ。恐れるものなど、何もない。それよりも驚かされたのは、自分の侍のような口調だ。やはりこれは、夢に違いない。黙り込む私に対して、信長もまた何事か考え込んでいるようだった。たちまち重苦しい空気がその場を支配する。 と、沈黙を破ったのは、信長の笑い声だった。 「さすがはお蘭、天晴れな度胸である。その度胸に免じ、此度のこと、不問にふそう。新の武士たるもの、主に対し物怖じせず、意見できるぐらいでなければならぬ」そういって楽しげに笑う信長の姿に、小姓衆たちもようやくほっとした表情を浮かべる。何が信長の心の琴線に触れたのかは分からないが、どうやら私は命を長らえることになったようだった。 来到战国时代 睁开眼睛,出现在我眼前的是10叠左右大小的和式房间。房间的拉门绘有华丽的图案,房顶上的梁和柱子都是由漆黑的木头组合而成的,构造结实。难道,我真的从房顶上掉下去了吗。突然,我脑海里出现了这个想法。不过,这个地方怎么也不像死后的世界。 这时,我听到身后传来了不熟练的日语。 “兰大人,殿下叫您。” 回过头去,身后站着一位身高将近两米的黑人男性。我顿时无言以对。因为,这个穿着和服的男人的打扮,仿佛就是战国时代的装束一样。这也太不寻常了。 “兰大人?” 他歪头看着我。 兰?难道是指我吗。 我十分迷惑的低头看了看自己的打扮,不知何时,我也和那个男人一样,穿着丝质和服。而且,不管怎么看这幅身体的不像是我自己的。 “怎么会” 注意到这些后,我的大脑一片混乱,同时我告诉自己我在做梦。如果不是在梦里的话,根本就说不通。说不定,真正的我此时正躺在医院的病床上。 就在这个时候。 “兰,你为什么没有立刻来见我!”拉门被猛地打开,一个男人迈着大步走了进来。是个梳着发髻和服打扮气度非凡的男性。同时,他脸上浮现的愤怒表情,也给人一种无法接近的高贵气质。 “信长大人” 黑人男子说完,便低头行礼。瞬间,我注意到这个名字告诉了我这个男人是谁。武士打扮,说道信长的话,也只有那么一个人了。战国时代的霸者,织田信长。如果是这样的话,那么被称为兰的人,那只有他一个了。我,变成了信长忠实的侍从,森兰丸。这果然是梦。不,这只能是梦。 “刚刚的事情,你还有什么要辩解的,说吧。” 果然是那个黑衣老人造成的吗。一边想着这些,我一边接受满脸怒气的信长的质问。说到织田信长,他可是有名的脾气暴躁。如果有一个回答错了,激怒了他,便不知会受到什么处罚。但是,我该怎么回答呢。现在,我倒是想问问在我身上到底发生了什么事情呢。我稍微想了一会,慢慢的开口说道。 “非常不巧,我什么都不记得了,因此无法回答您。如果这样,您还是要追究的话,就请您处罚我吧。” “什么” 顿时,站在信长身后的侍从们脸上都浮现出惊愕的表情。 “居然找出这种借口,我看你真是不想活了” “似的,原本便不曾觉得生命有何可贵。” “兰大人,你的玩笑开大了。如此对殿下出言不逊,就算是你也” 一个侍从铁青着脸,慌忙催促我道歉。但我根本不想低头。无论怎样都无所谓的,我本来就不想活了。没什么好怕的。其实更让我吃惊的是我武士般的说话语气,这果然是在梦里。面对沉默的我,信长仿佛也在思考着什么。顿时,现场充满了沉重的气氛。 打破沉默的是信长的笑声。 “不愧是兰,真是有胆量。看在你这份勇气的份上,这次的事情我就不追究了。” 看到信长高兴得笑起来的样子,侍从们也渐渐放下心来,不知是什么触动了信长的心弦,但看起来我似乎还能再多活一阵子了。 6 夢か現か 数時間後、信長の御前から下がると、私は弥助と呼ばれるあの黒人の大男に、話を聞くことにした。夢の中であろうとなかろうと、とにかく、現状を把握したかったのだ。果たして私の推測は当っていた。私は信長の小姓である森乱法師長定。後世では森蘭丸として知られる人物になっていたのだ。さらに、今は当時の年号でいうところの天正9年で、ここは信長の居城、安土城だという。宿敵の武田家を長篠の戦いで破った信長は、天下統一へと大きく近づき、おのれに反対する勢力の一層に動いているところらしい。これからどうするべきか、その夜、床についていると、そんな問いがふと脳裏に浮かんだ。あまりにも当たり前の問いだ。しかし、あの事故以来、考えないようにしてきた問題だった。すべてを失った私にとって、未来を思い描くことは苦痛でしかなかったからだ。それがあまりにも異質な状況に置かれたせいで、無理にでも考えることを容疑なくされている。もっとも、今はこのまま森蘭丸として信長に仕える以外に、選択肢はないだろうが。とりあえず、そう結論づけると、私はそのまま眠りに落ちた。もしこれが夢ならば、恐らく明日の朝にはあの現実に戻っているはずだった。 梦还是现实 几个小时之后,从信长面前退下之后,我向被称为弥助的大个子黑人,询问了情况。无论我是不是在梦里,总之,我都想要把握现在的状况。结果,我的推测是正确的。我便是信长的侍从森乱法师长定。被后世称为森兰丸而广为人知。另外,现在按当时的年号来说便是天正9年。我所在的地方便是信长的居城,安土城。信长在长篠之战中打败宿敌武田家,离一统天下又更近了一步,似乎正在继续清除对反对自己的势力。接下来我该怎么做呢,那天夜里,躺在床上,我脑海中浮现出了这个问题。这个问题太过于理所当然了。但是,自从那次事故以来,这确实我刻意回避的问题。因为对于失去了一切的我来说,构想未来只有痛苦。因为现在置身于这过于特殊的状况中,我不得不开始考虑起这个问题。话说回来,现在除了作为森兰丸继续服侍信长以外,我没有别的路可以走了。总之,得到这个结论之后,我就这样进入了梦想。如果这是梦的话,大概明天早晨我就会回到现实世界中了。 7 信長という男 だが、翌朝も変わらず、私は森蘭丸として目覚めた。どういう理屈かはわからないが、私は四百年昔の戦国時代へと時間を超え、あの森蘭丸の体へと入り込んでしまったのだ。こうなると、もはや認めるしかないようだった。その日から、信長が仕える日々が始まった。蘭丸の主な仕事は信長の身の回りの世話だけでなく、彼の命令を各所に伝える伝令役もになっていた。これも不思議なことに、蘭丸の記憶や知識がある程度残されていたため、重大なミスも犯すことなく、その任を熟すことができた。と同時に、私は、信長という男の非凡さを知ることとなった。その時代の人間としては珍しく、無神論者たっだ信長は驚くほどの合理主義者で、時代の枠に囚われない柔軟な思考と、幅広く視野を持っていた。たとえば、神仏などの古い因習を切り捨てる反面、新しいものはなんであろうと興味を示し、役に立つとわかれば、躊躇なく取り入れる、そんな同時代人とはまるで違った発想ができる、規格外の存在。それが信長という男だった。 そして、天正9年2月、信長に仕え、一か月が経とうとしていた。その頃、畿内の平定を得た信長の権力は絶頂を迎えており、この月、京の都において天下布武を標榜する大規模な軍事パレードが行われていた。それは彼の権力の巨大さを諸侯に余れく知らしめることを目的としたものだった。その関でのことだ。 「お蘭よ、今のわしにとって最大の敵は何かわかるか」 進軍する軍団を観閲しながら、ふと、信長は私に問いかけた。 「最大の敵、やはり、武田勢でしょうか、あるいは、毛利か上杉かと」 背後に控えたまま答えるわたしに、信長は笑みを浮かべ首を横に振った。 「武田も毛利も上杉も厄介な相手ではある。だが、所詮は人のようなものにすぎぬ。今のわしにとって最大の敵」そう告げると、信長は手に持っていた采配で空を差し示した。 「それはこの天よ、この天に打ち勝ってこそ、わしは真の意味で覇王となれるのだ。」 その言葉はもはや天下に敵はいないという自負な現れに思えた。だが、天を見据えた彼の眼差しはどこまでもまっすぐだった。まさか、本気で天に戦いを挑もうなどと思っているのだろうか。その瞬間なぜか妻の顔が浮かんだ。残酷な運命の手によって、命を奪われた妻の顔が。 「お勝ちください」気づくと、私は信長の意見に同意していた。勝てるものならば、勝ってほしかった。私から愛する者を奪った運命という名の怪物に。その時、私は本気でそう願っていった。 名为信长的男人 但是,转天早晨,我醒来之后发现自己仍然是森兰丸。虽然不知道是什么原理,但是我似乎回到了四百年前的战国时代,进入了那个森兰丸的体内。如果这样的话,我也只有认命了。从这天起,我开始了服侍信长的日子。兰丸主要的工作不光是照顾信长,同时也需要把他的命令传达到各个地方去。不可思议的是,兰丸的记忆和知识都在一定程度上保留了下来,因此我也能够没有重大的失误的情况下,渐渐熟悉了工作。同时,我也了解到信长此人的无与伦比。对那个时代的人来说,信长居然是无神论者,这已经非常少见了,同时,他也是完全的合理主义者,不被时代的桎梏所限制的灵活的思考方式,以及开阔的眼界。例如,在舍弃神佛等旧习的同时,对于新的事物都有着浓厚的兴趣,只要对自己有利,便毫不犹豫的加以采用。他有着和那个时代的人截然不同的想法,是与众不同的存在。这便是名为信长的男人。 之后,天正9年2月,我开始服侍信长之后已经过了一个月。平定畿内的信长迎来了他权利的最顶峰。这个月,在京城内将举行宣传“天下布武”的大规模军事阅兵。这次阅兵的目的是信长向诸侯们展示自己所拥有的巨大权力。就是在这个时候发生的事情。 “兰,你知道对我来说现在最大的敌人是什么吗” 注视着前进的军队,突然,信长这样问道。 “最大的敌人,果然应该是武田一族吧,或者是毛利和上杉?” 我站在信长的背后如此答道,他笑着摇了摇头。 “武田也好,毛利也好,上杉也好都是难缠的敌人。但是,他们也不过只是人,现在对我来说最大的敌人”说到这里,信长将手中的指挥棒指向天空。 “就是这天。只有打败了这上天,才是我成为真正的霸主之时。” 这些话语,让我察觉他有着自问普天之下已所向无敌的自负心理。但是,信长直视着苍天的眼神却是那么专注。难道,他真的想要挑战上天吗。这一瞬间,不知为何我脑海中浮现出了妻子的样子。被残酷的命运夺走了生命的妻子的脸庞。 “请一定要赢。” 等回过神来,我已经不自觉的同意了信长的意见。如果能赢的话,我真的希望信长可以胜利。战胜夺走了我挚爱之人的那名为命运的怪物。那个时候,我是真心如此希望的。 8.襲撃 苛烈な独裁者、そんな信長の印象が変わったのはある事件がきっかけだった。彼に仕えて三か月、鷹狩のため、信長が小姓衆を共に安土近郊の農園と赴いた時だ。天正伊賀の乱で信長に恨みを抱いていた伊賀者に襲撃を受けたのだ。警護の目を掻い潜り忍び込んだ三人の襲撃者たちは野に潜む信長が近づくのを待ち受けていた。そして、その姿を確認すると、一斉に信長へ襲いかかったんだ。突然の奇襲に刀を抜く暇などなかった。襲撃者の一人に体当たりにすると、私はそのまま地面に道伏せた。命を惜しまない無謀さがそうさせたのか、あるいはもとの蘭丸の意識が働いたのかは分からない。ただ自然と体が動いたのだ。しかし、襲いくる二人目の太刀を伏せる余裕はなかった。私は死を覚悟した。400年以上過去でも思わぬ死。現実世界で家族も何もかも失った自分にとってはふさわしい死様かもしれない。だが、私の望み通りにはいかなかった。信長はその太刀を体を張って受け止めたんだ。返す刀で相手を両断すると、三人目の襲撃者と対峙する信長。驚いたことに私は守るべき信長本人に助けられたのだった。主君の危機にともの者たちの刀を向き、伊賀者たちは死闘の末、切り捨てられた。 「無事であったか。」 襲撃者が撃退されたことを確認すると、信長は私の身を案じた。 「お蘭、覚えておくがいい、ただ命を惜しまぬのは愚かな猪武者だと」 「ですが、無茶をなさったのは信長様のほうかと」 「笑止、何人たろうと、わしを殺めることなどできぬ」 不敵な笑みを浮かべ、そう言い捨てる信長、それは傲慢とも自惚れとも取れる物言いだった。だが、彼の口から語られると、それは急激に真実見を帯び、不可能なことすら、可能に思えてくるのだ。体を張って自分を助けてくれた信長、幼い頃に死に別れ父親の温もりさえ知らなかった私にとって、その存在は新鮮だった。気づくと私は信長の姿に遠い記憶の中にある父の面影と重ねっていた。そして、その自信に似合う才能と人を平伏せさせる圧倒的なカリスマ性を持つ信長という男に惹かれている自分がいった。 袭击 苛刻的独裁者,我对信长的印象有所改变是因为一件事的发生。在服侍信长3个月的时候,为了猎鹰,信长和众侍从一同前往安土近郊的农园。我们受到了因天正伊贺之乱对信长怀恨在心的伊贺一族的偷袭。三个偷袭者躲过了警卫的注意,藏身在草丛中,等待信长的接近。然后,等到确认信长来到身边,便一起发动了攻击。面对突然的袭击,连拔刀的时间都没有。当我用身体扑下了一个袭击者之后,就这样摔倒在地上。我不知道是自己不要命的鲁莽性格的趋势,还是原来的那个兰丸残留下的意识让我这样做的。身体自然地就冲了出去。但是,我却没有时间躲开第二个人的太刀。我已经做好了死的心理准备。没想到自己会死在400多年以前的时代。也许对于在现实世界中失去一切的我来说,也算是个合适的归宿。但是,事情却没向我预想的方向发展。信长用他的身体挡住了那把太刀,然后反手将对方劈成两半。然后开始和第三个偷袭者对峙。让我震惊的是,我本该保护信长,却反而为他所救。主君在危机之中,随行者也立刻拔刀冲了上去,伊贺众人在殊死决斗之后,全部丧生。 “你没事吧?” 再确认了袭击者被全部击退之后,信长开始担心起我的安危。 “兰,你记住,只知道不要命的,不过是蠢猪武士罢了。” “但是,刚才乱来的不就是信长大人您吗?” “笑话,这种人是没办法伤了我的。” 信长脸上浮现出无敌的笑容,同时这样说道。这些话听起来既有些傲慢,又有些自大,但是从信长口中说出来,便让跟有一种真实的感觉,即使不可能的事情,也让人觉得可能。面对挺身保护我的信长,对于从小就失去父亲,从未体会过父爱的我来说,信长的存在是新鲜的。等到我回过神来,我已经在不知不觉中将信长的身影和记忆中模糊的父亲的脸庞放到了一起。然后,自己被信长那与自信相应的才能和让人臣服的压倒性的超自然的能力所吸引了。 9.運命と戦う者 小姓衆として仕えて数か月、あの襲撃事件を境に、信長の語る理想に耳を傾ける時間が増えていた。信長に対する憧れはいつしか尊敬の念に変わっていた。運命に身を委ねることを拒否し、己の進む道のすべてを己の力で切り開こうとする、私が生きたくとも生きられなかった姿がそこにあったからだ。だが、私にはわかっていた。史実通りに歴史が動くであれば、信長の夢が叶うことはないと。なぜならば、織田家の重臣である明智光秀の裏切によって、信長は天下統一を目前に命を落とすことになっているからだ。いわゆる、本能寺の変だ。 天正10年6月、中国地方の覇者毛利氏と戦っている羽柴秀吉を支援するため、自ら出陣を決めた信長は安土城を離れて、京にある本能寺へと入ることになる。だが、6月2日の未明、先に出陣していた明智軍が突如本能寺へと攻め入ったのだ。その時本能寺にいたのは小姓を中心としたわずかなともまわりだけであり、信長は炎に包まれた寺の中で、自尽したと伝えられている。それが歴史の事実だった。そのこと信長に伝えるべきか否か私は迷っていた。確かに、信長は蘭丸を信頼している。しかし、さすがに未来に起こるかもしれない出来事を告発しても、信じてもらえる確証はない。そもそも、私がこの世界に来た時点で、すべてが歴史通りに進んでいくのかさえ、定かではないのだ。そんな迷いを抱えたまま、年が明けて、天正10年となった。本能寺の変が起こるまで、すでに半年を切っていた。早く答えを出さなくてはならない。そして、天正10年3月、その決意を固めさせる出来事が起こった。黒衣の老人が再び私の前に現れたのだ。 和命运抗争的人 我作为侍从服侍信长几个月,自从那次袭击事件之后,我倾听信长讲述自己理想的时间增多了。我对于信长的憧憬不知何时变成了尊敬。不肯将自己交托给命运,而是用自己的力量来开创自己前进的道路,这便是我想做而不能做到的生活方式。但是,我也知道。如果历史按照史实所记述的那样发展的话,信长的梦想永远也无法实现。因为,织田家的重臣明智光秀的谋反,信长在天下一统之前,便去世了。也就是,历史上的本能寺之变。 天正10年6月,为了支援和中国地方的霸者毛利一族战斗的羽柴秀吉,信长决定亲自出战,便离开了安土城,进入了位于京城的本能寺。但是,6月2日黎明,早先出战的明智君突然攻入了本能寺。此时,本能寺只有几名侍从,据说,信长在被火焰包围的本能寺中自杀身亡。这便是历史。我不知道是否要将这些事情告诉信长。确实,信长很相信兰丸。但是,就算告诉他未来可能发生的事情,我也没有任何证据能让他相信我。而且,从我来到这个世界以后,一切是不是还会按照历史来发展,也很难有定论。我心怀这些疑惑,迎来了新的一年,天正10年。距离本能寺之变发生的时候,只有不到半年的时间了。必须今早得出答案。然后,天正10年3月,发生了一件让我下定决心的事情。那个黑衣老人再次出现在了我的面前。 10.時の散歩者 甲斐国から宿敵である武田家滅亡の報がもたらされ、祝宴が催された夜のことだった。信長の指示を控えている小姓衆に伝えるため中座した私は廊下の暗がりに人の気配を感じた。 「何やつ」 とさに刀の柄に手をかける。上杉か毛利の間者だろうか。すると、影の中から一人の人物が姿を現した。黒いコートに黒い帽子、それはあの黒衣の老人だった。 「あなたはあの時の」 いったい何者なのかと尋ねた私に、老人は重々しく口を開いた。 「私は時の散歩者、過去と未来、時を旅する者」 そして、老人は私の身に何が起きたのか、説明を始めた。通常、人間は肉体を持ったまま時間を超えることはできない。だが時より、移動の際に起こる時空の波に精神を同調させてしまうものが現れるという、今回の私のように。そして、巻き込まれた私の精神は偶然にも移動した時代で、森蘭丸の精神と一体化してしまったというのだ。 「信じるかどうかはお前さんの勝手だが、歴史の流れに余計な負荷をかけるわけにはいかん。さあ、私と一緒にもとの時代に戻るのだ」 そう語る老人の話は、今の私にとって真実であろうとなかろうと、どちらでも構わなかった。 「戻る気はありません。戻ったところで何もありはしない」 私の返事に老人はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと頷いた。 「よかろう、それがお前さんの決めたことなら、ただひとつだけ忠告しておこう」 そして私の心を見透かしたように、老人は言葉を続けた。 「すでに起こってしまった過去を変えることはできん。歴史を変えようなどと無駄な行為をせぬことじゃ」 未来から過去の歴史へどんな介入を行ったとしても、経過が多少異なるだけで、最終的な事実は変えられない。つまり、私がどんな行動を起こそうとも、歴史通りに信長は本能寺で命を落とすのだと。 「何か誤解があるようですね、私は自分の命がどうなろうが関心を持っていないですよ。そんな私は誰かを助けようとか、まして歴史を変えようなどと思うわけがないでしょう。信長についても同じこと、どうなろうと私には関係のない話です」 私の言葉に老人は射抜くような視線を向けた。 「それはお前さんの本心かね」 私は静かに頷いた。嘘だ、私は信長を助けたいと思っている。だからこそ、老人の言葉を認めたくなかった。 「ならば構わぬが」 そう告げた瞬間老人の周囲の空間がまるで陽炎のように歪んだ。気づくと老人は霞のように消え去っていた。 时光的散步者 从甲斐国传来了宿敌武田家灭亡的信报,就在设宴庆祝的那天晚上。为了将信长的命令传达给侍从们,我暂时离开宴席,我突然感觉到走廊的阴暗角落里有人。 “什么人” 我立刻将手伸向刀柄。是上杉或者毛利家的间谍?这时,从角落里走出一个人。黑色的外衣,黑色的帽子,就是那个黑衣老人。 “你是那个时候的” 我质问他到底是什么人,老人沉重的说道。 “我是时间的残不着,从过去到未来,在时空中旅行的人。” 然后老人开始跟我解释,在我身上到底发生了什么。通常情况下,人类的肉体是无法穿越时空的。但是有些时候,在时空穿越之时引发的波浪而致使精神一体化的情况时有发生,就像这次我的情况一样。然后,被牵连的我的精神非常偶然的和这个时代的森兰丸的精神融为一体了。 “信不信随你,但是不可以给历史的长河增加任何负担。来吧,和我一起回到原来的时代中去。” 老人所说的这些话,对我来说是不是真实的已经不重要了。 “我不想回去,就算回去了,我也是一无所有。” 面对我的回答,老人沉默了一会,然后便默默地点了点头。 “好吧,如果你已经决定了的话,不过,我有一个忠告。” 老人仿佛看透了我的心思一样,继续说道。 “已经发生的历史是无法改变的。不要妄想做任何想要改变历史的愚蠢行为。” 不管从未来对历史进行怎样的干预,只不过是过程有些许不同,最终的事实是无法改变的。也就是说,不管我采取怎样的行动,信长都会如同历史一样,在本能寺去世。 “似乎是有什么误会呢,我连自己的命运如何都没有一点兴趣。这样的我,更不可能想要去帮助谁,甚至想要改变历史了啊。信长也是一样,不管他变成怎样都跟我没有关系。” 面对我说的这些话,老人的眼神仿佛要刺穿我一般。 “这是你的真心话吗。” 我静静地点了点头。我在骗他,其实我是想要帮助信长的。所以,我才不想相信老人所说的话。 “那就好。” 说完这些话,老人的周围的空间开始扭曲。等我回过神来,老人已经消失了。 11.説得 「摂津に参った者から聞いた話なのですが、京の都において、日向の上様に反意ありとの噂が流れているとか」 老人が現れた翌日、私は意を決して、光秀には反意があると告げていた。そして、光秀を信じてはならない。彼を遠ざけ、重臣の地位から外すべきだと続けた。偽りの噂話であり、悪意に満ちた創作だったが、これで信長がわずかでも警戒してくれれば、それだけでよかった。しかし、信長の返答は意外なものだった。 「お蘭、そっちはまだ若い、だがそのようなことは口にせぬべきだな」 「は」 「日向の上の領地、近江坂本八幡国はもとより毛利家のもの、取り戻したい気持ちはわかるが、ほかにやり方があろう」 そう強い口調で言い放つ信長、つまり光秀の領地がもともと毛利家の旧領にあたるため、それを取り戻すために、讒言しているのではないかというのだ。根拠のない讒言なのは確かであり、そう思われてしまっては、これ以上何を言っても意味がなかった。もはや諦めるしかないのか。やはり老人の言った通り、歴史の流れは変えられないのだろうか。だが、このまま放っておくことなどできなかった。 天正10年5月28日、本能寺にの前日に、私は最後の説得を試みることにした。自分が未来から来たということを伝えようと決心したのだ。信長を死なせたくなかった。なぜなら、信長を死なせないことが、運命に勝つことにもなるのだ。それは私の妻を奪った運命に対する復讐でもあった。そのためには、やはり本当のことを伝えるしかない。私が未来から来たということ。だから、この先に起こることも予言できるのだと。 通常の人間では到底理解できない話かもしれないが、信長ほどの人物であれば、この突拍子もない説明でも受け入れてくれるかもしれない。そして、私の言葉が正しいと信じてもらえるかもしれない。だが、いざとなると切り出すのが難しい話だった。しかし、これだけは言っておかねばならなかった。 「本能寺に行ってはなりませぬ」 「なぜだ」 畿内の平定を得た現在、織田の軍団の多くは各地の遠征に赴いており、信長自身の周囲は非常に手薄になっていた。その状況だからこそ、裏切りに対する警戒を強めるべきだ。そう進言する私に信長はやはり考えを変える気配を見せなかった。 「ならばせめて今少し手勢を増やしください」 だが、その意見もまた無用との一言で退けられた。 「殿は、死を恐れぬのですか」 「なぜ恐れる」 いつ死ぬかではない、どう生きるのが問題ではないのか。そう語る信長の姿は目に見えぬ敵に挑むようだった。そして、何かが起こるのを待ち受けているかのように感じられた。その姿を見て、ふと思った、この人ならば本当に定められた運命に打ち勝つことができるのではないかと。あの黒衣の老人がなんと言おうと、その理さえも強固な意志で打消してしまうのではないかと。結局、最後まで有効な手を打てぬまま、その翌日、私は信長とともに、京の本能寺へと向かうことになった。史実のままに、そして、天正10年6月2日、やはりその時は訪れた。後世に本能寺の変と称される事件が起こったのだ。 说服 “据来自摄津的人所说,在京城地方有传言说日向国的诸侯有谋反之意。” 在老人出现后的转天,我下定决心,告诉信长光秀有心谋反,不可相信。我继续说,应当疏远他,并辞去他的重臣地位。虽然这一切都是谎言,全是我刻意的编造的,但是如果信长能因此而有所戒备的话,就足够了。但是,信长的回答却令我意外。 “兰,你还太年轻了,这种话可不能随便说。” “是” “日向的领地,近江坂本八幡国本来就是毛利家的地盘,我知道他肯定想要取回这片领地,不过还是有别的方法吧。” 信长语气坚定的说道,也就是说,光秀的领地原本是毛利家的地盘,因此他为了取回领土,而制造谣言。这些确实是毫无根据的谣言,既然信长已经这么想了,我再说什么也毫无意义。难道我只能放弃了吗。果然如老人所说的那样,历史的长流是无法改变的吗。但是,我也无法就此罢手。 天成10年5月28日,在前往本能寺的前一天,我尝试最后一次说服信长。我已经决定告诉他自己是来自未来的人了。我不想让信长就这样死掉。这是因为,如果信长没有死,这也就是我们战胜了命运的证明。这也就是对夺走了我妻子性命的命运的复仇。因此,我只有对信长道出实情了。也就是我来自未来。所以,我知道将会发生什么事。 对于一般人来说也许是无法理解的事情,但是信长这样的人,也许可以接受这种突然的解释。然后,他说不定会相信我所说的话。但是,如果有什么突发情况的话,说出这些话很难解释清楚。但是,我必须要说出来。 “您不能去本能寺。” “为什么?” 先进畿内已经平定,信长的军团大多在各地远征。信长周围的守卫非常薄弱。正是因为处于这种状况,才更要加强对背叛者的戒备。对于我的这些进言,信长依然没有表示出任何改变想法的迹象。 “那么至少要增加守卫。” 但是,我的这个意见也仅仅得到了一句没有用的回答。 “殿下您不怕死吗?” “为什么要怕?” 信长继续说道,什么时候死并不是问题,问题是该如何活着。说出这些话的信长,在我眼里看来,仿佛是在挑战着看不见的敌人。仿佛是在等待着什么的到来。看到他的身影,我突然意识到,如果是这个人的话,说不定真的能够改变已经被注定的命运。无论那个黑衣老人说什么,信长都可以用他强硬的意志来改变那注定的事实吧。所以,我最后也没能使出什么有效的手段,转天,我和信长一起,奔赴了京城的本能寺。如同历史上所记载的一样。然后,天正10年6月2日,那个时刻到来了。被后世称为本能寺之变的事件发生了。 12.最期の時 本能寺は堀や塀に囲まれ、非常時には篭城できるように城塞化された寺だった。しかし、明智軍の1万3千の敵軍の前にはあまりにも脆弱だった。半時も経たぬうちに門が壊され、境内に明智軍が雪崩れ込んでいる、弓を放つ信長を守るように他の小姓たちと雪崩れ込んでくる敵を突き伏せ、やがて弓の弦が切れた信長も自ら槍をとり、こそに加わった。信長を守る小姓たちはみんな腕に覚えがあり、さらに巨大な金棒を振り回す弥助の怪力によって、一時的に敵を押し返す。だが、相手の数は多すぎた。波のように押し寄せる敵兵を前に、次第に味方は押されていき。一人、また一人は倒れてゆく。そして、鉄砲隊の一斉射撃を受け、勝負はついた。周囲を守っていた小姓たちが次々に倒れ、信長自身も片膝をつく。その隙に、敵兵が繰り出した槍が信長の脇腹へと突き刺さった。 「信長様」 その敵兵を突き防ぐと、信長のもとへかきよる。 「ここまでであるか」 そう告げる信長の息は荒かった。槍や鉄砲で体の数か所に傷を負っていたのだ。 「お蘭殿、信長様を」 「すまん、弥助、ここは任せる」 一人獅子奮迅の働きを見せる弥助を信頼に、私は信長をつれ、寺の本堂へと下がった。まさに、刀折れ矢尽き、最期の時が近づいていた。 本堂の奥につく頃には、境内に押し寄せる敵軍を防ぐため、寺のあちらこちらから火の手が上がっていた。燃え上がる劫火がまるで、生き物のように建物を嘗め尽くしていく。そのさまを見ていると、明智軍の鬨の声が不思議とどこか遠い世界からのもののように思えてくる。 「ここでよかろう」 深手を負い、ひどく出血しながらも信長の顔にはいまだ笑みが浮かんでいた。 「お蘭、介錯いたせ」 本堂に火を放つように命じると、信長は私に介錯するように告げた。腹を切ろうとする信長の背後に立つと、刀を構える。 「私もすぐに参りますゆえ」 だが、後を追うという私を、信長は語気を強めて制した。 「ならぬ、そっちは戻るのだ。己の時代へ」 「は?」 困惑する私に対して、信長は言い含めるように言葉を続けた。 「わしの戦いはここで終わる。これからはそなたはそなた自身の生を戦うがいい。」 己の時代、まさか信長は私がほかの時代から来たことを知っていたのだろうか。そんなはずはない。なんの説明もなく、常人に理解できる状況ではない。それを見抜いていたとはとても思えなかった。立ち尽くす私を尻目に、信長は本殿の奥に語りかけた。 「いるのであろう、時の散歩者よ」 その言葉に答えるかのように、暗がりから人影が現れた。驚いたことに、それはあの黒衣の老人だった。その姿を見た信長は挑むような笑みを浮かべ。 「われは第六天魔王信長、あらゆる時代へ伝えるがいい、わしの生き様を。」 その瞬間、信長が己の腹に刃を突き立てた。 「信長様」 叫びと同時に、私は介錯の刀を振り下ろしていた。それに呼応するように、本殿に包む炎が激しく燃え上がった。呆然と立ち尽くす私の前で、すべてが灰塵に帰そうとしていた。 最后的时刻 本能寺被护城河和城墙包围,为了在必要时刻可以围城而战,特意进行了加固修建。可即使如此,面对明智军的1万3千军队,仍旧太过脆弱了。不消半刻,城门便被破坏,明智君蜂拥而入,为了保护射击的信长,侍从们冲入了敌人之中,展开了混战。不久,信长的弓弦断裂,信长野拿起长枪,加入了肉搏的队伍中。保护信长的侍从们个个身手不凡,加上挥舞着铁棍力大无穷的弥助,我们一时压制住了敌人。但是,对方的人数实在是太多了。在像波浪般前仆后继的敌军面前,我方渐渐式微,一个一个的倒下了。之后,随着对方的铁炮队开始了射击,胜负立刻分晓。保护着信长周围的侍从一个个倒下了,信长也体力不支单膝跪倒。趁着这片刻的功夫,敌军的长枪刺向了信长的腹部。 “信长大人!” 我将那名敌人砍倒,冲到信长身边。 “到此为止了吗。” 信长的呼吸沉重,身上有着数处枪伤及刀伤。 “兰殿下,请保护信长大人。” “对不起,弥助,这里就交给你了” 我相信一个人勇猛奋战的弥助,带着信长大人,撤回到本能寺的正殿。实在已经是到了弹尽粮绝的最后时刻了。 回到正殿中之后,为了防止敌军继续攻入寺内,本能寺的各处都燃起了火焰。那熊熊燃起的烈火,仿佛拥有生命的怪物一般,将所有的建筑物都舔舐殆尽。见到这份惨烈的景象,明智军的喊杀声仿佛来自遥远的异世界一般。 “这里就可以了。” 身受重伤,流血不止的信长脸上仍然露出了笑容。 “兰,介错就拜托你了。” 信长命令我在正殿放火之后,让我做他的介错人。我站在准备切腹自杀的信长身后,举起了刀。 “我也会追随您而去的。” 但是,信长却用语气坚决的制止了我。 “不行,你要回到你自己的时代去。” “什么?” 面对困惑不解的我,信长意味深长的继续说道。 “我的战斗在此便结束了,接下来轮到你为了自己的人生而战斗了。” 自己的时代,难道信长他知道我来自别的时代吗?怎么可能。这可不是,不加解释就能被常人理解的情况。我也不相信他能够一眼就看穿。信长看了一眼呆立无言的我,向着正殿的深处说道。 “你在吧,时光的散步者。” 仿佛是这句话的回答一般,正殿的阴影中出现了一个人。让我吃惊的是,这个人就是那个黑衣老人。看到老人的身影,信长脸上浮现出了挑衅般的笑容。 “我便是第六天魔王信长,你去告诉后世,我是怎样活着的吧!” 这一瞬间,信长将刀刺入了自己的腹部。 “信长大人!” 我大声喊着,同时挥下了介错的刀。仿佛是于此呼应一般,包围着正殿的火焰一瞬间升腾了起来。在茫然呆立的我面前,将一切化成了灰烬。 13.新たな決意 目覚めると、そこはあのビルの屋上だった。広がる青空に一筋の雲。周囲の景色のすべてが最初に意識を失った時と寸分違わぬように思えた。まるで、長い夢でも見ていたようだ。ただ、私の傍らにはあの黒衣の老人が立ていた。 「あの人は信長様は最初から自分の最期を知っていたのか」 私の問いに老人は黙ってうなずいた。信長公はかつて数百年先の時代を訪れ、己の運命を知ったのだという。すべてを見越したようなあの笑み。それは己の運命を見定めた者の笑みだったのだ。でも、あの人は己の運命に負けた。未来を知ったことは不幸でしかなかったはずだ。 「いや、負けてなどいない」 老人は私に見つめて告げた。 「いずれ非業の死を遂げるとわかっていながらも、彼は過去へ戻ることを決意したのだ。それはなぜだか分かるかね」 老人の問いかけにふと、あの人の言葉が脳裏に浮かぶ。 「いつ死ぬかなど些細なこと。どう生きるのかが問題なのだ」 私ははっとした。彼が戦国の世に戻ったのは待っている誰かがいたからではない、自分の心を偽り、未来の世の中で安穏と暮らすよりも、悔いのなきよう、己の信念と理想を貫くをこと選んだからだ。己が覇王信長であり続けるために、彼は歴史の歯車という巨大な敵に挑戦したんだ。死を覚悟しながら。 人生は何を成したかではない。その終わり方も重要ではない。問題はどのように生きたかだ。今なら、あの言葉の本当の意味を理解できる気がする。生きて見せる、例えあの人のようになれなくとも。 私の心に新たな決意が芽生えていた。私はまだ生きている、もう一度立ち上がることもできる。そして、あの人の言葉を胸に刻もう。どう生きるか、私の愛する妻や子たちの分まで。 新的决定 醒过来的时候,我发现我在那栋建筑物的屋顶。眼前是一片广阔的天空,以及一缕流云。周围的景色与我最初失去意识的时刻没有任何不同。我仿佛就像做了一个长梦一般。但是,在我的身旁站着那个黑衣老人。 “那个人,信长大人他一开始就知道自己的死期了吗?” 面对我的问题,老人默默地点了点头。信长他曾经穿越到数百年之后的时代,然后知道了自己的命运。他那仿佛洞穿一切的笑容,原来是他已经知道了自己的命运。但是,他也输给了自己的命运。知道了未来也只能给自己带来不幸。 “不,他没有输。” 老人看着我说道。 “他知道自己最后将死于非命,但是仍然决定回到过去。你知道这是为什么吗。” 面对老人的问题,我脑海中突然浮现出了那个人说过的话。 “什么时候死并不重要,怎么活着才是最关键的问题。” 我终于明白了。他之所以会回到战国时代,并不是因为那里有人在等着他,而是因为与其欺骗自己的内心,在未来的时代平稳的生活下去,还不如选择回到过去,不留遗憾的贯彻自己的信念和理想。只要自己还是霸王信长,他就要不断挑战历史的齿轮,这个巨大的敌人。 人生最重要的不是成就了什么,也不是怎样结束的。最重要的是怎样活着。现在,我终于真正理解了这句话的意思。我要活着。就算不能像那个人一样。 在我的内心,一个新的决定萌发了。我还活着。所以我还可以重新开始。然后,我要把那个人的话语铭记于心。连我挚爱的妻子和孩子的份一起,开始新的人生。















The Time Walkers 7 高杉晋作
伊藤博文友情客串…… 1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散...(0回应)
伊藤博文友情客串…… 1.オープニング 過去から未来へ、連綿と続く時の流れにおいて、偉人と呼ばれる歴史に残る出来事を成し遂げる人物が現れます。彼らの決断の裏側には何があったのか。これは偶然のいたずらから、時の狭間に迷い込んだ者たちの物語。そして、運命に翻弄された者たちの物語。その扉を開く時の散歩者があなたを知られざる歴史の裏側にご案内することになりましょう。 序幕 从过去到未来,在连绵不断的时间长河中,不断出现完成永载史册的丰功大业的伟人。在他们的决断的背后隐藏着什么呢。这是关于因为偶然的恶作剧而迷失在时空夹缝中的人们的故事。同时,也是被命运玩弄的人们的故事。打开这扇时空之门,让时空的散步者来引领你走向不为人知的历史另一面吧。 2.夜襲 夜の瀬戸内海、大島の沖合いに停泊する幕府の軍艦の灯火だけが、闇の中で空の星のように浮かび上がって見える。どうやら船を動かす蒸気機関の火が消え、兵員たちもすっかり眠りの落ちているようだ。昼間の勝利の余韻に浸って、すっかり油断しきっているのだろう。最高だ。ぞくぞくするね。 ゆっくりと敵船に近づく丙寅丸の船上で、俺は思わず笑みを浮かべた。 このまま夜襲をかければ間違いなく勝てる。だが、この好機を見過ごせば、果たして歴史は大きく変わるだろうか。それとも。いま、俺は明らかに運命の分かれ道に立っていた。 慶応2年6月、太平の眠りを覚ます黒船の来航から10年あまり、攘夷派の急先鋒として公然と倒幕と唱える長州藩は、江戸幕府によって攻撃は受けていた。後世に第二次長州征伐とも四境戦争とも呼ばれる戦いだ。そして、15万もの兵力を動員した幕府軍が、最新鋭の軍船4隻を派遣し、瀬戸内海に浮かぶ大島を占領させたのがつい昨日のこと。そこを足掛かりに幕府は一気に長州藩の拠点である周防へと攻め込もうというのだ。そうなれば、四方から幕府軍に攻められている長州藩は確実に負ける。だが、本当にそうなのだろうか。 「あの、なぜそのような軽装で、高杉さんはわれらの大将です、もう少し威厳というものをお考えになられては」 と、着流しに扇子一本を持っただけという俺の恰好が気になったのか、副官の一人が声をかけてきた。 「威厳か、俺たちは必ず勝つ、恰好などこれで十分さ」 そう、今度の夜襲は成功し、長州は必ず幕府軍に勝つ。そして、江戸幕府はいずれ大政奉還によって終焉を迎え、日本は明治政府が行う改革によって西洋のような近代国家となっていくだろう。俺にはそこまで未来が分かっていた。なぜなら、それこそが俺の知っている正しい歴史の流れなのだから。それでも、もし海軍総督である俺がわざと負けるように指揮をとったら、果たしてその決断で歴史は変わるのだろうか。それとも、やはり歴史という大きな流れの中で簡単に修正されてしまうのだろうか。 「それもまた面白い」 思わずそんなつぶやきが漏れた。かつての俺の人生と比べたら、なんとスリルのある人生なのだろう。俺がこの時代で高杉晋作として生きる前、150年先の日本で生きていたあの頃と比べて。 夜袭 夜晚的濑户内海,大岛的海面上,只有停泊着的幕府军舰的灯火,仿佛黑暗中的星星一般发出闪闪亮光。看起来,船上的蒸汽机关的火都已经熄灭了,士兵们也都进入了梦想。大概是人们还沉浸在白天胜利的喜悦中,所以完全放松了警惕吧。太好了。好兴奋啊。 我站在慢慢接近敌船的丙寅丸上,忍不出浮现出一丝笑容。 如果现在进行夜袭的话一定会赢。但是,如果我放弃了这个绝好机会的话,历史会不会发生巨大的变动呢。到底会怎样呢。现在,我正站在命运的分岔路上。 庆应2年6月,黑船的来航导致日本从太平的美梦中苏醒,距今已经十多年了。作为攘夷派的急先锋更公然宣称打倒幕府的长州藩,遭到了江户幕府的攻击。这边是被后世称为第二次长州征伐,同时也被称为四境战争的战事。然后,动员了15万兵力的幕府军队,派遣了四艘最先进的军舰,终于在昨天占领了濑户内海中的大岛。因此为契机,幕府准备大举攻入长州藩的据点周防。如果这样的话,被幕府军队四面围击的长州藩一定会输。但是,真的会这样吗。 “您为何一身轻装打扮。高杉先生您使我们的大将,您应该在考虑一下应该具备的威严。” 也许是太过于介意我身穿一件简单的和服,手拿扇子的打扮了。副官中的一个人开口说道。 “威严吗?我们一定会赢的。这样的打扮就足够了。” 是啊,这次的夜袭成功的话,长州一定会战胜幕府军队。然后,江户幕府早晚会将大政奉还,迎来自己的终结。日本也会因为明治政府执行的改革,而成为和西洋的近代国家一样吧。我对于这些未来十分清楚,因为,这才是我所知道的真正的历史走向。可即使如此,如果身为海军总督的我故意做出会战败的指挥的话,我的决定,能对历史带来多少改变呢。还是说,在历史这巨大的洪流中被简单的修正呢。 “有意思。” 想到这里,我禁不住呢喃道。我和曾经的人生比起来,这将是多么刺激的人生啊。在我来到这个世界成为高杉晋作之前,和我生活在150年前的日本那个时候比较起来的话。 3.退屈な人生 人間は先が見えないことに不安を感じ、常に安心を求めて生きるという。だが、どういうわけか俺は昔から違った。どんな安定を手にいれようと、その日常に慣れてしまうといつの間にか、その生活のすべてを破壊したくなってしまうのだ。自分で言うのもおこがましいが、頭の回転が速く、物事の先が見えすぎて、飽きっぽい性分に育ったためか、それとも反抗心が旺盛で、何かのルールに縛られることを嫌っていたからか。父親が銀行員で、母親が名家の出という裕福な家庭に育ち。幼い頃からエリート教育を受けさせられた俺は、学業優秀、運動神経も抜群と、親の望み通りの子供として育った。 「自分たちの敷いたレールに乗っていれば、お前は幸せになれる」 両親は本気でそう信じていた。そんな考えにあのまま順応できていれば、もしかすると俺は平凡な社会生活を送っていたかもしれない。しかし、中学に進んだ頃から、俺はただ決められた物事を凝らしていく生活に強烈に退屈さを感じるようになっていた。そして、高校を卒業とするすぐに、自分と同じ道を歩ませようとする両親に反発し、勘当同然に家を出た。 何にも縛られることなく、とにかくおもしろおかしく人生を生きてやる。家を飛び出した俺はそう決心していた。将来のリスクを計算し、それを避けるために保険をかける。それが人生だと考えている両親への反発もあった。その後は友人のもとに転がり込んで、ベンチャー企業を立ち上がったり、わざと海外の危険地帯で放浪生活を行ったりなど、ひたすら刺激を求める生活を送り続けた。さらに日常生活でも刺激となるものなら犯罪にならない限り、どんなものであろうと手を出した。そんな破滅的とも思える俺の生き方を見て、苦労知らずで自分によっているだけだというやつもいたが。他人の誹りはまったく気にならなかった。俺はただ生きることが退屈という思いを捨てきれず、常に刺激がないと、生きていると実感できなかったのだ。だが結局、何をしても、その憂鬱が晴れることはなかった。仕事は成功が見えた時点で、冒険はゴールが近づいたとたんに、どれもそれまで気づいたものをあっさり捨て去ってしまった。どんなに情熱を持って取り込んで見ても、どれも先が見えた時点で虚しさを感じるようになってしまうのだ。 「本当に退屈だよ、人生ってもんは」 いつしかそれが俺の口癖になっていた。そんな時だ。俺があの奇妙な老人に遭遇したのは。 无聊的人生 人们总是对无法预见的未来感到不安,在生活中寻求着安心。但是,不知什么原因,我一直都与众不同。不管现在的生活是多么的安稳,只要习惯了这种生活以后,便渐渐想要将一切全部都破坏掉。虽然由自己来说有些厚颜无耻,但是我头脑灵活,总是能迅速看到事情的发展走向,因此便养成了容易厌倦的性格吧,还是因为反抗心理旺盛,不愿意被规则所束缚呢。我成长在一个富足的家庭中,父亲是银行职员,母亲是名门出身。从小就接受着精英教育,学业优秀,运动神经出众,父母按照他们的希望来培养我。 “如果你按照我们为你铺好的路走下去的话,一定会幸福的。” 父母真心这样相信着。如果我按照这样的想法生活下去的话,说不定,我也能过上平凡的生活。但是,升入初中开始,我对于这种已经被决定好的生活,感到了强烈的厌烦。然后,高中毕业后,对于父母想让我走上和他们一样的道路,我开始反抗,索性与家人断绝关系,离家出走。 总之,我要过上不受任何约束,又有趣的人生。离开家的我下定了决心。这同样也是对父母的一种反抗,他们眼中的人生,便是计算着将来会发生怎样的危险,如何规避危险。之后,我来到朋友家,开始建立新型风险企业,故意到海外的危险地带流浪,我只是为了寻求刺激而活着。而且,在日常生活中,能够给我带来刺激的东西,只要不违法,我都会尝试。有的人看到我这种近乎于自我毁灭的生活方式,会觉得我是不知道人世疾苦,只知道享受的人吧。他人的冷言冷语,我全然不放在心上。我只不过觉得活着太过于无聊了,如果不经常刺激自己的话,就几乎感受不到自己还活着。但是,不管做什么,我心中的抑郁却无法消散。在事业快要成功的时候,在冒险接近终点的时候,所有的事情,在我能预测到结果的时候,我都会彻底放弃。不管我曾经投入了怎样的热情,只要我能够看到结局的时候,我便会感到无尽的空虚。 “人生,真是太无聊了。” 不知何时,这句话成了我的口头禅。我就是在这个时候,和那个奇妙的老人相遇的。 4.黒衣の老人 何か新な刺激に出会うことを期待して、日本各地を旅することにした俺は、その日山口県の萩の町へと来ていた。江戸時代長州藩の藩士が暮らしていた萩は、当時の古い町並みが残された静かな町だ。そんなことを蝉の鳴き声に囲まれながら、目的もなく歩いていた俺はふと前方を歩く奇妙な老人に気づいた。 その老人は真夏にも関わらず黒のコートに黒の帽子という姿だった。それ以上に妙だったのは俺以外の人間が誰もそのことに気を留めず、また老人の周囲がまるで陽炎のように歪んだ見えたことだ。俺は信じにそこが追い求める面白いことがあるのを感じ取った。老人はそれだけ異質で、現実とかき離れて見えたのだ。気づくと、俺は引き寄せられるように老人の後を追っていた。土塀に囲まれた城下町の風情を残す路地を歩き、やがてたどり着いたのは高杉晋作生誕の地、と記された石碑の立つ一軒の古い武家屋敷の前だった。 「高杉晋作」 それは150年前に起こった明治維新の立役者の一人であり、長州藩が幕府の攻撃で存亡の危機に瀕した時に、彼の創設した奇兵隊とともに、そのピンチを救った人物の生家だった。老人の目的はこの屋敷を訪れることだったのだろうか。拍子抜けしながら、俺が見守っていると、門扉が閉まっているにもかかわらず、老人は屋敷の前へゆっくりと歩みを進めていくではないか。その瞬間だった。そこに忽然と光が放つ扉が現れたのだ。 「あんた、いったい」 あまりにも不可解な情景に思わず、声を上げてしまい、老人がこちらを振り返る。刹那、鋭い眼光に吸い込まれてもしたかのように、俺は意識を失っていた。 黑衣老人 我期待着能遇到什么新的刺激,便踏上了周游日本的旅程。那天,我来到山口县的萩市。江户时代,长州藩的藩士们生活过的萩市,当时的古老街道仍保留着,是个非常宁静的城市。在四周不断响起的蝉鸣声中,我漫无目的的走着,突然,我注意到前面有一个奇怪的老人。 那个老人,在这盛夏时节,还穿着黑色的外套,戴着黑色的帽子。更奇怪的是,除了我以外似乎没有任何人注意到他。而且,老人的周围仿佛升腾的热浪般,产生了扭曲。我相信那里有我追求的乐趣。老人是那么的特殊,感觉仿佛不属于这个现实。等我回过神来,我已经跟着老人追了过去,仿佛被什么牵引着一般。我走在在土墙环绕着的仍保留着城下町风情的街道上,最后来到的地方是一家古老的武士宅邸,房屋前的石碑上刻着 高杉晋作出生地。 “高杉晋作?” 他是发生在150年前的明治维新的重要角色,长州藩在幕府的攻击下面临存亡危机的罐头,他组织的奇兵队,解救了长州藩的危机。这里便是他的出生地。老人的目的似乎就是这座屋子吧。我有些失望的继续看着他,虽然大门紧闭,但是老人还是慢慢的继续向房屋走去。就在那一瞬间,突然出现了一扇闪光的门。 “你到底是” 面对着无法理解的情景,我忍不住叫出了声,老人回头看了看我。刹那间,我仿佛被他锐利的眼光吸进去一半,失去了意识。 5.幕末へ 目を開けると、俺はなぜか畳敷きの部屋に倒れていた。ふすまと障子戸に囲まれ、天井に梁のある古い日本家屋の一室だ。しかもいつの間に着替えさせられたのか、服が着流しへと変わっているのではないか。 「何が起こった」 なんとか思い出そうとするものの、記憶が混乱しているのか、思考が定まらない。と、俺はさらなる異変に気付いた。逞しい腕に鍛え貫かれた体。見知ったはずの自分の体つきが、まるで別人のものに思えるのだ。まさかあの老人に幻覚でも見せられているのだろうか。その時だ。 「晋作さん、よろしいでしょうか」 障子戸の向こうからこちらに呼びかける声が聞こえた。 「晋作さん?」訝しがりながらも、障子を開けると、俺は一瞬その場に立ち尽くしてしまった。そこに立っていたのは、羽織袴を着て、髷を結った侍姿の若者だったのだ。 「晋作さん、藩主様がお呼びです、急ぎ搭乗の支度をなさってください」 そう言ってこちらを見る若者は、格好といい、言葉使いといい、とても現代人には思えなかった。しかも自分は長州藩の殿様の使者で、俺を迎えにきたのだという。何より驚いたのはどうやら俺のことをあの高杉晋作と信じきっているらしい態度だ。まさか高杉晋作の生家を見たために、こんな奇妙な夢を見ているのだろうか。だが夢と判断するには、すべてがあまりにもリアルだった。まあいい、思わず笑みが浮かぶ、俺は逆にこの時代に興味を持た。夢であれ、現実であれ、どちらにしても面白い。こうなったら、最後まで流れに乗るまでだ。 「分かった、すぐに支度する、ただ、その前に少し聞きたいことがあるんだが」 搭乗の準備をしようと背を向けながら、俺は使者の若者に声をかけた。羽織袴に着替えながら、俺は晋作とは知己の間柄らしいその若者、伊藤俊輔から藩主に呼び出された理由を聞き出していた。 彼の話によると、攘夷倒幕を標榜する長州藩はその意思を天下に示そうと、外国商船に攻撃をくわえたものの、逆に同盟を組んだ欧米四か国の艦隊から反撃を受け、存亡の危機に立たされているらしい。そのためかつて上海に渡った経験があり、奇兵隊の創設という実績もある晋作が、講和条約を結ぶ全権大使として選ばれたのだという。 「夢でないとすれば、ずいぶんと面白いことになってきたもんだ」 詳しい話を聞かされながら、俺は刺激を求める己の性(さが)が呼び覚まされるのを感じていた。そして支度を終えて、迎えの籠を乗ろうと門を出たところで、俺は再びその場を立ち尽くしてしまった。 「これは…」 屋敷の門構えは意識を失う前に見た晋作の生家のものと同じだったが、目の前に広がる風景は、明らかに記憶の中のものとは異なっていた。あったはずのコンクリート造りの建物や舗装された道路はすべて姿を消し、そこには百年以上前の木造の家屋が立ち並ぶ、古い日本の町並みが広がっていたのだ。どう考えてもセットには見えない。こうなると理屈は分からないが、俺は本当に幕末の長州藩士、高杉晋作になってしまったと考えるしかないようだ。 「本当におもしろいじゃないか、わくわくしてきやがる」 ありえない光景を前に、俺は戸惑いより先に武者震いを感じていた。幕末の日本で歴史上の人物である高杉晋作として生きる。これ以上の幸運があるだろうか。まさに俺の追い求めていたおもしろおかしく刺激に満ちた人生だ。そうやって腹を潜ると俺は迎えの籠に乗り込み、藩主の待つ、山口の政治堂へと向かった。 来到幕末时代 睁开眼睛,不知为何我发现自己倒在一件铺着榻榻米的房间里。这是一间周围全是拉门和拉窗,房顶上有横梁的古旧的日式房屋。而且不知何时我的衣服居然被换了,我身上穿着的是简便的和服。 “发生了什么?” 我想努力回忆起发生了什么,但是记忆非常混乱,我没办法思考。这是,我注意到一些更奇怪的事情。那就是我粗壮的手臂和经过历练的身体。我自己的身体仿佛完全变成了别人的身体一样。难道,是那个老人制造的幻觉吗。就在这时。 “晋作先生,我可以进来吗?” 拉门外忽然传来了声音。 “晋作先生?”我心怀疑问地打开了拉门,那一瞬,我呆立当场。站在那里的,是一名穿着羽织袴和服,梳着发髻的武士打扮的年轻人。 “晋作先生,藩主有请,请您尽快准备出门吧。” 年轻人一边说着,一边看着我,无论是他的打扮,还是他的话语,都让人无法相信他是现代人。而且,他还说自己是长州藩藩主的使者,是来接我的。更让我吃惊的是,他的态度简直就是把我当成了那个高杉晋作。难道,我因为看到了高杉晋作的故居所以才做了这个奇怪的梦吗。可,如果我是在做梦的话,这一切都太过于真实了。算了,我忍不住笑了一下,我对这个时代有兴趣。不管是做梦,还是现实,都很有趣。就让的话,就让我顺其自然吧。 “明白了,我马上就准备。但是,我还有点事情想问一下。” 我一边背过身去进行外出的准备,一边向使者问道。在我换穿衣服的时候,我从这名似乎同晋作早就相识的年轻人伊藤俊辅那里问出了藩主想见我的原因。 按他所说的,提倡攘夷倒幕的长州藩,为了向天下昭显自己的主张,对外国的舰队发起了攻击,但是却遭到组成同盟的欧美四国的舰队反击,面临着生死存亡的危机。因此,他们想请曾经到过上海,并创立了奇兵队的晋作出面作为全权大使缔结和平条约。 “如果不是在做梦的话,还真是变得有意思了呢。” 一边询问着详细的内容,我同时感到自己体内寻求刺激的本性苏醒了。做好准备之后,我向门外的轿子走了过去,我再次被眼前的景象震惊了。 房屋的建筑和我失去意识前看到的金做的故居一样,但是我眼前的风景却和记忆中的大相径庭。原本的混凝土建筑,柏油马路全都不见了,取而代之的是一百年以前的木造房屋林立的古代日本街道。怎么想都不可能。事到如今,虽然不知道是什么原因,但是我似乎是真的来到幕末年代成了长州藩士高杉晋作。 “太有趣了,好激动啊。” 面对这不可能的情景,我最先感受到的不是困惑,反而是激动。在幕末年间的日本,成为历史上有名的高杉晋作。还有比这更幸运的事情吗。这正是我所追求的充满趣味和刺激的人生啊。我下定决心之后,坐上了迎接我的轿子。前往藩主所在的山口政治堂。 6.和平交渉 数週間後、俺は欧米四か国軍の旗艦であるイギリス船、ユリアラス号の上にいた。長州藩の藩主毛利敬親から代表の任を抱かされ、講和条約を結ぶ会談を行うためだ。長烏帽子に派手な陣羽織と、この時代でも些かいき過ぎでも思える恰好で、交渉の場を挑んだ俺は、立ち並ぶ異国の連中を睨みつけた。幸いなことに、この体には俺が入り込むまでの高杉晋作の記憶や知識が残されており、藩主の敬親と面会し、この会談の段取りを決めるまで、さほど時間はかからなかった。晋作としての知識を総動員した俺は、敬親を説き伏せ、和平にこぎつけたならば、攘夷の矛先をいったん収め、外国と取引するという約束を取り付けていた。それによって、いずれ攻め寄せてくる幕府に対抗する武器や軍船を手に入れる算段だ。幕府と外国勢の双方を敵に回した状況を打開するには、それしか策はなかった。そのためにも、この交渉を失敗に終わらせるわけにはいかない。 「それでは高杉さん、話し合いを始めましょうか」 欧米側の通訳が司令官の言葉を伝え会談が始まった。だが、4か国側が出した条件の中で、どうしても承諾できない要求があった。瀬戸内海に浮かぶ彦島を中国の上海や香港のように租借地として英国に譲るようにというのだ。この条件に応じれば、もしかするとそこを足掛かりに、いずれ近隣の港でなる、下関や三田尻もその勢力圏に納められてしまうかもしれない。それは到底、長州にとって承服できる要求ではなかった。 「承知できぬ」 そう言ってすくっと立ち上がると、続いて俺は歌でも吟じるように言葉を放った。 「そもそも日本国は、高天原より始まったもの、初めに国之常立神がましまし、続いて伊邪那岐、伊邪那美なる、2柱の神が現れ、天の浮橋に立ちたまいて、天の沼矛を持って、海を探り、而して、その矛の先より滴る雫が」 そのまま日本の国とはいかなる成り立ちなのかと、事細かに唱え続ける俺に、4か国の代表たちは唖然とした表情を浮かべる。長州側の通訳として同席した伊藤俊輔やほかの重臣たちも同じく目を丸くしていた。もしかすると、気でも違ったかと思われているかもしれない。だが、これは考え抜いた末の作戦だった。どうしても譲歩できない以上、ひたすら時間を稼ぐしかない。相手が折れるか、こちらの体力が尽きるまで、俺はこの猿芝居を続けるつもりだった。どの道、失うものなど俺にはないのだ。しかし、思ったより早く通訳が俺の言葉に待ったをかけだ。 「ストップ!もう充分です、高杉さん、司令長官のミスタークーパーは租借地の件を外して、外国船に下関海峡の通航を許可するという条件のみで構わないと言っています」 その申し出は長州が今度の交渉を無事に乗り切ったことを示していた。こうして歴史通り、欧米4か国と長州藩との講和条約は無事に締結されたのだった。 和平交涉 数周之后,我来到欧美四国联军的旗舰,英国舰队的尤里亚勒斯号上。这是因为长州藩的藩主毛利敬亲让我作为代表,进行缔结和平条约的会谈。我头戴很长的乌帽子,身穿阵羽织,这身打扮即使在这个时代也有些夸张,冷眼看着那些异国人士。幸运的是,在我进入这个身体之前的高杉晋作的知识和记忆都保留着,我和藩主敬亲会面,到决定进行会谈并没有花费多少时间。我运用晋作的知识说服了敬亲,如果想要争取和平的话,必须先要暂停攘夷,和外国进行交易。并通过这种方法得到对抗幕府的武器和军船。如果想要改变现在这种被幕府和外国两面夹击的状况,只有这一个办法。因此,这场交涉不能失败。 “那么,高杉先生,开始谈判吧。” 欧美方面的翻译传达了司令官的话语,会谈开始了。但是,在四国给出的条件中,有一个无论如何都不能答应的条件。那就是将濑户内海中的彦岛,像中国的上海,香港一样作为租借地转让给英国。如果答应了这个条件,那么就有可能以此为契机,导致邻近的港口下关和三田尻也早晚被划入他们的势力范围。这是对于长州来说无论如何不能让步的。 “我不能答应。” 我说完便站了起来。接着我像唱歌一般说道。 “日本国始于高天原,最初有了国之常立神,接着有了伊邪那岐、伊邪那美二神。二神立于天浮桥上,执天沼矛搅动大海,而矛尖垂落之滴露……” 我便这样,开始详细地讲述起日本的古代传说,四国的代表都浮现出了茫然的表情。长州的翻译伊藤俊辅和其他的重臣也都瞪圆了眼睛。他们大概认为我疯了吧。但是,这确实我深思熟虑过后的方案。既然无论如何都不能让步,那就只有尽量拖延时间了。到底是对方先屈服,还是我先累趴下呢,无论如何我都要把这场猴戏演到底了。反正我没有什么可以失去的。但是,事情发展的比我想象的要快,翻译开口让我停下了。 “好了,已经够了。高杉先生。司令官库珀先生同意,去除租借地的条款,只要允许下关海峡对外国船只通航就可以了。” 这意味着长州顺利完成了这次交涉。就这样如史实所记载的,欧美四国同长州顺利缔结和平条约。 7.革命児 「いや、さすが高杉さんだったよ、高杉さんが口上を述べ始めた時の連中の顔、見せてやりたかったなぁ」 交渉を終えた夜、馴染みの妓楼で祝杯を挙げながら、伊藤俊輔は知己の藩士たちに向かって、相手の要求を屈することのなかった俺の度胸を仕切りと褒め称えた。実際、交渉は大成功だった。懸案だった賠償金の支払いも長州はかつて幕府が出した外国船打ち払いの例に従ってだけだと言い逃れ、請求先は幕府にということで、すでに話がつき、藩にとって実質的に損害と言えるものは何もなかったのだ。 「だが、問題はほかにも山積みだ」 浮かぬ顔で同席していた井上門太が告げた。確かに門太の言葉どおり、4か国同盟軍との和平交渉は成功したものの今の長州藩が危機的な状況にあることに変わりはない。諸外国の軍に敗北を期した以外にも、京都では過激な攘夷派の暴走により、長州藩に同乗する公家たちが追放され、多数の志士たちが討死。さらに、幕府により長州征伐によって、久坂玄瑞という有能な人物たちも戦死し、藩内の権力は攘夷派の手から一気に幕府に従うべきと唱える恭順派のもとへ移っていた。 「まずは藩政を恭順派から再び攘夷派の手に取り戻す必要がありますね、それが成功しない限り、長州藩が再び倒幕運動の中心になることは難しいでしょう」 「それはそうだが、まずは藩主様に腹を決めていただければ」 俊輔の言葉に門太は応じ、たちまち若い二人の間で議論が始まる。のんびりと三味線をかき鳴らしながら、その様子を見ていた俺は思わず嘆息した。 「やれやれ、また始まった」 彼ら長州の若者たちは、断るごとに議論をぶつけ合っていた。恐れくそれだけ本気でこの国の行く末を案じ、現状を憂いているのだろう。実際ここまで何かに熱くなれる彼らの姿は、いつも世の中に退屈していた俺にとって、どこかまぶしくも思える。だが今は理屈をくどくどと述べている時ではないはずだ。 「くだらねぇな」 三味線をかき鳴らしていた手を止め、そう告げた俺に、俊輔たちは驚きの声を上げた。 「ちょっと待ってください、晋作さん。くだらないって、どういう意味です」 「どうもねぇよ。四角四面の議論なんぞほっとけ。攘夷だ開国だって、てめぇら、そんな自分の中だけの考えに縛られてどうする。どうせ一度きりの人生だ、そんな縛りなんか、忘れちまえばいんだよ」 俺に言わせれば、今は論理よりも、実践が必要とされる時なのだ。なにかひとつ行動を起こすためにも理屈を必要としているような場合じゃない。もっともそう思うのもおもしろおかしく人生を生きることを目的としている俺にとって、彼らの崇高な理念や志も、どこか他人事でしかなかったからかもしれないが。 「ほら、それより人生をもっと楽しめ。それで心中の熱をより燃えたぎらせろ。それ以外、ほかに何がいるってんだ」 そういうと、納得のいかない表情の志士たちを横目に俺は再び三味線をかき鳴らし、都々逸を歌い始めた。とにかくこの時代で一暴れして、波乱に満ちた人生を満喫するのだ。江戸幕府を倒した革命児、高杉晋作として。 年が明けて、元治元年1月、情勢を見極めた俺はついに武力決起を決意した。兵を起こして藩政を攘夷派のもとに取り戻すためだ。当初、そんな俺の号令に同調したのは、伊藤俊輔が率いる部隊を含めわずか80名ばかりの兵士たちしかなかった。対する恭順派が動かせる兵は2000名、数の上では到底勝ち目のある戦いではない。だが、俺には勝算があった。もともと藩内のものたちは幕府に対する反抗心が根強く、心情的にも攘夷派が多数を占めている。何か効果的な一押しさえあれば、多数のものがこの決起に賛同するはずなのだ。そして、その一押しのために、俺が恭順派の部隊が動き出す前に長州藩にとって重要拠点だった下関の新地会所を素早く制圧し、さらに藩の海の玄関口ともいえる三田尻の海軍局に参加を収めた。すると、経済の要所と海軍の拠点を抑える快進撃は俺の狙え通りそれまで様子をうかがっていた部隊を次々と決起軍に合流させる結果となった。やがて、3000にふくりあがった兵を率いた俺は恭順派の兵と直接対決し、ついにこれに勝利したのだった。それは決起からわずか一つ月の間の出来事だった。 革命家 “哎呀,不愧是高杉先生,真想给你们看看高杉先生演说的时候,那些家伙的表情呀。” 交涉结束的那天晚上,我们来到了常去的那家青楼,伊藤俊辅向关系很好的藩士们,称赞我不向对方的要求屈服的胆魄。实际上,交涉大获成功。成为悬案的赔偿金的支付,因为幕府曾经发出的驱逐外国船只的指示,而得以使长州免于赔偿,将问题转移给幕府政府。对于长州藩来说,没有任何实际的损害。 “但是,问题还是堆积如山啊。” 同席的井上门太面露愁容地说道。确实如门太所说的,和四国同盟军的交涉虽然成功了,但长州藩仍然处于危机之中。除了被诸外国军队打败以外,还有因为在京都发生的过激的攘夷活动,而导致支持长州藩的公家们被赶出政府,众多志士被杀。另外,因为幕府领导的长州征伐中,久坂玄瑞等能臣志士战死,藩内的大权从攘夷派手中,转移到了提倡顺从幕府的恭顺派手中了。 “首先有必要将藩政从恭顺派手中夺回,让攘夷派重新掌权,如果这一点不能成功的话,让长州藩再次成为倒幕运动的重新很难吧。” “话是这么说,到首先还是要让藩主大人下定决心才行啊。” 门太也赞同着俊辅的话,两个年轻人顿时开始了讨论。在一旁悠闲地弹着三味线的我,看到他们这个样子,忍不出叹了口气。 “哎呀,又要开始了。” 这些长州的年轻人,因为一件事便开始了激烈的讨论。恐怕他们是真心思考着这个国家的将来,忧心着现状吧。实际上,他们这种能因为什么变得专注热情的姿态,在我这个看什么都无聊的人眼中,是那么的耀眼。但是,现在可不是纸上谈兵的时候。 “真无聊啊。” 我停下弹拨三味线,说道。听到我的话,俊辅他们都吃惊的喊道。 “别这么说啊,晋作先生。无聊是指什么意思啊。” “没什么意思,不要管这些条条框框的理论了。攘夷也好,开国也好,你们不能被自己心中的想法栓死。反正人生只有一次,把这些束缚都扔掉吧。” 让我来说的话,现在是实践重于理论的时代。并不是每一个行动,都需要理论来证明。也许是因为,我的目的只不过是想要过的有趣刺激,因此他们那些崇高的理念,决心,在我听来完全没有一点意义。 “好啦,最重要的是要享受人生。这样才能燃起心中炙热的火焰。除此以外什么都不需要了。” 说完,我冷眼看着那些一脸不解表情的志士们,再次弹起了三味线,唱起了都都逸。总之我要在这个时代大闹一场,作为打倒江户幕府的革命家,高杉晋作,好好享受一下波澜万丈的人生。 转年,元治元年1月,看清局势的我决定发动武装起义。这时为了举兵将藩政夺回攘夷派的手中。但是,听从我的号令的,只有伊藤俊辅率领的部队中的八十名士兵。与此相对的,恭顺派的兵力则有两千名,从数量上来看,我们是没有胜算的。但是,我觉另有计划,原本藩内的人士就对幕府有很强的反抗心理,在他们心里攘夷派还是占多数的。只要有一个有效的助力推他们一把,就能够让多数人同意起义。因此,为了这个目的,我在恭顺派的军队行动之前,迅速占领了长州藩的重要据点,下关的新地会所,同时,还说服了被誉为长州藩的海上大门的三田尻的海军局参加起义。于是,因为我同时占领了经济要害和海上据点,我的快速围攻,不久就引来了之前一直窥视局面的部队的加入。不久之后,我带领着增加到三千兵力的起义军,同恭顺派的士兵开始了直接对决,并最终赢得了胜利。这时,距离起义开始仅过了一个月。 8.時の散歩者 「次はいよいよ幕府との戦ですね」 恭順派の手から萩を奪還してから数日後、俺はいつもの妓楼の二階で伊藤俊輔と酒を飲みながら今後の情勢について語り合っていた。 「あ、この動きを幕府がほっておくはずがない。」 いずれ幕府が長州へ攻め寄せてくるのは日をみるより明らかだった。そのまえにできる限りの準備を整えておく必要がある。 「さて、どうしたもんかな」 俊輔が帰った後も、俺は一人で三味線を鳴らしながら、来るべき幕府との戦いに向け策を考えていた。日本を支配する幕府にわずか37万ごくの長州藩だけでどう打ち勝つか。俺としては、なんともわくわくしてくる状況だ。と、障子戸の向こうに人の気配を感じ、三味線を弾く手を止める。 「誰だ」 するとふすまが音もなく開き、一人の老人が姿を現した。黒いコートに黒い帽子、それは萩の町で目撃した、あの黒衣の老人だった。 「あんたは、何のようだ。いや、それより何者なんだ」 そう言ってにやりと笑う俺に、老人は重々しい口調で答えた。自分は時の散歩者。時を旅するものなのだと。 「過去と未来、あらゆる時代あらゆる場所を旅してきた、しかし時より移動の際に起こる時空の波に精神を同調させ、巻き込まれるものが現れる。今回のお前さんのようにな」 「え、そいつはびっくりだ」 そういって驚いたふりをみせるものの、老人の話の中身は俺にとってそれほど重要ではなかった。老人の正体が何であれ、俺はすでにこの時代で生きることに決めていたからだ。そして、元の時代へ戻るのだという老人の誘いにも、俺は首を横に振った。 「戻る?冗談だろう」 俺にとって、高杉晋作として生きることは、刺激に満ちた日々を約束してくれるものだ。そんな理想な生活を捨て、わざわざ退屈な現代へと戻るつもりなどあるはずがない。そんな俺に、老人は試すような眼差しを投げると、重々しく口を開いた。 「おまえさんも知っておろう、高杉晋作がどのような最後を遂げるのか」 確かに知っていた、史実どおりならば、晋作は幕府軍との戦闘が続くなか、結核を患い、それから一年も経たずになくなるはずだ。しかし、そんな言葉を鵜呑みにするつもりはなかった。未来なんぞいくらでも変えて見せる。俺は端からそう思っていたのだ。 「無駄じゃよ。歴史は変えられん」 俺の心を見透かしたように老人は言葉を続けた。 「未来から来た人間にとって、過去は夢のようなもの。夢を見ることができても、夢をコントロールすることはできぬのだ」 俺がどう行動しようが意味などない、多少経過が異なるだけで、最終的な歴史の事実は決して変えることはできない。そう語る老人はうそをついているようには思えなかった。だが数年しか生きられないという宣告よりも、自分の行動が歴史をなぞるなぞっているに過ぎないという言葉に俺は強い反発心を覚えていた。 「なるほど、あんたの言うとおりだとしよう、だが、それなら尚のこと戻るつもりはないね」 そう語ると不敵な笑みを浮かべて見せる。これまでずっと、俺は何かに縛られ、他人の手によって敷かれたレールに乗って生きることを拒絶してきた。それが俺の生き方なのだ。その生き方を変えることなど、ありえない。 「俺は歴史を変えて見せる。絶対にだ」 「よかろう。それがおまえさんの選択なら」 そういい残すと障子戸が再び音もなく閉じ、老人は俺の前から姿を消した。 「いいさ、こうなったからには徹底的にやるまでだ」 俺は決意を胸に三味線の弦を一際強くはじいた。 「何かありましたか、先ほどから話し声が聞こえいましたけど」 その音に驚いたのか、奥のふすまが開き、馴染みの芸者のおうのが顔を見せる。 「いや、なんでもない」 そういうと、俺は窓の外から見える夜の闇へと視線を投げた、どんな手を使っても、歴史を変えてみせるという決意を胸にして。 时光的散步者 “接下来终于要和幕府决战了。” 从恭顺派那里夺回萩的几天后,我在经常去的青楼二楼上,一边喝伊藤俊辅喝酒,一边谈论起了今后的形势。 “是啊,这种状况幕府不会放着不管的。” 幕府早晚会攻打长州,这是再明显不过的事了。因此,在那之前,有尽可能做好准备。 “要怎么做才好呢。” 俊辅回去之后,我一个人一边弹着三味线,一边思考着同幕府一战,应该运用什么策略。仅有三十七万人的长州藩,想要对抗支配着整个日本的幕府,怎样才能取胜呢。对我来说,这是多么让人兴奋的状况啊。忽然,我感觉到拉门外有人,便停下了拨动三味线的手。 “谁?” 这时,拉门毫无声响的打开了,一个老人出现在我面前。黑色的外套,黑色的帽子,他就是在萩的街道上看到的那个黑衣老人。 “你有什么事!不,该问你是谁吧。” 我这么说着,冲老人笑了笑。老人则严肃的开口说道。自己是时光的散步者,是在时光中旅行的人。 “从过去到未来,我穿梭于所有的时代,所有的地方。但是,有时有的人会因为移动的时候引发的时空波浪,导致精神一体化,而被卷入其中,就像你这次这样。” “诶,这还真是不可思议啊。” 我边说着,边做出了吃惊的样子。但是,老人所说的话对我来说并不重要。不管这个老人是什么人,我都已经决定在这个时代生活下去了。因此,面对老人想要带我回到原来时代的邀请,我只是摇了摇头。 “回去,开什么玩笑。” 对我来说,成为高杉晋作,可以保证我每天的生活都充满刺激。我根本不想放弃这种理想的生活,而活到无聊的现代去。老人用试探的眼光看着我,肃然地说道。 “你应该也知道吧,高杉晋作最后的命运是怎样的。” 我确实知道。根据史实记载,晋作在和幕府军的战斗中,患上了肺结核,不到一年便去世了。但是我没打算相信这些。我可以改变未来。我从一开始就这么打算。 “没有用的,历史是无法改变的。” 老人仿佛看穿了我的想法一般,继续说道。 “对于来自未来的人来说,过去就像是一场梦,虽然可以旁观,却无法控制。” 不管我怎么做,都没有任何意义,最多也就是经过有些许不同,最终的历史事实是无法改变的。老人说的这些不像是谎话。但是,比起听到自己只能再活几年的宣告,我的行动只不过是重新描绘历史的轨迹这些话,更是引起了我强烈的抵触情绪。 “原来如此,就算你说的是真的吧,但是,我还是不打算回去。” 说完,我露出了一个无所畏惧的笑容。在此之前,我一直拒绝被束缚着,拒绝沿着他人铺好的轨道生活,这就是我的生活方式。是不可能改变的。 “我一定会改变历史的。” “好吧,如果这就是你的选择的话。” 老人说完这些话之后,拉门又悄无声息的关上了。老人的身影就这样从我面前消失了。 “好吧,既然如此的话,就干个彻底吧。” 我下定了决心,用力弹拨了一下三味线的弦。 “出了什么事吗,从刚刚开始,我就一直能听到说话的声音。” 也许是被我吓到了吧,里面的拉门突然打开,熟悉的艺人鹈野探出头来。 “什么事都没有。” 我一边说着,一边望向窗外,将目光头像了夜晚的黑暗之中。我下定决心,不管使用什么手段,都要改变历史。 9.歴史への挑戦 「お願いです、晋作さん。もう一度藩政に戻ってください。今がどのような時か、あなたが一番ご存知ではありませんか」 数ヶ月後、俺は下関の宿で伊藤俊輔に詰め寄られていた。俊輔が述べるとおり、世の中では幕府による二回目の長州征伐の気運が高まり、長州も対決にすまえて、全土を挙げて、臨戦態勢に入っている状態だった。 「桂さんが、薩摩との同盟を結んでくれたおかげで、武器に関しては最新のものが揃いつつあります。ですが、それだけでは戦には勝てない。私たちにははやり晋作さんの力が必要なんですよ。」 こちらをまっすぐに見つめ、問い掛ける俊輔の瞳には、真摯な願いが宿っていた。恭順派との戦いの時には圧倒的に不利の状況にありながら、俺を信じて付き従ってくれた俊輔。その言葉に思わず心を動かされる。だが、情に流されるつもりはなかった。黒衣の老人と出会ってから、俺は馴染みの妓楼に入り浸り、ただただ酒を飲み、三味線を弾く毎日を送っていた。史実において、幕府軍を破った立役者である、高杉晋作が何もしなければ、長州藩は幕府軍に破れ、歴史は改変される。そう考えてることだ。もっとも最初からそう考えていたわけではない。何もせずに待つなどというのは、もともと俺の性分ではなかったし、当初は藩の要人の地位を捨て去り、海外に渡ろうとしたり、おうのをつれてあてもなく四国を旅したりと、突拍子もない行動に取ることで、歴史を変えようと心見てみたんだ。しかし、そこからは何の結果も得られなかった。 「分かりません。私には晋作さんが何を考えているのか。なぜこの時になって。もしや何か深いお考えがあるのですか。幕府を打ち破る秘策があって」 必死の形相を訴える俊輔に、俺は違うと首を横に振って見せた。 「俊輔、そもそも俺は壊すのは得意だが、何かを作り上げることは苦手なんだ。」 それだけ告げると、俺は俊輔に帰るように促した。いままで夢見てきたのとは反対に、長州藩が幕府軍に破れることを願うのは本意ではなかったし、当然俊輔たちには申し訳ないという思いもある。だが、すべては俺の行き方を貫くためだ。この時代で生きると決めたのも俺が生きたいように生きられるのを感じたからだし、いまさら、それをまぎることなどできない。 「そうですか。残念です」 だが、うな垂れて帰る俊輔の背中を見送りながら、俺は自分の胸中になにやら気持ちの悪いものを感じていた。 向历史挑战 “求求您了,晋作先生,请再次掌管藩政吧。您应该最清楚现在是什么时候啊。” 几个月之后,我在下关的旅馆里,遭到了伊藤俊辅的质问。就像俊辅所说的,现在幕府发动的第二次长州征伐的势头正劲,长州为对决做好准备,举国上下都进入了临战状态。 “多亏了桂先生让我们和萨摩结成了同盟,因此我们能得到最新式的武器,但是,只有这样我们还是没有胜算,我们还是需要晋作先生您的帮助啊。” 俊辅直视着我的眼神中,包含着真挚的期待。俊辅在同恭顺派一战时,处于绝对不利的状况下,仍然相信我听从我的之后,他的话触动了我的内心。但是,我不能屈服于感情。见过黑衣老人之后,我便每天泡在常去的青楼中,每天每天除了喝酒就是弹三味线。史实中,打败幕府军的重要任务高杉晋作,如果什么都不干的话,长州藩便会输给幕府军,历史会因此改变。我是这么打算的。虽然,这并不是我最初的计划。什么都不做只是等待并不符合我的性格。最开始我打算放弃藩内要人的地位跑去海外,或者带着鹈野漫无目的的到处流浪,我本想尝试通过这种反常的行动来改变历史。但是,却没有得到任何结果。 “我还是不明白。晋作先生您到底在想些什么,为什么要在这种关键时刻。难道说您有什么更深层的考虑吗,有打败幕府的秘密策略?” 面对着俊辅拼命的追问,我摇了摇头告诉他并非如此。 “俊辅,我本来就只擅长破坏,对于创立什么就不擅长了。” 说完这些,我便催促俊辅快点回去。和我之前的梦想相反,长州藩被幕府军打败并非我的本意。当然,对于俊辅等人我也抱有歉意。但是,这一切全都是为了贯彻我的生活方式。我决心在这个时代生活下去,也是因为我感觉到,在这里我可以随心所欲的生活,这一点是无法改变的。 “这样啊,那太遗憾了。” 但是,目送着俊辅垂头丧气离开的背影,在我心中却有一股莫名不安的感觉。 10.長州征伐 幕府軍が長州征伐の号令を出したと知ったのはそれから一ヶ月後のことだった。いつものようにおうのと下関の妓楼を紅屋の二階で酒を飲んでいると、火急の用件と駆け込んできた知己の藩士のひとりが大事になったと告げたのだ。 幕府は切れ者と名高い老中、小笠原長行に全軍の指揮を任せ、およそ15万人にのぼる諸藩の兵が四方から長州に向けて進軍中だという。 いよいよか、ついにその時が来た。一瞬そんな思いが浮かんだ。だが、すぐに俺は自分には関係のないことだと打ち消し、そのまま藩士を帰らせてしまった。 「よろしいのでしょうか。このようなことをしていて」 何事もなかったかのように三味線をかき鳴らし、酒を飲む俺を見て、おうのが心配そうに言った。 「このようなこととはなんだ。俺はおまえと酒を飲めてとても楽しいぞ」 三千世界の鴉を殺し、お主と朝寝がしてみたい。そう都都逸のくだりを口にすると、三味線をかき鳴らし、おどけたように歌ってみせる。そんな俺に対して、おうのはなにやら言いにくそうに晋作さんは変わった気がすると口にした。以前と比べ覇気がなく、何をしていても面白くなさそうだと。 「そんなことはない、なにより今も昔も俺は俺だ。変わったりなどするものか」 そうむきになって否定してはみたものの、俺は内心おうのの鋭さを舌をまいていた。確かに最近の俺は何をしても面白く感じないのだ。この時代に来る前のように。実際、こうやって酒を飲んで、派手に騒いでいても、どこかしこりが残っているように感じてしまう始末だ。 「なぜもっと喜べない。これで俺はあの老人に一泡吹かせてやれるというのに。」 長州藩を率いて、江戸幕府を打ち勝つよりも、目に見えぬ歴史の歯車に挑むほうが遥かに刺激的な挑戦のはずだった。だがそれが達成されようとしても、今の俺はまるでわくわくしていないのだ。 「おうの、もっと人を呼べ!派手に騒ぐぞ!」 おうのに店の者を集めるように告げると、俺はさらに声高々と都都逸を歌い始めた。とにかく忘れたかった。この理由の分からない苛立ちを。 长州征伐 我得知幕府军发出长州征伐的号令是在一个月之后。我和往常一样在下关的青楼二层喝酒,一名熟知的藩士跑进来,告诉我出大事了。 幕府派了非常能干的老中小笠原长行指挥全军,约15万的诸藩兵力正从四面八方向长州进军。 终于开始了吗。这个时刻终于到来了。一瞬间我这样想到。但是,我却立刻说道,这已经和我没有关系了,就这样打发那个藩士回去了。 “真的没关系吗,做这种事情。” 看着我若无其事的弹着三味线,喝着酒,鹈野担心的问道。 “这种事情是什么意思。能和你喝酒我可是非常高兴啊。” 三千世界鸦杀尽,与君共寝至天明。我一边哼唱着都都逸的曲调,一边弹拨着三味线,半开玩笑的唱了起来。面对我这样的态度,鹈野有些欲言又止,最后只是说道,晋作先生你变了呢。她说我和以前比起来,失去了霸气,无论做什么都不开心。 “没有那回事。不管是现在还是过去,我就是我。怎么会变呢。” 我认真地否定道,但是在我的内心深处,却惊叹于鹈野的敏锐直觉。我最近确实不管做什么都提不起兴致。就像我来到这个时代之前一样。实际上,就算像现在这样喝着酒,疯狂嬉闹着,也总觉着心理有个结。 “为什么还是不开心。这样下去,我就能让那个大吃一惊了。” 和带领长州打败江户幕府比起来,挑战看不见的历史齿轮要刺激得多。但是,就算我达成了自己的希望,我却一点都感觉不到兴奋。 “鹈野,多叫点人来,好好热闹热闹。” 我让鹈野多叫些店里的人过来,然后便开始高声唱起了都都逸。总是,我想要忘记。我想要忘记这莫名的烦躁。 11.心のままに 伊藤俊輔が再び俺のもとを訪ねてきたのはそれから数日後のことだった。すぐに済むという申し出に屋敷の門の前で出迎えると俊輔は軍服に身を固め、馬を引いた姿で現れた。明らかにこれから前線へと向かう出で立ちだ。 「何の用だ。力を貸せということなら、答えは前と同じだぞ」 「いいえ、出陣の前に、晋作さんに一つだけ伝えたいことがありまして」 「伝えたいこと?」 「ええ、覚えていらっしゃいますか、あなたが口になさったことを」 そういうと俊輔は欧米四カ国との講和条約を取りまとめた日の夜を思い出すように告げた。 「あの時、あなたは自分の中だけの考えに縛られず、己の思いを解き放ってとおっしゃっていた。ですが今の私にはあなたのほうが思いを閉じ込め、己を縛っているように見えます。ただ、それだけを伝えたかった」 そういうと、俊輔は一礼とともに馬に乗り、俺に背を向けた。 「俺が己自身を縛っている」 去っていく俊輔の背を見ながら、俺の心にその言葉が浮かんでは消える。俺が自分の作ったルールに縛られいるというのだろうか。そんなはずない。そう言い聞かせながらも俺はその疑問を捨て切れなかった。自分はどう生きたいのか。どう生きるべきなのか。いつの間にか、俺はそんな問いを、己の胸に投げかけていた。やがて一つの答えが浮かび上がってくる。そう、答えはとても単純だった。 そうだ、世の中を面白くするのは自分の心だ。勝ち負けなんでのことは関係ない。ただ、自分自身の心が欲するまま、感じるままに行動すればいいのだ。そうすれば、どんな時も後悔などするはずがない。それこそが何にも縛られない生き方だ。 「俺はずっとそうやって生きてきたはずだ」 そう呟くと、俺は俊輔の後を追って走り出していた。彼とともに戦へと赴くために。 そして、慶応2年6月12日の夜半、ついに幕府軍との戦端が開かれた。 「突入せよ!」 夜陰に乗じて大島を占領した幕府の艦隊に近づくと、俺は長州の軍艦丙寅丸を全速力で敵艦の間に突撃させた。同時にすべての砲門を開き、ひたすら射撃を続けさせる。予期せぬこの攻撃に混乱した幕府の艦隊は闇夜のため小型の丙寅丸の姿を捉えられず、たちまち味方同士の船で大砲を打ち合う結果になってしまった。そして、ようやく幕府側の艦船の蒸気機関が動き出したころには、俺はずでに丙寅丸を戦場から離脱させていた。この奇襲攻撃に動揺した幕府の艦隊はせっかく占領した大島を捨て、長州藩の海域から遠く去ったのだった。こうして、幕府軍との初戦が見事長州軍の勝利に終わった。だが、勝利に沸き立つ中、俺は己の命が終わりに近づいているのを悟っていた。 戦闘を指揮している最中に吐血したのだ。それは高杉晋作の命を奪った病、結核が俺の体を蝕んでいる証拠だった。 随心所欲 几天后,伊藤俊辅再次找到我。因为他说说几句话就好,我便来到房屋的门前迎接他。出现在我面前的俊辅,身穿军装,牵着马。这显然是准备奔赴前线的打扮。 “找我什么事?如果还是想让我帮忙的话,我的回答和先前一样。” “不,只是在上战场前有句话想告诉晋作先生。” “有句话想告诉我?” “您还记得吗,您亲口说过的话。” 接着,俊辅提起了同欧美四国缔结和平条约那晚的事情。 “那个时候,您说不要被自己的想法束缚,要解放自己的思想。但是,在我看来,您才是被自己的想法困住,被自己束缚了。我只想说这个而已。” 说完,俊辅向我行了一礼,便乘上马背,离开了。 “我自己束缚着自己。” 我目送着俊辅的背影,这句话在我内心中不断闪现。我被自己的信条束缚住了吗?怎么可能。我这样告诉自己,但是这个疑问却始终困扰着我。我想要怎样的生活。我该过上怎样的生活。不知从什么时候开始,我这样扪心自问道。不久,我便发现了答案。是的,答案非常简单。 是啊,让这个世界变得有趣的是自己的心。和胜负无关,只不过要随心所欲,跟着感觉行动。只要能做到这些,不管什么时候都不会后悔。这才是不被束缚的生活方式。 “我本应该一直这样生活的。” 我这样对自己说完,便向俊辅离开的方向追了过去。我要和他共赴战场。 庆应2年6月12日深夜,和幕府军的战争终于拉开了序幕。 “进攻!” 我趁着夜色接近了已经占领了大岛的幕府舰队,然后便命令长州的军舰丙寅丸全速突击敌舰。同时,打开全部炮门,全力射击。幕府的舰队被这突如其来的攻击打乱了阵脚,一时间找不到小型军舰丙寅丸的行踪。不久,就变成了自己的军舰开炮攻击己方的混战。之后,等幕府舰队的蒸汽机关终于开始运作的时候,我已经让丙寅丸脱离战场了。被这次奇袭打昏了头的幕府舰队,放弃了好不容易才占领的大岛,离开了长州藩的海域。这样,长州藩与幕府军首战告捷。但是,在一片胜利的欢呼声中,我意识到我的生命已经接近终点了。 在指挥战斗的时候,我吐血了。这便是最后夺走了高杉晋作生命的肺结核,在侵蚀着我的身体的证据。 12.面白き人生 狭い庵の中を春の香りが吹きむけどこからともなく鶯の鳴き声が聞こえてくる。それとともに開け放たれた障子戸から風に乗って一枚の桜の花びらが舞い込み、俺の枕元に落ちた。 刀を売り、山を帰って住むか。寝床に横たわってまま庭先に咲く満開の桜を見守りながら俺は自分の仕事が終わったことを感じていた。 大島口での戦いから10ヶ月後、俺は下関郊外にある小さいな庵で病の床についていた。大島口に続き、小倉会場での戦いに勝利し、幕府側の重要拠点小倉城の攻略も果たしたものの、俺の体はもはや戦場に立っていられるものではなくなっていたのだ。だが、長州軍の勝利が続いたため、幕府の威信が揺らぎ始めた。そして、俺が抜けた後も長州は各地の戦いで勝利を収め、ついに幕府側から和睦の申し出を受けるまでにいたっていた。結果、 幕藩体制の崩壊は急激に加速し、昨今では将軍が朝廷へ政の返還を行うという噂まで流れているらしい。 「結局、すべては歴史通りに進んだってことか」 半身を起こすと俺は枕元に置かれた三味線に手を伸ばし、軽く弦を弾いた。だが、放たれた音はなんとも弱弱しいものだった。この痩せ衰えた体ではすでに三味線を弾く撥を持つ手にすら力が入らなかったのだ。 「やれやれ、この様じゃもう酒も飲めそうもないな」 俺の体を蝕む結核の進行は予想外に早く、もはや回復の見込みはないようだった。咳と吐血を繰り返し、布団に寝たきりで自由に動くこともままならぬ身だ。しかし、そんな体になっても、なぜか心は清清しかった。嘘ではない。僅か3年あまりだったが、十分に面白い人生だった。あの黒衣の老人には感謝してもいいくらいだ。 ふと、人の気配を感じて、俺は視線を庭先へと向けた。そこに立っていたのはあの老人だった。 「まだあんたに会えるとはな。こんな風になった俺でももとの時代に戻れるのか」 皮肉めいた言葉を吐いた俺に、老人は静かに告げた。 「戻る必要はなかろう。おまえは高杉晋作になるべくこの時代に来たのだから」 「俺が高杉晋作に。」 老人の言葉に自然と笑みが浮かび、気づくと俺は声を出して笑っていた。人の敷いたレールの上を走ることを嫌い続けた俺が、時代に望まれ、そのレールを走ったというわけか。そいつは面白い。真実かどうかはどうでもよかった。ただ、そう考えると、なんと愉快なことか。 「面白きこともなき世を面白く」 そう呟きながら、俺はゆっくりと目を閉じた。満面の笑みを浮かべて。 有趣的人生 在狭小的草庵中,吹来了春天的气息,到处都能听到黄莺的鸣叫声。同时,半开的拉门中,乘着风飞进了一片花瓣,刚好落在我枕边。 弃刀归隐山田吗。我躺在床上,看着庭院中满开的樱花,真切的感觉到一切都结束了。 大岛一役后的10个月,我来到下关郊外的草庵安心养病。大岛一役之后,在小仓战役中也取得胜利,成功攻下了幕府的重要据点小仓城。但是,我的身体却已经无法再指挥战斗了。但是,因为长州军的接连胜利,幕府的威信开始动摇。在我离开战场之后,长州仍然捷报连传,终于,幕府方面提出了讲和。此次战斗,加快了幕藩体制的崩溃,最近,甚至传出了将军即将将政权交还朝廷的传言。 “结果,一切都按照历史的轨迹发展啊。” 我半支起身子,伸手拿起了放在枕边的三味线,轻轻地拨动了一下琴弦。但是,弹出的声音却十分微弱。看来我这衰弱的身体,连弹三味线的力气都没有了。 “唉,这样子估计也喝不了酒了。” 侵蚀着我的身体的结核,发展的比我想象的要快,已经没有康复的希望了。在不断地咳嗽和吐血中,我已是卧床不起,不能随意行动了。但是,虽然身体这么衰弱,但是我的内心却十分情爽。这不是谎言。虽然只有短短的三年,却是一段十分精彩的人生。我甚至想要感谢那个黑衣老人了。 忽然,我感觉到院子中有人,便望了过去,站在那里的,正是那个老人。 “没想到还能再见到你,我现在这个样子,还能回到原来的时代吗?” 面对我略带讽刺的语调,老人静静地说道。 “没有回去的必要了吧。因为你就是应该成为高杉晋作才来到这个时代的。” “我成为高杉晋作?” 听了老人的话,我忍不住笑了出来。我一直讨厌走别人铺好的道路,结果,却被时代选中,走上了这条早已注定的道路吗。 “真是有意思。” 无论是不是真的都无所谓了。但是,想到这里便觉得有趣。 “让无趣的世界变得有趣。” 我小声呢喃道,接着满面笑容的慢慢闭上了眼睛。
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